ニロチカ,
Oreochromis niloticusを植物プランクトン繁殖水を注入しながら飼育し, 成長と排フン量及び注排水中の水質などを測定し, 植物プランクトンの回収除去が水質に及ぼす変化について検討した。
1) ニロチカの飼育水槽を通過した植物プランクトンの藻類組成は大きく変化し, 藍藻類の割合が低下し, 他の藻類の割合が増加する現象がみられた。
2) 比較的高い排フン量を示すものの増量がみられず, N, Pの回収量がマイナスとなる例がみられるなど, 産卵行動は増量や摂食量に悪影響を与え, N, Pの回収除去量を低下させていた。
3) 植物プランクトンなど有機物の懸濁した状態の測定項目 (未濾過COD, T-N, Org-N, T-PとPO
4-Pはニロチカの飼育水槽を通過すると, それらの濃度はいずれも低下し, 逆に有機物を含まない濾過CODや無機態Nの排水値はいずれも高くなる現象がみられた。
4) 単位時間当たりの平均負荷除去量は未濾過CODで73.37mg/kg・hr, 濾過CODで-19.57mg/kg・hr, 無機態Nで-0.24~-3.87mg/kg・hr, Org-Nで12.87mg/kg・hr, T-Nで6.67mg/kg・hr, T-Pで0.88mg/kg・hr, PO
4-Pで0.033mg/kg・hrを示した。
5) Org-Nの負荷除去量によって, T-Nに回る割合, すなわち回収除去量は変化し, 除去効果を高めるにはOrg-Nの除去量 (植物プランクトンの摂食量) を高めることが重要であった。
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