山村の抱える課題として,農林業などの産業基盤や生活基盤の不備,そして,社会組織の脆弱化があげられる。そして,山村における産業基盤や生活基盤の不備については,効果の有無は別として,様々な対策が取られてきたが,「社会組織の脆弱化」については,これといった対策が取られてこなかった。この脆弱化した社会組織を再び活性化させるためには,地域に新しいアイデンティティを形成するための社会変化を促す必要がある。このような社会変化を促すためには,「内発的発展」が重要な役割を果たす。「内発的発展」は,地域住民を繋ぐネットワーク上に存在し,そのネットワークは,地域住民共通の,「大切なもの」を守ろうとする「思い(紐帯)」で結ばれている。そして,地域の「大切なもの」を守ろうとする「思い」が強ければ強いほど,そのための取組が,活発化し,「地域資源(コモンズ)」の必要度が高まる。
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