Archivum histologicum japonicum
Print ISSN : 0004-0681
37 巻, 3 号
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  • 藤田 恒夫
    1974 年 37 巻 3 号 p. 187-216
    発行日: 1974年
    公開日: 2009/02/20
    ジャーナル フリー
    外科手術で得られたヒトの脾臓を生理食塩水とグルタルアルデヒドで潅流し, 固定後小片として切り出し, タンニン酸オスミウム法で導電性を与えた. 脱水ののち純エタノールまたは酢酸イソアミルに浸した段階で液体チッ素で急速に凍結し, 割断して電界放射型走査電子顕微鏡で観察した.
    1. 脾洞の内皮をつくる杆状細胞には, 霊長類では側突起を欠くといわれていたが, ヒトでは他動物と同様に横に張り出す突起が確認される. したがって内皮には卵円形の孔が形成されるわけで, これが脾洞内腔と脾索の常在的な通路となっている.
    2. 杆状細胞の側突起の間には細胞間結合線が見られる. 杆状細胞には小胞状, 絨毛状, 糸状の微小突起が出ている.
    3. 脾索を形成する細網細胞は星状で表面平滑の細胞である. その網眼に種々の円形細胞が見られるが, もっとも多数を占めるものは好中球であった. 多数の血小板もふくまれ, あるものは大食細胞の表面に花冠をつくる.
    4. 大食細胞は脾索の網眼にたくさんみとめられ, 脾洞の内腔へ突出しているものもある. 大食細胞は特有の微小突起に全身をおおわれた細胞で, 独立の細胞型と考えられ, 脾索の細網細胞とのあいだに移行型はみられない.
    5. 筆毛動脈の先が脾索内に開放して終ることを示唆する像が得られた. また多くの赤血球があたまを洞内に突き出して亜鈴状に脾洞壁にひっかかっており, 脾索から洞の方向の血流を暗示している. これらの所見からヒトの脾臓では“開放説”が支持された.
    6. さや動脈やそのほかの血管の構造についても述べられた.
  • 田渕 博一, 山元 寅男
    1974 年 37 巻 3 号 p. 217-224
    発行日: 1974年
    公開日: 2009/02/20
    ジャーナル フリー
    イヌの心臓の各弁膜の血管およびリンパ管の内皮細胞を電子顕微鏡で観察した.
    それらの内皮細胞内に一層の膜で囲まれた円形の顆粒が観察され, その顆粒の直径は平均0.24μであり, その電子密度はさまざまであった. この顆粒はWEIBELとPALADEが観察したところの血管内皮細胞内の rod-shaped body と構造が似ている.
    これらの顆粒は最初は粗面小胞体で合成され, それからゴルジ装置にはこばれそして成熟して, exocytosis によって血管腔へ放出される蛋白性の分泌顆粒であると考えられる.
    この顆粒の性質はリンパ管内にも観察されるので血管およびリンパ管に共通する機能的性質を持っていると考えられる.
  • 亀田 芙子
    1974 年 37 巻 3 号 p. 225-244
    発行日: 1974年
    公開日: 2009/02/20
    ジャーナル フリー
    若いイヌで甲状腺旁濾胞細胞と脳下垂体との関係をしらべた.
    1. 下垂体除去後, 光線および電子顕微鏡レベルで旁濾胞細胞に本質的な変化は認められなかった.
    2. CaCl2とビタミンD3を投与し, 高カルシウム血を亜急性および慢性的に誘発すると, 旁濾胞細胞のみならず, 下垂体の成長ホルモン分泌細胞も肥大し脱顆粒を示した. この脱顆粒は高カルシウム血の持続時間に比例していた. そして慢性的に高カルシウム血を誘発したイヌでは, 顆粒をほとんど失った成長ホルモン分泌細胞が目立った. また分泌亢進と考えられる粗面小胞体とゴルジ装置の増加と拡大もみられた.
    3. カルシウム塩投与前に下垂体を除去すると, 旁濾胞細胞の高カルシウム血に対する反応は著しく減少した. すなわち非除去例で観察される, 有糸分裂像と細胞増殖の結果生ずる著しく大きな旁濾胞細胞集団は全く見うけられず, 脱顆粒も著しく減少した. 核や細胞体は肥大せず, 粗面小胞体の増加がわずかに観察されたのみであった.
    これらの結果にもとづいて, 旁濾胞細胞は典型的なフィードバック系に属する下垂体の支配を受けていないが, 高カルシウム血に対するカルシトニン分泌反応に対して, 成長ホルモンの協力的かつ刺激的作用を受けていることが想定される.
  • 村上 宅郎, 糸島 達也, 島田 宜浩
    1974 年 37 巻 3 号 p. 245-260
    発行日: 1974年
    公開日: 2009/02/20
    ジャーナル フリー
    鋳型走査電子顕微鏡法で, サルの胆管周囲血管叢は肝動脈から輸入血管を受け, そして肝類洞に直接注ぐ輸出血管を出すことを明瞭に示した. 機能的意義は明らかでないが, この門脈路と直達動脈路から独立した胆管周囲血管叢経由類洞路を胆管周囲門脈系と命名した.
  • 本間 義治, 吉江 紀夫
    1974 年 37 巻 3 号 p. 261-273
    発行日: 1974年
    公開日: 2009/02/20
    ジャーナル フリー
    新潟大学 佐渡臨海実験所の沖合で採捕された外洋性のコバンザメの雌雄2尾の内分泌腺を, 比較解剖学的ならびに系統学的見地から観察した.
    下垂体の形状はソウダガツオやカムルチーと似ており, 4要素からなるが, その中では中間葉がもっとも大きく, 塩基好性と酸好性とに鮮やかに染め分けられる2種類の細胞がみられる. 端葉には, 前部にプロラクチン産生細胞と間腎組織刺激細胞が, そして軸部に生殖腺刺激細胞, 成長ホルモン分泌細胞および甲状腺刺激細胞が検出される.
    甲状腺はマグロやカジキと同様に充実した器官で, かなり機能が亢進している像を示した.
    膵内分泌組織はA, B, D細胞の3種の細胞から構成されており, 数個の独立したブロックマン小体となって配列している. そして好銀性のD細胞が互いに集まって塊状をなしていることに一大特色がみられる.
    卵巣には染色仁期と少数の卵黄胞期の卵母細胞のほかに, 排卵痕が認められた. 一方精巣の細精管には精子形成過程中の精母細胞が, そして精管には残存精子がみられた. したがってこの雌雄両魚ともに, すでに放卵放精した個体であることが明らかにされた.
  • 1974 年 37 巻 3 号 p. 275-276
    発行日: 1974年
    公開日: 2009/02/20
    ジャーナル フリー
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