養殖ワカメの葉体長30-40cm級の成葉体を主に使用して, それぞれの茎部に標識をつけ茎葉移行部より数cm上方にパンチにて穿孔し, パンチ孔間の測定から葉状部の成長ならびに茎の成長および測定時の葉長・葉体長の測定から真の葉長・葉体長を計算して, 時期的に葉体の成長と末枯れおよび水温との関係を調べ次の結果を得た。
1) 12月下旬-3月中旬の間は成長が盛んで, 葉状部で12-15mm/day, 全成長は14-23mm~dayを示した。 3月下旬頃には成長も緩慢になり, 葉状部では5-10mm/day, 全成長では13mm/day前後となり, 4月中旬以降はともに2-5mm/dayとなって成長が著しく鈍くなった。
2) 末葉れは成長が盛んな2月中旬頃までは5-10mm/dayで, 成長>末枯れで伸長は続けられるが, 3月下旬頃になると末枯れが10-20mm/dayとなって成長≒末枯れ, または成長<末枯れとなって伸長は停止し, 4月中旬以降成長が著しく鈍るとともに末枯れが短期間で著しくなり成長<末枯れとなり, 葉状部, 葉体部とも末枯れが成長の2.5倍以上13倍となり葉体は著しく短縮した。
3) 3月中・下旬より1cm以下のクシバ状葉片数の減少が目立ちはじめ, ワカメの生活機能の衰えとともに成長が鈍り, 末枯れによる減耗が大きくなって伸長は停止→短縮した。
4) 水温が12-13℃より10℃に下がる頃は成長が盛んで成長<末枯れで盛んに伸長を続け, 13-14℃になると成長が緩慢になり成長≒末枯れとなって伸長は停止した。 しかし, トップ・グループの成長の早い葉体はこの頃にはすでに成長が著しく鈍り成長<末枯れとなった。 水温14-15℃になると成長が鈍り成長<末枯れとなり葉体は短縮し, 17-18℃以上になると成長が著しく鈍り, ほとんど末枯れによる減耗のみとなった。
5) 成長は葉体の老幼も関係するが, 温度の支配が大きく, 末枯れは温度よりも葉体の老幼に大きく左右されるように考えられる。 また高水温は成長を低下させるとともに老化を早め, 間接的には末枯れを早めて見掛けの成長を低下させている。
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