葉と通導組織の機能的関係を調べる研究は,樹木がどのように成長し,生存しているのかを知る上で重要である。樹木の葉の展開については定性的に調べられてきたが,定量的に示すことができれば葉の生理的フェノロジーを解析できるようになり,その意義は大きい。個葉面積の拡大については,これまでにミッチャーリッヒ・ロジスティック・ゴンペルツの3 曲線によって定量化が試みられてきたが,リチャーズ成長関数の適用については充分に検討されていない。この関数はA・k・b・m・t0 の5 つの媒介変数を持ち,m の値によって上述の3 曲線を包括する。本研究は,この関数を用いて個体の葉面積の経時変化を定量化し,管孔性にかかわらず用いることができる展葉モデルを開発することを目的とした。解析には,温帯林に生育する環孔材樹種のコナラと散孔材樹種のモミジバフウの定期的に採取した葉の試料を用いた。解析の結果,この関数の使用で両樹種共に葉面積の季節変化を示すことができ,左右非対称なゴンペルツ曲線が選択された。以上の結果から,リチャーズ成長関数を用いることで曲線の型を気にすることなく葉面積の経時変化を定量化することが可能であることを示せた。
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