Archivum histologicum japonicum
Print ISSN : 0004-0681
37 巻, 5 号
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  • 武藤 正樹
    1975 年 37 巻 5 号 p. 369-386
    発行日: 1975年
    公開日: 2009/02/20
    ジャーナル フリー
    ネズミの肝臓をグルタールアルデヒドで潅流固定した後, 村上の改良タンニン酸オスミウム法で処理した試料を徳永らの凍結割断法を用いて割断し, 金パラジウムの薄層蒸着を施して, 走査電子顕微鏡により, 肝類洞の内皮細胞とクッパー細胞を観察した.
    類洞をおおつている内皮細胞の細胞質には, 数多くの窓が開いている. 窓には大きなもの (1-3μm) と, 小さなもの (0.1μm以下) がある. 内皮細胞の縁は波うっていて, 隣の内皮細胞とは, しっかりと接着しているところと, ゆるやかに重なり合っているところとが見られた. またいろいろな大きさの隙間が内皮細胞間にみられた. この細胞間の隙間は, 細胞内の窓よりは数がすくない.
    中心静脈や門脈路に近接する類洞では, 小さな窓だけがみられ, この部分では類洞は, ふつうの有窓性毛細血管としての性格をもっている. 大きな窓は, 小葉の大部分を占める中間域の類洞に見られ, 類洞とディッセ腔との主な交通路となつている.
    クッパー細胞は, 門脈路の周辺に多数みられ, 表面観の上で, 薄く伸展した有窓性の内皮細胞からは. はっきりと区別される. クッパー細胞の表面から突出している数多くの細胞質突起は次の3型に分けられる. (1) 太く, 水平方向に走る突起, (2) 微絨毛様の突起, (3) 糸状と葉状仮足.
    微絨毛様突起は, 密にこの細胞をおおっている. 糸状仮足はこの細胞の縁から出て, 内皮細胞の表面に接着している. 葉状仮足は類洞壁の表面にひろがっている.
    クッパー細胞は, ふつう, 内皮細胞がとぎれてできた大きな孔の上にまたがるようにして現われ, 糸状仮足によって内皮細胞の縁につなぎ止められている. かなり大きな細胞間の隙間が, クッパー細胞のまわりに見られる.
    また, 二つのクッパー細胞が, 糸状仮足によって相互に連絡しているのが観察された. クッパー細胞と培養マクロファージとの形態的類似性が論じられた.
  • 高屋 憲一
    1975 年 37 巻 5 号 p. 387-393
    発行日: 1975年
    公開日: 2009/02/20
    ジャーナル フリー
    膵臓外分泌組織を新鮮な状態で伸展して空気中で急速に乾燥させると, 微細構造が良く保存され, いろいろな構造が観察可能であった. 外分泌顆粒は均質な高密度の内容をもつ円形の 直径 約300nmの構造物として認められ, それは新鮮凍結超薄切片での所見と同じである. エネルギー分散型X線マイクロアナライザーを用いて 5つの外分泌顆粒と その縁から200nmはなれた点を対照として分析すると, 顆粒にはS, Cl, Kにピークが見られ, いくつかの顆粒にはPも認められた. 対照には特殊な元素のピークはほとんど見られなかった. 外分泌顆粒は開口分泌によりその内容を腺腔に放出するが, 電解質は酵素とは別に分泌されると従来考えられている. しかし顆粒にKやClが検出されることは, これらの電解質も顆粒の内容と共に腺腔に分泌されることを示唆するものと考えられる.
  • 武田 正子, 星野 洸
    1975 年 37 巻 5 号 p. 395-413
    発行日: 1975年
    公開日: 2009/02/20
    ジャーナル フリー
    ラットの有郭乳頭の味蕾細胞は3型に分類できる. 第1型は その頂上部胞体に 多数の球形の電子密度の高い顆粒を含む細胞である. この暗顆粒は 開口分泌により 味孔内へ放出され, 味孔内暗調物質となる. 第2型は 胞体全体に小胞と滑面小胞体を含む細胞である. 第3型は 基底側胞体に特異な暗芯小胞と明小胞の集合を有する細胞である. この細胞は 神経とシナプス様接合を形成することがある.
    葉状乳頭の味蕾は, 有郭乳頭味蕾と同様の微細構造を示す. しかし 茸状乳頭味蕾はこれら両乳頭味蕾とは, 若干 異なる像を呈する. すなわち 茸状乳頭の味孔内は小胞で満たされており, 暗調物質は含まれていない. また 第1型細胞の胞体頂上部の顆粒は 電子密度が低く, 桿状で 数が少ない.
    多糖類の検索のため, 過沃素酸メセナミン銀反応と過沃素酸チオカルボヒドラジド銀反応を行なったところ, 第1型細胞の暗顆粒と味孔内暗調物質はわずかな反応を示すのみであった. 一方各味蕾細胞の突起膜と, 第2型細胞の小胞膜 および味孔内の小胞膜は, 強い反応を示した.
  • 山鳥 崇, 八木橋 操六
    1975 年 37 巻 5 号 p. 415-432
    発行日: 1975年
    公開日: 2009/02/20
    ジャーナル フリー
    ハツカネズミの第四脳室底を走査型および透過型電子顕微鏡で観察した.
    1. 第四脳室底は一層の上衣細胞によって出来ており, この上衣細胞の細胞質はフィラメントに富むが, リボゾームには乏しい.
    2. 上衣細胞の脳室表面には多くの繊毛と微絨毛がある. 脳室の内側部で この繊毛は密であるが, 外側部では疎である. 繊毛打の方向は内側部では 後方であるが, 外側部では後方または後内方である. また 第四脳室外側口の近くでの繊毛打の方向は, 後外方または外方である. 正中溝では繊毛が極めて少い.
    3. 繊毛は長さ約10μmまたはそれ以上で, 最も細胞表面に近い 屈曲性をもたないように見える部分を除くと, 基部がもっとも太く (直径300nm), 先端ではわずかに細くなる. 先端は丸く鈍になつて終るが, 少し曲っていることもある. 繊毛は動繊毛としての微細構造をもっている.
    4. 隣接する上衣細胞は脳室表面の近くで閉鎖帯と接着帯を, 深部では嵌合をつくる. 隣接細胞は 普通 約40nmの距離を保っている.
    5. 第四脳室表面では まれにリンパ球と思われる細胞や, その他の遊走細胞をみるが, ほかに数個の多形の上衣上細胞や神経細胞様の細胞が存在する. これらの細胞は双極または多極の突起をもち, その断面は透過型電子顕微鏡では無髄神経線維様の構造としてみられる. これらの細胞の本体は不明であるが, 少くとも あるものは 神経細胞であろうと思われる. また 稀に星状神経膠細胞によく似た細胞も認められる.
    6. 第四脳室の表面で, ときに上衣細胞の突起や上衣細胞層の下の神経細胞から出たと思われる突起が認められる. 後者は その中に多数のミトコンドリアを含んでいる. また上衣細胞から分泌されたと思われる小顆粒が微絨毛の間やその上に見られることがある.
  • 1975 年 37 巻 5 号 p. 433-434
    発行日: 1975年
    公開日: 2009/02/20
    ジャーナル フリー
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