有明海島原でワカメ養殖試験を行い, 生産過程での生育密度・体長組成の変化・生長・収量について, 間引き・一斉採取の場合について調べ次のような結果を得た。
1) 生育密度は12月下旬に850個体/mで最大となり, その後は間引きした場合と否とにかかわらず減少して2月中旬に300個体/m, 養殖末期には200個体/mぐらいになった。
2) 間引きしなかったものは1月上旬に大型群体長50-70cmとなって数群を作り, 2月中旬に大型群体長が80-100cmに移行すると, 体長5cm以下の幼葉がなくなり, 3月下旬には10数群を作るが体長は150cmを生長限界として見掛けの体長は小さくなる。
3) 間引き採取は大型群平均体長が50-60cmになったときに経験的に行われ, 間引き直後の大型群平均体長は30-40cmで, 間引きによって体長50cm以上の個体が殆んどなくなる。養殖末期まで6回の間引きで採取個体数は約340/mであった。
4) 体長40cm級以上のものが採取の対象にされたとすると, 間引き採取では養殖個体数の約40%, 2月中旬以降の一斉採取では約15%を利用したに過ぎない。
5) 1回の間引き採取で養殖末期を除くと平均0.8kg/mの採取量で, 単位平均生産量は7.0kg/mであった。
一斉採取によ単位平均生産量は3月上旬を境に急増し, 3月では17.0kg/m, 養殖末期には30.0kg/mとなった。しかし, 品質と全体の収量の増加を計る点では3月上旬の一斉採取が適期と思われる。
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