岡山県林業試験場で開発中の棒状植生マットを用いて,1997年2〜6月に同場内道路法面の緑化を試みた。マット内にはアベマキ,コナラ,アラカシ,シラカシ,ウバメガシ,スダジイ等の堅果種子が含まれている。マットの培地はA,B,Fマットではバーミキュライト,C,D,Eマットではバーミキュライト,マサ土,パーク堆肥が含まれている。この調査から以下の点が明らかになった。(1)種子を5℃以下で保存した場合,アベマキでは4月中旬まで,アラカシでは6月中旬までともに60 %以上の発芽率を記録した。(2)樹高成長はいずれの樹種も肥料木のヤマモモ,オオバヤシャブシに比べ。生育不良であった。(3)3年経過後の枯損率はA〜Fマットのいずれの樹種も20%未満であった。(4)マット間隔を30〜40cmに設定することによって1998年6月以降,A〜Fマットによる植被率は60 %以上を記録した。以上の結果より,法面勾配が40〜48°,山中式土壌硬度計による土壌硬度が16〜20mmの法面の場合,A〜Fの棒状植生マットに使用した堅果種子の樹高成長は期待できないが,肥料木との混播により,法面への導入は可能であることが示唆された。
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