日本応用きのこ学会誌
Online ISSN : 2433-0957
Print ISSN : 1345-3424
7 巻, 3 号
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  • Doolyi Kim, 東 智則, 原田 陽, 佐久間 洋, 安藤 聡, 玉井 裕, 三浦 清
    原稿種別: 本文
    1999 年 7 巻 3 号 p. 95-99
    発行日: 1999/10/30
    公開日: 2018/04/20
    ジャーナル オープンアクセス
    エノキタケの子実体誘導処理後7日目の菌体からcDNAライブラリーを作製し,ディファレンシャルスクリーニングによりFVFD30遺伝子のcDNAクローンを単離した.ノーザン解析の結果,FVFD30は子実体誘導処理後1日目から10日目の子実体原基形成時までは転写発現していたが,子実体誘導処理以前および子実体成熟期には発現が検出されなかった.この発現特性から,FVFD30は子実体形成の初期段階に関わる遺伝子であると考えられた.FVFD30 cDNAは319アミノ酸残基からなる分子量34,592のタンパク質をコードするORFを含んでいた.既知配列とのホモロジー検索の結果,FVFD30タンパク質は酸化還元酵素である可能性が示唆された.
  • 陶山 一雄
    原稿種別: 本文
    1999 年 7 巻 3 号 p. 101-107
    発行日: 1999/10/30
    公開日: 2018/04/20
    ジャーナル オープンアクセス
    White line(WL)形成法を利用したPseudomonas tolaasiiが感染したきのこ類(ヒラタケ,エノキタケ,マッシェルーム)の診断法を開発するため,WL形成条件を検討した.WLはP. tolaasiiとPseudomonas sp. (white line reacting organism, WLRO)をPseudomonas agar F, King's B培地およびTMGA培地で対峙培養したときに形成された.PAF,TMGAに形成されたWLは明瞭で,安定していたが,King's B培地では形成出来ない菌株が存在し,形成されても不明瞭で,培養が長くなると消失する傾向が観察された.P. tolaasiiとWLROの対峙距離は20mm以内であれば明瞭なWLが形成され,距離が短いほど早く形成された.WLはきのこに病原性を有するP. tolaasii菌株のみが形成し,病原性を喪失した変異株はWL形成能を失っていた.きのこ類に軟化腐敗症状を起こすErwinia sp.やきのこから分離される非病原性細菌には形成能が認められなかった.発病子実体組織をWLROと対峙して培養すると,約80%の組織片が2日後に明瞭なWLを形成したので,病斑部から細菌の分離培養をすることなく,P. tolaasn 感染株を直接診断に利用できた.
  • 北本 豊, 山根 延夫
    原稿種別: 本文
    1999 年 7 巻 3 号 p. 109-114
    発行日: 1999/10/30
    公開日: 2018/04/20
    ジャーナル オープンアクセス
    アミスギタケの液内培養菌糸体からの子実体発生について検討した.3L容のガラスビンにマルトース,ペプトンを主成分とする液体培地を2L入れ,予めPDA培地3枚に平板培養したコロニーを約1〜2mm角に切断して調製した多数の菌糸体片を接種し,27℃で通気撹拌培養した.つぎに培養した菌糸体ペレットを濾過により培養液液と分離・収穫してペトリ皿に移し,菌糸体ペレットの高さの半分程度まで培養濾液を加えて浸した.このペトリ皿を27℃,光照射下で培養して子実体形成を誘導したところ,1-2日後に各ペレットの直接空気と接触する部分から気菌糸が発生し,つづいて原基が発生し,成熟子実体が形成された.しかし,繊維状に増殖させた菌糸体では子実体発生が大幅に遅れ,2週間では成熟子実体は形成されなかった.菌糸体ペレットの大きさと子実体形成の関係は,ペレットサイズが直径10mm前後のものが最適であった.ペレットからの子実体発生数はペレットのサイズが10mmまでは大きいほど増加し,ペレット当たりの成熟子実体の可能な形成数は1個程度と推測された.子実体形成に対する所要目数は約10日であった.
  • 寺下 隆夫, 井上 隆明, 中家 陽子, 吉川 賢太郎, 坂井 拓夫
    原稿種別: 本文
    1999 年 7 巻 3 号 p. 115-119
    発行日: 1999/10/30
    公開日: 2018/04/20
    ジャーナル オープンアクセス
    ブナシメジの栄養菌糸の熟成および子実体生育におけるメタルプロティナ-ゼ(Mpase)の役割を明らかにする目的で,著者らはMpase活性の変動を追跡した.分画されたpI7.7およびpI8.4の菌体内Mpase活性が鋸屑・米糠培地を用いたこのきのこの培養期間を通じて測定された.PI8.4のMpase活性は栄養菌糸生育期に著しく上昇し,菌接種後25日目で最大に達した.しかし,菌糸熟成の開始と共にその活性は低下し始め,子実体原基形成の開始と共に再び上昇に転じた.一方,pI7.7のMpase活性のレベルは栄養菌糸生育および菌糸熟成期間を通じてpI8.4のMpaseに比較するとかなり低値であった.また,著者らは本菌の栄養菌糸成長期および子実体形成期に生産されるpI8.4のMpaseが免疫学的に同一であるかどうかを検討し,両酵素が同一であることをウエスタンブロッティング分析によって明らかにした.
  • 加藤 幸浩, 原田 陽, 山村 忠明, 青山 政和, 中谷 誠
    原稿種別: 本文
    1999 年 7 巻 3 号 p. 121-125
    発行日: 1999/10/30
    公開日: 2018/04/20
    ジャーナル オープンアクセス
    シイタケ(Lentinula edodes)菌床栽培において培地基材として用いられる広葉樹おが粉の代替材料として,クマイザサ(Sasa senanensis)葉の蒸煮・熱水抽出残渣の利用可能性を検討した.ササ葉残渣が培養時の菌糸成長および子実体の形態に及ぼす影響は観察されなかった.ササ葉残渣による置換率が50%までの場合は子実体の収量に有意差は認められず,無置換の場合に比べて子実体が大型化する傾向がみられた.これらの結果から,広葉樹おが粉に対する置換率を50%以下にとどめれば,ササ葉の蒸煮.熱水抽出残渣はシイタケ菌床栽培の培地基材として利用可能であることが示唆された.
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