失語症研究
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15 巻 , 2 号
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教育講演
シンポジウム
  • 保崎 秀夫, 岩田 誠
    1995 年 15 巻 2 号 p. 148-149
    発行日: 1995年
    公開日: 2006/06/02
    ジャーナル フリー
  • 物井 寿子, 辰巳 格
    1995 年 15 巻 2 号 p. 150-156
    発行日: 1995年
    公開日: 2006/06/02
    ジャーナル フリー
    一般に失語症患者は,自己の言語障害に対して, awareness を有しているように思われる。しかし,「話す」側面と「聞く」側面では awareness にちがいがあることを臨床的に経験する。そこで,訓練意欲のある30例を対象に,「話す」「聞く」の側面別に,2種の主観的評価,すなわち,困ることの有無 (「困難度」) および病前の言語能力に比較した現在の言語能力の程度 (「言語能力」) を評価させた。これを言語能力に関する2種の客観的評価,すなわち失語症鑑別診断検査 (老研版) および実用コミュニケーション能力 (CADL) 検査の成績と比較した。その結果,「話す」側面の障害に対しては,高率で awareness を有していたが,「聞く」側面に対しては awareness が低下している例が多いことが明らかとなった。
  • 種村 留美
    1995 年 15 巻 2 号 p. 157-163
    発行日: 1995年
    公開日: 2006/06/02
    ジャーナル フリー
    拮抗失行症例における離断された awareness と視覚失認の症例における awareness の低下を作業療法の立場から検討した。拮抗失行の症例に対し Luria の機能再編成の観点から言語的行動調整を行なった結果,左手動作の制止が可能となり,日常生活動作が自立し,職業復帰も可能となった。この改善は自らの発声による言語命令が Wernicke 野を通じてフィードバックされ,左頭頂葉で運動企図と統合されたためと考えられた。左半球で生じた意図的動作に拮抗する右半球の過程を抑えることが必要であった。次に相貌失認などさまざまな視覚失認を呈した症例に対し,視知覚機能を高めるため activity を行ない改善が得られた。本症例では運動覚により視覚認知の機能再編成が行なわれたと考えられた。また視覚認知障害の性質と潜在的認知過程との関連について絵の呼称に関するプライミング実験を行なった結果,形態的表象から意味的表象を導くレベルに障害があることがわかった。
  • 中西 雅夫, 中村 光, 濱中 淑彦, 吉田 伸一, 仲秋 秀太郎, 波多野 和夫
    1995 年 15 巻 2 号 p. 164-174
    発行日: 1995年
    公開日: 2006/06/02
    ジャーナル フリー
        自記式「記憶の質問紙」 (患者用132問,家族用104問) を作成して,健忘患者とその家族に施行し,健忘症状に対する患者の自覚度の障害 (unawareness (UA)) を, (1) 疾患・病巣側性別, (2) 神経心理学的検査成績との相関に焦点をあて,家族の患者の健忘症状に対する評価得点から患者の健忘症状の自己評価得点を引いた値を UA 値として検討した。
        対象は54例で,疾患別では,側頭葉てんかん20例,脳血管障害14例, Alzheimer型痴呆 (DAT) 16例,まだ DAT と診断できない変性脳萎縮疾患4例,病巣側性別では,左半球病巣11例,右半球病巣11例,両側半球・び漫性病巣・病巣不明 (BHL) 32例である。
        UA 値は,疾患・病巣側性別で有意差 ( DAT と BHL で高値) があり,また右半球損傷を示唆する非言語性記憶検査成績低下などと有意な相関がみられた。したがって, unawarenessは右半球損傷と関連があり,さらに左半球病巣が加わるとより重度となると考えられた。
  • 山鳥 重
    1995 年 15 巻 2 号 p. 175-180
    発行日: 1995年
    公開日: 2006/06/02
    ジャーナル フリー
        脳梁離断患者の研究は意識が左半球に偏って構造化されていることを示唆している。左右半球の機能を比べると,左半球に優位な機能は言語,計算,意図的行為,道具使用,物品同定などであり,右半球に優位な機能は時間・空間性注意の制御・維持,知覚形態の範疇化,外空間に分布する対象と自己との関係の把握,感情の受容/表出の制御・調整,運動背景の維持,開眼制御,言語活動の全体的制御 (言語性諸パラメーターの同時把握) などである。
        左半球機能の特徴は心理的に表象しやすい,つまり分節しやすいイメージ群の処理であり,右半球機能は分節しにくい,持続的連続的心理過程,あるいは関係性心理過程の処理である。この事実から,意識されやすいのは心理表象性過程であり,右半球機能はそのような経験を可能にするための構造的枠組みを作る働きを持つのではないかと考えられる。
  • 鹿島 晴雄
    1995 年 15 巻 2 号 p. 181-187
    発行日: 1995年
    公開日: 2006/06/02
    ジャーナル フリー
シンポジウム指定討論
  • 武田 克彦
    1995 年 15 巻 2 号 p. 188-191
    発行日: 1995年
    公開日: 2006/06/02
    ジャーナル フリー
    左右の neglect dyslexia の症状を比較することを目的に,左 neglect dyslexia 7例と右 neglect dyslexia 3例に高頻度語を音読させるという同じ検査を施行した。左 neglect dyslexia を示す例では word length effect を示し,文字の省略が錯読より多く,左から右に書かれた単語も右から左にと書かれた単語でも空間的な左側を省略することが明らかとなった。また visual neglect の検査で全例が左側の無視の症状を示した。一方,右 neglect dyslexia を示す例では,単語の長さの影響はなく,文字の錯読が省略より多く,単語が左右どちらから書かれてあっても空間的な右側を読み誤り, visual neglect の検査では無視が認められなかった。今回の検討からは,左右の neglect dyslexia は対称的であるとはいえず,その発現のメカニズムに違いがあることが示唆された。
  • 田中 久, 武田 明夫, 石川 作和夫
    1995 年 15 巻 2 号 p. 192-197
    発行日: 1995年
    公開日: 2006/06/02
    ジャーナル フリー
    脳血管障害により病態失認 (AG) ないし身体パラフレニア (SP) を呈した 21例 (右病変 19例,左病変 2例) について,病変部位,症候の発現様式,背景因子,随伴症候を検討した。症候の内訳では,AG のみが8例,AG に SP を伴うものが 12例,患肢の喪失態に SP を伴うものが1例であった。 AG は,右病変では頭頂葉を中心とした広範な皮質・皮質下病変や視床病変で生じる例が多く,左病変では,視床・基底核~後方皮質下病変で失語の軽度な例に生じた。 SP を伴う例では,病変の広がりがより広範囲であった。AGは,患側の上下肢に同程度に出現する例が多いのに対し,SP では,患側上肢の特に前腕以下にみられる例が多かった。特に SP を伴う例では,高齢者,女性が多く,重度の片麻痺と知覚障害,同名性半盲,脱抑制などを高頻度に伴い,症候が長期間持続する例が多く,機能的予後は不良であった。
  • 船越 昭宏, 井上 有史
    1995 年 15 巻 2 号 p. 198-203
    発行日: 1995年
    公開日: 2006/06/02
    ジャーナル フリー
    記憶に関する質問紙を,側頭葉切除術を受け,発作の抑制された側頭葉てんかん56名 (優位側切除群27名,非優位側切除群29名) に施行して,術後の主観的な記憶評価を調べ,記憶障害の自覚がどのような要因と関連するのかを検討した。優位側切除群は正常対照群15名に比べて記憶障害を強く自覚し,手術後に記憶機能が低下したと考えていた。一方,非優位側切除群は記憶障害を自覚せず,術前から術後にかけての変化の意識もなく,むしろ正常対照群より記憶の変化の自覚に乏しかった。術前術後にかけての記憶検査成績の変化,切除範囲の違い,薬剤数の変化は優位側切除群での記憶障害の自覚の高さを説明しなかった。しかし人格検査とは相関がみられ,内向的—神経症傾向と記憶障害の自覚が関連することが示唆された。以上,切除側と人格傾向が術後の記憶障害の自覚に強く影響すると考えられた。
  • 池尻 義隆, 森 悦朗, 博野 信次, 今村 徹, 山下 光, 中川 賀嗣, 山鳥 重
    1995 年 15 巻 2 号 p. 204-208
    発行日: 1995年
    公開日: 2006/06/02
    ジャーナル フリー
    アルツハイマー型痴呆患者の記憶障害に対する病識を, 質問票を用いて患者の記憶能力についての患者自身と介護者の評価の差をみる方法と医師による面接判断で評価し比較した結果, 両者は必ずしも一致しなかった。この理由として, 両方法の評価範囲の違いのほかに面接者や介護者の判断が正しくなかった可能性も考えられた。また, いずれの評価法でも, 病識低下は記憶障害 (ADASの記憶関連下位項目, WMS-R の General Memory Score), 全般的な痴呆重症度 (MMSE,ADAS の認知機能尺度, WAIS-R の FIQ), 発症からの期間, 年齢, 教育歴, 前頭葉機能尺度 (Fist-edge-palm test, Red-green test, Color-form sorting, RCPM), 他の心理検査 (WAIS-Rの VIQ, PIQ,Zung うつ尺度) と相関しなかった。脳機能画像による病変部位の検討も今後は必要であろう。
原著
  • 杉本 諭, 網本 和, 三好 邦達
    1995 年 15 巻 2 号 p. 209-214
    発行日: 1995年
    公開日: 2006/06/02
    ジャーナル フリー
    われわれは左半側無視を示すモヤモヤ病による多発性脳梗塞例を対象に,頭部に対する体幹の回旋方向の違いによる線分2等分課題の成績を検討した。症例は40歳の右利き女性で,主病変は右頭頂後頭葉であった。測定条件は,体幹回旋3条件 (右回旋,左回旋,正中) ,呈示空間3条件 (右側,左側,正面) の組み合わせによる9条件とし,それぞれ8試行計72試行について各条件ごとの平均値を求め分析した。その結果,正面および右空間においては体幹回旋による影響が小さかった。左空間においては体幹左回旋時に2等分点が左へ偏位し,この偏位は体幹右回旋および正面時に比べ有意であった (p<0.05) 。すなわち線分に対する視覚的空間の認識は体幹の方向へ依存しており,特に左空間で強く現れる場合があると考えられた。
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