アミン線維の検索のため正常成熟雄ラット (体重200g) の胸髄側角の一部 (Th
1, Th
3, Th
6, Th
9, Th
12) をアミン螢光法 (湿式) により観察し, 同時にグリオキシル酸灌流固定と過マンガン酸カリ固定の併用法により出現するノルアドレナリン顆粒を指標として微細構造の検索を行なった.
分節状に存在する側角には, 側索後半部からアミン線維が集まってきて側角細胞周囲に至り, それらを取巻き分布し, 更に内側へも向っている.
電顕的観察において, 側角の主神経細胞は陥凹の激しい核, よく発達したゴルジ装置, そして, 長い小胞体を有する. 更にゴルジ装置の周囲には, 沢山の大小分泌顆粒が存在し, ミトコンドリアは比較的多く, 少数の多胞体, ライソゾームも観察された. しかし, まれに主細胞とは明らかに異なった細胞, すなわち細胞内小器官が前者のものに比し, 更に良く発達している細胞が存在する. それは, 短い小胞体を非常に多く含み, このため細胞質がいくぶん暗く見えるほどであった.
側角に見られる軸索未端は, 大きく分けて, 以下の4種類に区別できた: 多くの小型有芯顆粒と少数の大型有芯顆粒を同時に含んだ軸索終末 (I型), 主として大型の小胞からなり, この中に有芯顆粒が殆ど認められないもの (II型), 有芯顆粒を持たず小型小胞の多いもの (III型), そして, 扁平な小胞が多く見られ, その中に大・小有芯顆粒を少数持っているもの (IV型, 稀であるが) である.
I, II, III型の終末は, 主細胞の細胞体とその樹状突起に接着していた. また主細胞とは異なった細胞体, 並びに内部に短い小胞体, ライソゾームを含むことから樹状突起と考えられるその突起にも, それぞれI, II, III型のATが接着していた. 稀に, I型終末がII型のそれに, III型終末がI型終末に接着し, いわゆる axo-axonic contact と思われるものがあった. また, 樹状突起にさらに樹状突起と思われる突起が接着し, dendrodendritic contact を暗示させた. 側角には, 軸索終末同士が接着して, いわゆる cluster を作っている所が多く見られ, その中でI型終末だけが集合して, cluster を作っている所もある.
胸髄側角の各レベル (Th
1, Th
3, Th
6, Th
9, Th
12) 間のアミン線維, ノルアドナリン顆粒を指標とする微細構造について, 差異は認められなかった.
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