Archivum histologicum japonicum
Print ISSN : 0004-0681
42 巻, 1 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 山本 硬治
    1979 年 42 巻 1 号 p. 1-10
    発行日: 1979年
    公開日: 2009/02/20
    ジャーナル フリー
    培養内皮細胞の日令変化を 位相差顕微鏡, 位相差顕微鏡映画 および電子顕微鏡で観察した.
    光学顕微鏡によると, 培養細胞は多角形を示し, 単層のコロニーを形成するが, 10日から14日目になると細胞は線維芽細胞様の細長い形をとる. 有糸分裂による細胞増殖は位相差顕微鏡映画で観察できず, むしろ 細胞増殖時期に 多数の二核細胞がコロニー周辺に存在し, 二核細胞の無糸分裂による細胞増殖を強く示唆している.
    電子顕微鏡によると, 培養細胞に内皮特殊顆粒と2種のフィラメント (直径約120Åと65Å) が認められた. 細いフィラメントは 培養細胞の運動に関与する収縮要素であろうと考えられる.
  • 高野 吉郎
    1979 年 42 巻 1 号 p. 11-32
    発行日: 1979年
    公開日: 2009/02/20
    ジャーナル フリー
    ラット切歯の成熟期エナメルとエナメル芽細胞, ならびにそれらの境介面に存在する膜様構造について, リンタングステン酸および過ヨウ素酸メテナミン銀による複合多糖体染色と, 各種消化実験とを組合わせて電顕細胞化学的に検索した.
    ラット切歯エナメル形成の移行期には, エナメル表層に幅約0.1μmのリンタングステン酸強染帯が出現し, 成熟期に入るとすぐにエナメルとエナメル芽細胞間に, さらに一層のリンタングステン酸強染帯が出現した. 後者のウラン-鉛染色像は幅約80nmの電子密度の高い膜様構造を呈し, これと接するエナメル芽細胞の細胞膜には, 半接着斑がみられた. また同部の細胞質中には, リンタングステン酸強染性の小胞や桿状構造物が細胞膜に近接してみられ, 膜様構造の分泌を示唆した. 細胞質中に増加する大型顆粒には, 水解酵素活性を認めた. 過ヨウ素酸メテナミン銀法では, エナメル表層に一致して幅約0.1μmにわたる銀粒子の沈着がみられたが, 膜様構造には強い反応は認められなかった. 膜様構造のCr-PTA染色性は, ヒアルロニダーゼまたはノイラミニダーゼ消化により著しく低下したが, コラゲナーゼおよびトリプシン消化では膜様構造自体が消失した.
    以上のことから, ラット切歯の成熟期エナメルとエナメル芽細胞間にみられる膜様構造は, いわゆるクチクラあるいは歯小皮と呼ばれるものとは異り, エナメル芽細胞由来の基底膜にほかならないことが明らかとなった. またこの基底膜が膠原性成分を有する可能性も示唆された.
  • 山田 純三, 吉野 峰生, 山下 忠幸, 三須 幹男, 矢内原 昇
    1979 年 42 巻 1 号 p. 33-39
    発行日: 1979年
    公開日: 2009/02/20
    ジャーナル フリー
    ウズラ消化管におけるガストリン細胞の分布と出現頻度を明らかにすべく, 消化管の全長を縦断し, 組織学的および免疫細胞化学 (酵素抗体間接法) 的方法で検索した.
    1. ガストリン細胞は, 酵素抗体間接法で褐色の細胞質を示す細胞として認められ, それらは Grimelius の渡銀法で銀好性を示した.
    2. ガストリン細胞は, 幽門領域, 十二指腸, 空腸および回腸の4部位に認められたが, 他の部位には存在をみとめることができなかつた.
    3. ガストリン細胞が確認された4部位におけるガストリン細胞の単位面積 (1.25mm2) あたりの出現頻度は, 幽門領域が382.14±12.77, 十二指腸が2.93±0.62, 空腸が0.93±0.62, 回腸が3.79±1.24で, 幽門領域に著しく集中して分布していた.
  • E. A. LING
    1979 年 42 巻 1 号 p. 41-50
    発行日: 1979年
    公開日: 2009/02/20
    ジャーナル フリー
    Colloidal carbon was introduced intravenously into young rats to label circulating monocytes before the stabbing of the brain. The rats were sacrificed 1 to 14 days after the stab wound. In the rats sacrificed between 3 to 7 days after the stabbing, numerous phagocytic cells were present in the needle wound. Electron microscope study showed that some of these phagocytic cells carried intracytoplasmic carbon particles. These carbon-labelled cells showed features either of a monocyte, full-blown macrophages, or typical microglia. It is believed that they are all derived from circulating monocytes which have ingested carbon particles in circulation and thereafter invaded the stab wound.
  • 大畑 まさ子
    1979 年 42 巻 1 号 p. 51-79
    発行日: 1979年
    公開日: 2009/02/20
    ジャーナル フリー
    マウス (ddY系) の精巣間質組織には, 間細胞のほかに線維芽細胞, 少数の形質細胞, かなり多くの大食細胞がある. 間細胞の糸状突起は, ことに細胞間隙の広がった部分に多い. 細胞表面には, しばしば陥凹があり, 多くの糸状微絨毛が陥凹内へ突出し, “基底陥入様構造”と呼ぶ独特な構造を作る. 多量の滑面小胞体は小管状と小胞状に分けられる. 小管状滑面小胞体は, 密集し吻合する小管からなり, 一定部分では, 一部有窓の扁平嚢を作る. 小胞状滑面小胞体は種々の大きさの小胞からなる. 小管状小胞体は, 間細胞機能に応じて小胞状小胞体へ移行する. 小胞の間には, 小径の管状小胞体の小斑が見出される. しばしば見出されるいわゆる滑面小胞体の渦巻は, ミトコンドリア, 脂肪滴, マイクロボデーを囲む求心性層板状の, 一部有窓の扁平嚢の集積である. 非典型的な有孔層板が, まれに細胞質内と小胞体の渦巻の中にみられ, 小胞体の膜につながる. 粗面小胞体は小斑をつくり, ときに小胞の拡大が見られる. ポリゾームは粗面小胞体域のみならず滑面体小胞体の間にも分布する. ミトコンドリアは管状稜を有し, ときに小数のリボゾーム様顆粒をもつ. 細胞質内に散在するゴルジ複合体のうち, 核に接するものは双中心子を有し, ときに単一線毛を出す. 比較的多くのマイクロボデーが細胞質内に散在する. 脂肪滴含有量は細胞によって非常に変化があり, おそらくステロイド生合成の度合を示す. またテストステロンを含有する滑面小胞に由来するらしい大きな空胞が形質膜に近接して見出され, これは分泌空胞で開口分泌により内容を放出するものと推定される.
  • 岩久 文彦, 小沢 英浩
    1979 年 42 巻 1 号 p. 81-88
    発行日: 1979年
    公開日: 2009/02/20
    ジャーナル フリー
    ラット下顎切歯唇側歯槽の血管分布をメルコックス樹脂注入法を用いて走査電顕で観察した. 歯槽には血管分布の異なる層が3層あった. 内層では毛細血管網がエナメル器に接して分布したが, それはエナメル形成過程に伴って網工状形態からはしご状形態へと変化した. 中層では下歯槽動脈から起こった小動脈と, この小動脈から分かれた細動脈が分布したが, 細動脈はさらに分かれて内層の毛細血管となった. 洞様の静脈が分布する外層は歯槽骨側に存在したが, この静脈は内層の近・遠心辺縁部を走る毛細血管と吻合した. 毛細血管網の変化については, 網工状網は内エナメル上皮細胞の増殖・分化と初期のエナメル基質形成に必要な物質を供給するのに適し, はしご状網はエナメル形成のさらに進んだ時期のエナメル基質の形成と石灰化に必要な多くの有機, 無機の物質を供給するのに適した形であると考えられた.
  • 伊藤 正毅, 山口 賢一, 楠元 芳典, 浜 斉, 柴田 昭
    1979 年 42 巻 1 号 p. 89-93
    発行日: 1979年
    公開日: 2009/02/20
    ジャーナル フリー
    抗アンギオテンシンII抗体を用いた間接螢光抗体法によって, ラットの唾液腺を検索したところ, 抗体と反応する陽性細胞が顎下腺の顆粒管に多数見いだされた. 抗体をアンギオテンシン群 (アンギオテンシンI, II, III) で吸収することによって陽性細胞が消失することから, 陽性細胞はアンギオテンシン群の少なくとも一つを含んでいると推定された. 顎下腺よりレニンが抽出されていること, および抗レニン抗体と反応する細胞が顆粒管に存在するという報告を考慮すると, 本研究はアンギオテンシンが血液中だけでなく, 顎下腺の顆粒管内でも作られる可能性を示唆した.
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