青森大学付属総合研究所紀要
Online ISSN : 2188-8531
Print ISSN : 2436-1585
24 巻, 2 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • :回答誘導項目の無効回答者選別機能の評価
    澁谷 泰秀, 増田 真也, 村上 史郎, 吉村 治正
    2023 年 24 巻 2 号 p. 1-12
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/05/10
    研究報告書・技術報告書 フリー
    社会調査がこれほど頻繁にウェブで行われていることはこれまでになかった。そこで、回答誘導項目(IRI)を用いてデータスクリーニングの一環として不注意な回答者を選別に関する研究を実施した。この研究では2,490名をサンプルとした調査と2,000名をサンプルとした2回のウェブ調査が行われた。研究の目的は二項で、第一の目的は1回の調査で不注意回答者を選別するのに適切な回答誘導項目数についてで、第二の目的は選別されたグループ間における分析値の相違についてである。第1の研究では、回答誘導項目を用いた回答木分析を行い、1,935名が注意深い回答者と分類され、残りの555名が不注意な回答者としてデータから削除された。サンプル全員で構成されるグループと注意深い回答者のみで構成される3つのグループが24項目で構成される生活の質尺度(QOL)の分析で比較された。QOL得点の平均値は統計学的に有意であったが、1,935名の注意深い回答者は両グループに共通であるため、平均値の差は大きくはなかった。項目反応理論(2母数ロジスティックモデル)に基づいて求めた項目反応曲線を用いた比較では、注意深いグループと不注意なグループに明確な相違がみられたことから、不注意グルーㇷ゚に分類された555名をデータ分析から除外すべきという判断は支持された。第2の研究では、質問に誕生年月日を加えて、各回答者の年齢を算出した。この算出された年齢はウェブ調査会社に登録された年齢と比較され、誘導回答項目を用いて分類されたグループ間で正確性が比較された。注意深さ得点が高いグループでは一貫して正確度が高くなることが確認された。我々は、これらの結果に基づき、誘導解答項目は不注意な回答者選別に機能性が高いと結論した。また、1回のウェブ調査で使用すべき回答誘導項目数はおよそ3項目程度を推奨するとした。更に、注意深さの程度が明確に分類できなかった回答者の取り扱いについて考察が行われた。
  • 清川 繁人
    2023 年 24 巻 2 号 p. 13-20
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/05/10
    研究報告書・技術報告書 フリー
    津軽地方で開催されるねぶた祭りの起源については,これまで諸説提言されてきた.なかでも坂上田村麻呂が蝦夷征伐をする際始まったとする説や,戦国武将の津軽為信が京都のお盆行事で始めた説は,時代背景が一致しないことから否定されている.日本国内で行われている多くの祭りは京都が起源と考えられていることから,京都文化を津軽へ持ち込んだ人々とそのプロセスを調査した.その結果,坂上田村麻呂を主人公とした物語が津軽為信による津軽地方支配に置き換わったことと,津軽為信の家臣 服部長門守が京都から灯籠行事をもたらしたことにより,ねぶたが津軽へもたらされた可能性があることを見出した.
  • 金 二城
    2023 年 24 巻 2 号 p. 21-27
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/05/10
    研究報告書・技術報告書 フリー
    本研究では太宰治の小説『津軽』外ヶ浜ルートの可能性について、現地の調査を通じて検討した。『津軽』は太宰治が出版社から頼まれて、生まれ育った津軽地域を旅した内容を小説化した作品である。特に外ヶ浜を訪問した際のエピソードや訪れた場所は、太宰と地域の理解につながる可能性があることを確認できた。しかし、外ヶ浜での太宰の旅はあまり知られておらず、太宰の追体験ができる観光プログラムもない。太宰と津軽の特徴を体験できるプログラムの開発が急務である。
  • 関 智子
    2023 年 24 巻 2 号 p. 28-34
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/05/10
    研究報告書・技術報告書 フリー
    本稿では,Land Ethicを提唱したアルド・レオポルド(1887-1948)に照射し,これまでわが国ではほとんど知られていなかった教育者としてのレオポルドの側面を紹介する.レオポルドは1933年に米・ウィスコンシン大学に教授として就任,狩猟鳥獣管理の講座を担当し,以後1948年までに大学院生26名を輩出した.この報告では,大学院学生と民主主義的な関係性を築きかつ尊敬と信頼を集めるLeopoldの教員としてのスタンスについて述べる.また彼の講座は他の例を見ない唯一の内容であり,手をかけて作成された資料を利用して行われていることについて説明した.その教育のねらいは知識やデータの部分的で機械的な理解にとどまらず,自らの体験と結びつけて自然界について考察する観察眼を醸成することであった.知識偏重といわれる日本の教育内容は根本的に見直される必要があるかもしれない.レオポルドの教育法は時代と分野を超えて,現代の私たちに多くのヒントを与えるものである.
  • -八戸開業20周年・札幌延伸と在来線の行方-
    櫛引 素夫, 竹内 紀人, 工藤 裕介, 永澤 大樹
    2023 年 24 巻 2 号 p. 35-44
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/05/10
    研究報告書・技術報告書 フリー
    4年間にわたる「『人口減少×新幹線』社会の再デザイン」プロジェクトの結果を報告するフォーラムを開催した.JR津軽線の利用状況と存廃の議論,青森県内各地の移住・定住施策,山形県の仕事・移住に関するプロモーション活動,金沢大学と信州大学の留学生地元就職プログラム,さらに函館市の人口動向などがテーマとなった.東北新幹線開業から20周年を迎えた八戸市に関する検討も行われた.
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