1.昭和41年4月から42年8月まで17ケ月間, 千葉県浦安, 神奈川県三浦半島沖, 静岡県御前崎沖, 愛知県渥美町の4ケ所の天然海水を各月2回, 20
lずつ採取し, 各月1回, スケレトネマ及びノリ人工培養試験を人工海水と対比して行い, 天然海水のノリ生育に対する効果を調べた。
2.試験結果より4ケ所の海水の特性は季節的に変動し, 冬期 (10月~2月) の海水は人工海水を上まわる良好な成績であるが, 夏期 (4月~9月) の海水は人工海水より劣り, 極端な場合には人工海水の40%台にまで生育は低下した。一方, 地域による差はあまり顕著でなく, 外洋水の影響の大きい御前崎, 三浦半島の海水では生育め変動幅が広く, 生育も劣ったが, その程度は僅かであった。
3.天然海水の改質を試みたが, キレート剤添加と活性炭処理は無効で, むしろ海苔漁場の海底砂泥を海水と混合攪拌炉別した後の海水によって8%程度の改善が認められた。
終りに臨み, 本研究の機会を与えかっ終始御指導御鞭を賜った協和醗酵工業株式会社会長木下祝郎博士に深謝申上げる。
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