Archivum histologicum japonicum
Print ISSN : 0004-0681
37 巻, 1 号
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  • I. 正常カイウサギにおける大動脈および二三の動脈の内皮細胞表面の微細構造
    枝長 正修
    1974 年 37 巻 1 号 p. 1-14
    発行日: 1974年
    公開日: 2009/02/20
    ジャーナル フリー
    カイウサギ動脈内皮の微細表面構造の研究のため, 新しい潅流および固定法を工夫し, 胸部の大型動脈を走査型および透過型電子顕微鏡で観察した.
    1. われわれの走査電子顕微鏡像においては, 動脈の管腔表面は明らかな辺縁ひだ (marginal folds) をもつた内皮細胞により被われており, 内皮下の組織の収縮がなければ, 内皮細胞の形はほとんど多角形で, 特定の方向に細長いということはない.
    2. 走査電子顕微鏡によれば, 大動脈洞, 肺動脈洞, 上行大動脈および大動脈弓近位側の内皮細胞表面には, 多数の毛髪状の突起が認められた. これらの突起は, 透過電子顕微鏡により認められる内皮細胞の微絨毛に相当するものと思われる. しかし動脈を冷(2°C) 生理的食塩水で洗ったときには, これらの毛髪状突起は不明瞭となった. この所見は, 突起の敏感な感受性を示唆するものとして興味が持たれる.
    3. 上行大動脈, 大動脈弓, 下行大動脈, 総頸動脈, 腕頭動脈および肺動脈には, 1本のヒモ状の突起をもった特徴的な内皮細胞が認められ, これは単一線毛 (single cilium) であると思われる. 内皮細胞に典型的な微細管の構造を有する単一線毛があることが, われわれの超薄切片において証明された.
    4. 上行大動脈, 大動脈弓および肋間動脈の分岐部には, 虚血あるいは機械的傷害を避けるための潅流あるいは即時固定法においてさえ, 多数のクレーターを認めた.
  • 糸島 達也, 小林 敏成, 島田 宜浩, 村上 宅郎
    1974 年 37 巻 1 号 p. 15-24
    発行日: 1974年
    公開日: 2009/02/20
    ジャーナル フリー
    モルモットの肝を潅流固定後, 村上の改良タンニン酸-オスミウム法で処置し, アセトン乾燥, 無蒸着で走査型電子顕微鏡により観察し, 類洞壁の形態をしらべた.
    類洞壁には内皮細胞の胞体を貫通する多数の丸い窓と, 内皮細胞相互間に存在する少数の窓がある. この窓は中心静脈近くの内皮細胞では直径0.5∼3.0μの大きなものが多数みとめられ, 小葉の辺縁に近づくにつれて小さく数少なくなり, 小葉辺縁帯では直径0.3μ以下の大きさであった. このほか内皮細胞の網状の稜柱のあいだの陥凹には多数の小孔が存在し, ふるいをつくっていた. また内皮細胞の核による隆起と稜柱には, 飲みこみ陥凹と思われる小孔を認めた.
    小葉辺縁帯の類洞壁の一部に内皮細胞と明らかに区別され, 胞体は著明に洞内に突出し, ヒトデ状の突起をもつクップエル細胞と思われる細胞を認めた. この細胞には内皮細胞にみられたような窓は認められなかった.
    大きい窓を通して, 内皮細胞直下に, 微絨毛をおおうように拡がるたこ足状の突起をもつ細胞が認められた. この細胞は伊東の脂肪摂取細胞と考えられた.
    内皮細胞の窓の機能的意義, とくに小葉内の位置の差による意義を考案した.
  • ネコとモルモット内耳の走査電子顕微鏡による観察
    星野 知之
    1974 年 37 巻 1 号 p. 25-39
    発行日: 1974年
    公開日: 2009/02/20
    ジャーナル フリー
    ネコとモルモット内耳のコルチ器と蓋膜との接続を走査電子顕微鏡で観察した. コルチ器は生後1ケ月の間さらに発育し変化するので, 生後1日から32日までのネコと成獣について調べた. 蓋膜の外側縁は生後まもない動物では3列目のダイテルス細胞に接続しているが, 生後20日目頃から次第に離れはじめる. 成獣ではもはやこの接続はみられなかった. 成獣では蓋膜下面に外毛細胞感覚毛の最長の1列の先端がささっている. 内毛細胞の感覚毛の先端は蓋膜にはささらず, 蓋膜は索状の構造物によって内毛細胞の近くと接続していると考えられたが, 生後10日のネコで, 蓋膜下面に感覚毛の先端がささっていたあとが認められた.
  • 佐々木 文彦
    1974 年 37 巻 1 号 p. 41-57
    発行日: 1974年
    公開日: 2009/02/20
    ジャーナル フリー
    マウスの下垂体前葉細胞の性差と雌の性周期に伴う変化を, 電子顕微鏡によって計量的に研究した.
    性差: 下垂体前葉細胞の比率を計測した結果, STH細胞, gonadotrophs およびLTH細胞に大きな有意的な性差が見られた. STH細胞と gonadotrophs の比率は雌より雄の方が多いが, LTH細胞については雄の方が少なかった. TSH細胞とACTH細胞は雄の方がわずかに高い比率を示した. Chromophobes には性差はなかった. 前葉細胞の容積を比較すると, 上述の全ての細胞型において雄と発情間期の雌の間には差はなかった. 性差は雄と発情期の雌の間で見られた. すなわち, 発情期の雌のSTH細胞と gonadotrophs の容積は雄のものより小さいが, LTH細胞は逆に大きかった.
    性周期に伴う変化: STH細胞, LTH細胞, TSH細胞, chromophobes の比率は軽度な周期性を示すが, 他の細胞型では周期的変化は見られなかった. Gonadotrophs の容積は発情前期の正午で最大で, その日の午後に急速に小さくなり, この値は発情期と発情後期の間続いた. Gonadotrophs の分泌顆粒の密度は発情前期の正午と午後の間で顕明な減少を示した. TSH細胞とLTH細胞の容積はわずかな周期的変化を示し, 発情前期の正午でより大きく, 発情後期でより小さかった.
    性周期に伴う下垂体前葉細胞の容積の周期的変化を, それらの機能的な状態と関連させて討論した.
  • 戸部 隆吉, 邊見 公雄, 福地 浩三, 陳 世澤, 橘 真郎
    1974 年 37 巻 1 号 p. 59-72
    発行日: 1974年
    公開日: 2009/02/20
    ジャーナル フリー
    合成ヒトガストリン (SHG) Iを牛血清アルブミンと結合させ, 家兎に免疫し, ガストリンに対する特異抗血清を作成し, FITCで標識して, 螢光抗体法 (直接法) により, ヒト消化器各部のガストリン分布を検索した.
    1. ガストリンを含む細胞は, 胃幽門前庭部のとくに幽門部からおよそ2∼4cmの部分の粘膜にもっとも豊富に存在する. 胃体部と噴門部にはみられない.
    2. 胃以外ではガストリン保有細胞は十二指腸のみに存在するが, その数は少なく, また十二指腸でも遠位になるほどその分布は疎になる.
    3. 食道, 空腸, 回腸, 結腸にはガストリン保有細胞は存在しない.
    4. 膵には自家螢光が多くみられるが, ガストリン保有細胞は存在しない. 耳下腺, 顎下腺などの唾液腺も, 膵と全く同様である.
    5. グリシン (0.5M) はガストリン遊離物質として知られているが, 組織学的検索では, ガストリン遊離は著明には認められない. 一方液体チッ素で冷却したイソペンタン中で組織片を凍結させると, ガストリンの完全な遊離が認められる.
  • 大坂 道敏, 笹川 力, 藤田 恒夫
    1974 年 37 巻 1 号 p. 73-94
    発行日: 1974年
    公開日: 2009/02/20
    ジャーナル フリー
    ヒトの十二指腸球部で, 操作を加えない粘膜と, 十二指腸内腔へ塩酸を注入した後の粘膜とを生検により採取し, 電子顕微鏡で内分泌細胞を観察した.
    1. 内分泌細胞は, 十二指腸球部では下部の十二指腸 (報告ずみ) に比べてずっと多く存在することが観察された.
    2. 十二指腸球部に, EC, EC様, D, D1, G, L, M, S, A様の9型の細胞を電子顕微鏡下に区別することができた.
    3. 希塩酸 (0.1N, 40ml) を十二指腸内腔へ注入して5分後に採取した生検組織において, D, D1, L, Mの4型の細胞に, 開口分泌による果粒の放出像がとらえられた.
    4. この4型の細胞の産出するホルモンが, セクレチン, エンテロガストロン, コレシストキニン-パンクレオザイミン, エンテログルカゴンなど, 酸抑制型のホルモンであることが提唱された.
    5. 他の5種類の内分泌細胞についても, その意義が論じられた.
  • 1974 年 37 巻 1 号 p. 95-96
    発行日: 1974年
    公開日: 2009/02/20
    ジャーナル フリー
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