1) 本実験はワムシの環境順応性が産地別にどのように異なるかを知る目的で, 塩分濃度に対する順応性について, 寿命, 総産仔数, および日間増殖係数の面から調べてみた。
2) 供試材料は屋島大型 (YL) 株, 屋島小型 (YS) 株, マレーシア小型 (MS) 株, ジャワ小型 (JS) 株, およびイスラエル大型 (IL) 株の5株とした。
3) 設定塩分濃度は, 5‰, 15‰, 25‰, 35‰, および45‰の5段階とした。実験期間は75日間とし, その間, 0日目, 15日目, 35日目, 55日目および75日目に供試ワムシの寿命, 総産仔数, および日間増殖係数を調べた。なお, 期間中のすべての飼育は水温25℃, 照度1, 000lux (光周期15L: 9D) に設定したインキュベータ内で行った。
4) 平均寿命は, YL株の10.3日が最高であり, 次いでMS株の9.0日, YS株とIL株の8.5日, JS株の7.8日の順であった。平均総産仔数は, MS株が14.9ind/genで最も多く, 他の株はJS株の12.3ind/gen, YS株の12.0ind/gen, IL株の11.0ind/genの順であった。平均日間増殖係数は, JS株の0.62が最高であり, 次いでMS株の0.59, IL株の0.50, YL, YS株の0.47であった。
5) 塩分順応度はYL株が寿命と総産仔数の両面で最も順応度が高く, 次いでIL株の45‰区が長寿化の面で高い順応性が伺われた。その他の株も長寿化や総産仔数の面で順応性は見られたが, その傾向はYL株ほど顕著ではなかった。
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