1.浅海養殖漁場の環境状態を把握するために, 溶存酸素量の航走調査法によって, その水平分布を調べた。酸素分布図の作成, 酸素減少量, 酸素減少率, 酸素勾配および酸素利用度などについて解析を行い, 酸素分布に及ぼす給餌の影響について検討を加えた。
2.酸素分布によって, 給餌開始後, 渦巻き状の低酸素水域が視覚化されるなど, 給餌に伴う環境への負荷を容易に把握することができた。
3.等酸素線の混み具合を示す酸素勾配は, 養殖場内の給餌中で0.57ppm/100mと最も高く, 養殖場外のそれに比べて約6倍もの急勾配を示した。
4.養殖場外の最高酸素量から養殖場内の最低酸素量を差し引いた酸素減少量は, 給餌後に2.4ppmと, 給餌前の2倍に達した。また, 酸素減少率も同様の傾向を示した。
5.養魚に伴う酸素利用度は, 給餌前で0.41ppm/haであったが, 給餌中で0.54ppm/haとなり, 給餌中は給餌前よりも約30%増加した。従って, 酸素消費に及ぼす給餌の影響が大きいことが判明した。
6.浅海養殖漁場における酸素分布の調査時間帯は, 給餌の影響を避けて, 給餌前の早朝に実施するのが適している。
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