アプライド・セラピューティクス
Online ISSN : 2432-9185
Print ISSN : 1884-4278
ISSN-L : 1884-4278
12 巻
選択された号の論文の2件中1~2を表示しています
  • Ayano Iwazaki, Naoya Suzuki, Mao Tomida, Rieko Hamada, Miyuki Nagatan ...
    2019 年 12 巻 p. 1-10
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/07/20
    ジャーナル オープンアクセス
    要旨 【背景】後発医薬品の使用は増大する国民医療費の削減の手段として重要な政策となっているが、使用推進の妨げの一つとして後発医薬品の品質に対する不安が挙げられている。本研究では品質情報の一つとして溶出挙動に着目し、テオフィリン徐放錠の先発医薬品と後発医薬品の溶出試験を実施し、薬剤師が薬学的知見を活用し患者の安全に寄与するため、先発医薬品から後発医薬品へ薬剤を選択する際の判断の指標となる情報を得ることを目的とした。 【方法】テオフィリン100 mg徐放錠9品目のそれぞれ2~3ロットについて溶出試験を行い、溶出挙動とその類似性、同等性を確認した。 【結果】水における溶出試験では、溶出挙動に4種のパターンが見られた。ロット間では、溶出挙動に差がみられる品目もあった。溶出挙動の類似性および同等性について、医療用医薬品品質情報集(オレンジブック)で分類される比較対照の先発医薬品と類似性があるとは言い難い品目が認められた。 【結論】溶出挙動は先発医薬品間においても製剤特性により異なることから、患者に投与する後発医薬品を選定する場合には先発医薬品の溶出挙動も考慮することが必要であると考えられる。現在のオレンジブックで溶出性に係る分類が同じグループであっても、溶出挙動には違いが生じる場合があることが示唆され、薬剤師はこの薬学的知見を活かし、後発医薬品へ変更後の患者の状態についても注意を払う必要があると考えられる。
  • 梅村 雅之, 邑松 俊亮, 福谷 勇真, 池上 雄貴, 吉田 彩乃, 柳原 保, 脇屋 義文
    2019 年 12 巻 p. 11-18
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/10
    ジャーナル オープンアクセス
    医薬品と医療器材の相互作用として、輸液チューブやフィルター等のプラスチック製品に対する吸着や収着があり、これらが原因となり、適正な投与量の確保ができない場合がある。特に、口腔内には、義歯や義歯安定剤等のプラスチック製品が汎用されているが、これらと医薬品との相互作用についてはほとんど報告されていない。そこで、口腔内スプレー剤、舌下錠、および口腔内崩壊錠(OD)錠について、義歯安定剤との相互作用の有無を検討した。 不溶性義歯安定剤を13種類の医薬品の水溶液に約1時間接触し、溶液中の医薬品の残存率を1H-NMRで測定し、吸着率を算出した。その結果、義歯安定剤と各種薬剤を接触した場合の吸着率は、9種類の薬剤において5%以下であった。一方、OD錠のバルサルタンとイルベサルタンの吸着率は、それぞれ20および45%、舌下に用いる硝酸イソソルビドとニトログリセリンは、それぞれ70および35%であり、コントロールと比較し、それらの吸着率は有意(P<0.05)に高かった。さらに、これらの4つの医薬品の吸着率は分配係数と相関(P<0.05)した。 これらの結果より、口腔内に留めることが多い舌下あるいはOD錠は、義歯安定剤を使用している患者では、吸着や収着によって治療効果が低下する可能性が示唆された。今後、さらに吸着の危険性のある医薬品を探索する必要があると考えられる。
feedback
Top