ヒトの十二指腸球部で, 操作を加えない粘膜と, 十二指腸内腔へ塩酸を注入した後の粘膜とを生検により採取し, 電子顕微鏡で内分泌細胞を観察した.
1. 内分泌細胞は, 十二指腸球部では下部の十二指腸 (報告ずみ) に比べてずっと多く存在することが観察された.
2. 十二指腸球部に, EC, EC様, D, D
1, G, L, M, S, A様の9型の細胞を電子顕微鏡下に区別することができた.
3. 希塩酸 (0.1N, 40ml) を十二指腸内腔へ注入して5分後に採取した生検組織において, D, D
1, L, Mの4型の細胞に, 開口分泌による果粒の放出像がとらえられた.
4. この4型の細胞の産出するホルモンが, セクレチン, エンテロガストロン, コレシストキニン-パンクレオザイミン, エンテログルカゴンなど, 酸抑制型のホルモンであることが提唱された.
5. 他の5種類の内分泌細胞についても, その意義が論じられた.
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