失語症研究
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14 巻, 1 号
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原著
  • 遠藤 邦彦
    1994 年 14 巻 1 号 p. 1-10
    発行日: 1994年
    公開日: 2006/06/06
    ジャーナル フリー
    左半球損傷による口・顔面失行 (BFA) 27例の臨床症状を分析した結果,動作の種類によって誤反応が異なり,呼吸に関連する動作を演じる時は声の漏出が,摂食に関連する動作では錯行為が多かった。誤りの内容は合併する失語のタイプによっても異なり,運動失語では声の漏出が,感覚失語や健忘失語では錯行為が多かった。また,重い口・顔面失行が構音失行や語音認知障害に合併すると構音に影響を生じることが示唆された。口・顔面失行例と,口・顔面失行のない左半球損傷例の病巣の比較から,口・顔面失行の責任病巣は左縁上回前下部から左中心後回後下部に至る領域と考えられた。口・顔面失行と上肢の失行は左頭頂葉の病巣の高さに対応して独立して生じたり合併したりするが,基本的に同じ仕組みの神経情報処理機構が損傷されて出現すると推察された。失行症の出現のメカニズム,および失行症の臨床症状の差異のメカニズムを行動理論を用いて説明を試みた。
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