水産増殖
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41 巻, 4 号
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  • 石田 修
    1993 年 41 巻 4 号 p. 431-433
    発行日: 1993/12/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    クロアワビの成長におよぼす飼育密度の影響を調べた。殻長15mmの稚貝を, 340~920個/0.48m2の密度で, アラメとカジメを飽食給与して約3ヶ月間 (102日) 飼育し, 殻長, 個体重および生残個体数を計測比較した。高密度区ほど, 殻長および個体重の増加は抑制されたが, 生残率はほぼ一定に保たれた。また, 生物体量は660個体/0.48m2までは直線的に増大し, 920個体/0.48m2で増加率が抑制された。したがって, 本実験条件下では狭義の密度効果は660個体/0.48m2までは認められないと判断された。
  • 山元 憲一, 田中 実, 田中 直樹, 神薗 真人, 秋本 恒基
    1993 年 41 巻 4 号 p. 435-438
    発行日: 1993/12/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    鰓の小片のほふく速度はマガキおよびタイラギではほぼ同じ値を示し, クマサルボーではそれらより遅かった。水温を上昇させると, 速度は大きくなり, マガキでは水温37℃, タイラギおよびクマサルボーでは水温31℃で最大となった。鰓の小片のほふく運動はマガキでは水温43℃, タイラギおよびクマサルボーでは40℃で停止した。酸素飽和度を急激に低下させると, ほふく速度はマガキおよびタイラギともに酸素飽和度40%までは酸素飽和した状態での値を維持したが, さらに酸素飽和度が低下すると減少した。
  • 尾定 誠, 野村 正, 森 勝義
    1993 年 41 巻 4 号 p. 439-443
    発行日: 1993/12/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    トリブチルスズオキサイド (TBTO) によるマガキ, Crassostrea gigasの発生に対する阻害作用は, 受精後24時間以内では1.8μg/lの濃度で観察され, D型幼生の発生におけるEC50値は3.0μg/lであった。急性毒性試験の結果, 受精卵およびD型幼生における24時間LC50はそれぞれ7.0μg/lおよび15.0μg/lであった。また, 付着稚貝の48時間LC50は35.0μg/lであった。このことは, 発生や成長の初期の個体ほどTBTOに対する感受性が高いことを示唆している。さらに, 付着稚貝を用いた2.83, 0.92および0.29μg/lTBTOの生物濃縮係数は, それぞれ約1, 000, 1, 500および2, 300と算出された。
  • A.B. ABOL-MUNAFI, 楳田 晋
    1993 年 41 巻 4 号 p. 445-453
    発行日: 1993/12/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    人工生産されたキチヌ仔魚について, 摂餌開始時より孵化後7日目まで, 水温, 光, 塩分濃度, 摂餌開始時期の成長および生残率に対する影響を調べた。23℃, 自然光, 100%海水, 孵化後3日目摂餌開始という条件下で高い成長 (平均約0.07mm/日) と生残率 (平均約74%) が得られた。23℃では, 無給餌区で孵化後6日目までの生残率は約2%と低く, 体長は増加しなかった。0-30lxでは体長および生残率は減少した。100-10%海水では成長に対しては影響がみられなかったが, 塩分濃度が低下すると生残率が低下した。
  • 楠田 理一, 河原崎 章元
    1993 年 41 巻 4 号 p. 455-460
    発行日: 1993/12/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    マダイ腎臓由来細胞の樹立を試みた結果, 100代継代後も増殖可能なRSBK-2細胞が得られたので, その性状について調べた。その結果, 形態は単一な線維芽性の細胞で安定, 染色体数の安定および宿主魚種マダイ染色体数との一致, コロニー形成率の低さ, 増殖のFCS依存性および接触阻害があることから, RSBK-2細胞は株化された形質転換していない正常細胞であると考えられた。今後の継代培養は, MEMをFCS濃度10%, pH6.8, 食塩濃度0.68%に調製し, 3×104細胞/mlとなるように接種して20℃で培養するのが望ましいと考えられた。また, -80℃の凍結保存が可能で, 細菌, マイコプラズマおよびウイルスに感染していなかったことから, RSBK-2細胞は今後のウイルス性疾病, 細胞の遺伝および生化学の研究に使用できると思われる。
  • 許 波濤, 山崎 繁久, 平田 八郎
    1993 年 41 巻 4 号 p. 461-468
    発行日: 1993/12/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    ヒラメに対するアオサの好適添加率を知る目的で, 市販の配合飼料にアオサ微粉末をA区で0%, B区で2%, C区で4%およびD区で8%と, 4試験区を設定し, 体重5gの稚魚を120日間飼育し, 成長, 飼料転換率, タンパク質効率, 血液性状, 体成分などを測定した。
    1.成長, 飼料転換率およびタンパク質効率は, B区で最も高かった。
    2.B区ではヘモグロビン, ヘマトクリット, 平均赤血球ヘモグロビン量および血清蛋白量などが有意に増加し, 血液性状の改善がうかがわれた。
    3.B区における供試魚の比肝重は, 他の3区より顕著に大きく, 脂肪含量も他区より有意に高かった。
    4.供試魚の目側筋肉の一般化学成分では, アオサ添加率の増加につれて脂肪含量は減少したが, タンパク質含量はB区で他区より有意に高かった。
    5.供試魚の成長, 餌料効率, 血液性状などの面からもアオサの好適添加率は, 2%程度と推察された。
  • Siti Shapor SIRAJ, 関 伸吾, 谷口 順彦
    1993 年 41 巻 4 号 p. 469-474
    発行日: 1993/12/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    コイ科Puntius属魚類6種における遺伝的変異および遺伝的分化を電気泳動法により分析した。16酵素非酵素蛋白質より, 24遺伝子座が検出された。多型の認められた遺伝子座はP.schwanenfeldiiにおける6PGDHP.tetrazonaにおけるMDH-1のわずか2遺伝子座であり, 一般的に種の遺伝的変異性は低かった。Puntius gonionotus6集団では遺伝的変異は認められず, 集団間の遺伝的分化も認められなかった。いっぽう, 12遺伝子座に基づく遺伝的距離の結果から, Puntius属6種はマレーシア塵の大型魚および小型魚とインドネシア産, 中国産の4グループに分けられた。
  • 工藤 真弘, 提 清樹, 皆川 恵
    1993 年 41 巻 4 号 p. 475-483
    発行日: 1993/12/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    1.1982年~1986年にかけて八丈島中之郷地先に放流されたフクトコブシ人工種苗1, 190~18, 240個体 (平均殻長15.6~25.0mm) について漁獲操業を通しての回収を試み, 成長, 回収率, 生残率を調べた。
    2.放流1年後, 2年後及び3年後の平均殻長はそれぞれ57.5~62.1mm, 65.8~72.1mmおよび73.6mmとなり, 放流1年後にはほとんどの個体が漁獲サイズ (殻長50mm以上) に達した。体重はそれぞれ26.7~32.4g, 34.7~47.1gおよび49.6gと推定された。
    3.放流時殻長が約10~30mmの範囲では放流時殻長が小さくとも成長量が逆に大きいことが示されたことから小型群の放流も有効とみられる。
    4.放流1年後の回収率は5.0~20.2%, 2年後の回収率は0.8~3.4%, 3年後の回収率は0~0.5%であり, 放流3年後までの累積回収率は5.8~23.6%と見積ることができる。
    5.回収個数と漁獲率の関係から放流1年後までの生残率は11.8~54.6%と推定された。
  • 山内 達也, 松田 宗之, 平田 八郎
    1993 年 41 巻 4 号 p. 485-489
    発行日: 1993/12/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    1.マダイ卵の早期確保とそのふ化率の向上を図るため, LHRH-aを単独投与した場合と, 加温・電照処理を併用した場合の有効性を比較した。有効性は, GSIを指標とした催熟, 産卵量, および孵化率によって求めた。
    2.ホルモン投与と加温・電照の併用区 (A区) と, ホルモン単独投与区 (B区) では, 両者ともGSIが1.28から11.59および15.39へと増加し, LHRH-aの効果が認められたが, A区のほうがより早く成熟に達した。また, 海面生簀による自然状態区 (C区) の親魚も通常の産卵期に向けGSIを1.28から4.73へと徐々に増加した。
    3.A区およびB区では実験開始9日後および16日後から産卵が始まった。この時のGSIはそれぞれ4.38 (10日後) および5.66 (20日後) であった。A区の産卵量は1, 469.1万粒で, その浮上卵率は平均61.2%であった。B区の産卵量は457.8万粒で, その浮上卵率は平均41.3%であった。
    4.A区, B区およびC区の孵化率は, それぞれ23.2, 0, および68.4%であった。
    5.これらのことから, LHRH-aを単独で投与すると, 催熟や早期産卵は認められたが, 孵化率を高めにはLHRH-aと加温・電照との併用が有効であることがわかった。
    6.A区で孵化した103.2万尾の仔魚を20tタンク4面で種苗生産を行い, 全長18.1mmの稚魚を24万尾取り上げた。ふ化仔魚からの歩留まりは23.3%であり, これまでの当センターにおける歩留まりとほぼ同じであった。
  • 石田 健次
    1993 年 41 巻 4 号 p. 491-496
    発行日: 1993/12/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    イタヤガイの養殖場所別の成長と養殖環境との関係を調べ, またその成長や生残率に及ぼす養殖方法の影響を試験し, 養殖技術の改良点を考察した。殻の伸長は養殖場所によって異なり, 波浪の強い場所では, みかけの殻の伸長は遅いが, 軟体部重量は増加していた。同じ型の収容篭では, イタヤガイの成長および生残率は, 収容密度が低いほど優れていた。また, 異なる型の篭では, 水中で安定し底面積が大きい5段篭と着底式篭で優れた成長と生残率が得られた。
  • 山下 洋, 山本 和稔, 長洞 幸夫, 五十嵐 和昭, 石川 豊, 佐久間 修, 山田 秀秋, 中本 宣典
    1993 年 41 巻 4 号 p. 497-505
    発行日: 1993/12/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    岩手県沿岸ではヒラメ種苗の捕食者としてアイナメ, ヒラメ, コモンカスベ, マツカワ, クロソイの5種が確認され, 前2種が主要な捕食者であった。放流ヒラメに対する捕食率は放流後1週間が高く, 2週間後までは捕食が断続的に確認された。放流後28日目にも捕食が確認されており, 種苗に対する捕食が放流後かなり長期にわたって行われていることが推測された。天然におけるアイナメと被食ヒラメの全長比は2.8から7.8, 大型ヒラメとの全長比は3.2から5.1であった。ヒラメ種苗放流場周辺における捕食者のサイズと捕食者: 被食者の全長比から, 捕食を防ぐためのヒラメ種苗の効率的な放流サイズは全長10cm前後と考えられた。また, 今後定量的な被食量推定を行うためのパラメータについて検討を加えた。
  • 難波 信由
    1993 年 41 巻 4 号 p. 507-510
    発行日: 1993/12/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    藻類の付着機構を明らかにするには長期にわたる付着面の観察が必要である。そこで, 本研究ではエポキシ樹脂に付着したジョロモク幼胚を20℃, 3, 000~4, 0001x, 12時間照明の条件下でPESI培地を用い2か月間培養した。そして, 樹脂と共に幼胚をSpurr樹脂に包埋したのち, 光顕観察用切片を作成し付着面を観察した。さらに, 樹脂とガラスに付着した幼胚の生長を比較したが, 両者で葉状部長, 仮根長, 茎長, 葉長に差は無かった。また, 培養2か月後には, ガラス上の個体はすべて外れていたが, 樹脂では外れた個体はなかった。以上の結果は, ジョロモク幼胚が長期間樹脂上で正常に生長し, 幼胚を樹脂と共に切片にすることによって付着面の観察が可能であることを示しており, 本研究で用いた方法が, 長期にわたる藻類の付着研究に有効であることが明らかになった。
  • 渡 修明, 井上 博之, 平田 八郎
    1993 年 41 巻 4 号 p. 511-517
    発行日: 1993/12/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    1.水産増養殖の重要魚介類11種に対する農薬の有機リン剤MEPとカーバメイト剤NACの急性毒性を流水式魚毒試験装置を用いた流水式試験法によって調べた。
    2.MEPの魚介類に対する急性毒性はクルマエビで極端に強く, ついで魚類のマダイ, ブリ, ボラで比較的強い応答であった。マハゼやアユでは中程度の毒性応答であり, ウナギは低い毒性であった。これに対して, アサリやアコヤガイは最も低い毒性であった。
    3.NACの魚介類に対する急性毒性はクルマエビで極めて強く, ついで魚類のブリおよびマハゼで比較的強い応答であった。マダイ, ヒラメ, クロダイ, ボラおよびアユでは中程度の毒性応答であり, ウナギは低い毒性であった。これに対して, アサリやアコヤガイは最も低い毒性であった。
    4.MEPおよびNACによる中毒症状は, クルマエビで刺激に対する反応過敏, 狂奔状態および自発性運動低下がみられ, 魚類では, これに加えて体色変化, 遊泳姿勢不安定, 鼻上げ症状, 刺激に対する反応鈍化, 痙攣, 脊椎骨変形が認められた。これらの症状の多くが神経毒性に特有なものであり, 中毒症状の観察によって薬剤の毒性の特徴や薬剤の推定ができるものと考えられた。
  • 丹羽 信彰, 横山 達也
    1993 年 41 巻 4 号 p. 519-528
    発行日: 1993/12/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    兵庫県夢前川水系において1990年から1991年にかけて十脚甲殻類の分布を調査し, 次のような知見を得た。長尾類5科7種, すなわちミナミヌマエビ, ミゾレヌマエビ, スジエビ, テナガエビ, イソテッポウエビ, アメリカザリガニ, ウシエビ, および短尾類2科7種, すなわちサワガニ, モクズガニ, ケフサイソガニ, アカテガニ, フタバカクガニ, カクベンケイガニ, アシハラガニが採集された。本水系では四季を通じて最上流部および河口付近を除いてミナミヌマエビが普遍的, 連続的に分布している。これは瀬戸内海に流入する山陽の河川の特徴である。ミナミヌマエビと同所的にしのぎをけずる競争種がいないので, 本種のもつ生態的地位の可変性によって, 本水系で生活空間を独占できると考えられる。
  • 丹羽 信彰, 横山 達也
    1993 年 41 巻 4 号 p. 529-534
    発行日: 1993/12/20
    公開日: 2010/12/10
    ジャーナル フリー
    兵庫県夢前川水系において1990年から1991年にかけての調査で, 採集されたミナミヌマエビの地点ごとの体長組成をみてみると, 菅生川の菅生ダム直下や夢前川上流および支流などの上流部に四季を通じて大型個体を認めた。なぜ大型個体が上流に多いのかについては現在のところ不明である。定着性が強く移動せず, 上流では水温が低く, 捕食圧が低く, 競争種が少ないなどの原因で生き残り, 大型化することが考えられるが, 陸封性種のミナミヌマエビにも移動 (遡上および流下) の可能性はあり得ると考えられた。
  • 示野 貞夫, 四方 崇文, 岩永 俊介
    1993 年 41 巻 4 号 p. 535-539
    発行日: 1993/12/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    ブリの肝臓のATP, ADPおよびAMPの含量は飼料組成と無関係に1mM前後にあり, 絶食時にもATPはやや減少したが, ADPおよびAMPの含量はほぼ一定であった。摂餌魚肝臓のG1P, G6P, F6PおよびFDPの含量は0.1-0.5mMの範囲にあり, そのうちではG6P含量が最も高かった。生餌摂取魚および高炭水化物飼料摂取魚の各含量は類似していたが, いずれの解糖中間体も絶食時に低下し, F6Pの低下が最も著しかった。これらの各含量は糖代謝酵素のKm値付近にあり, またこのような生理的濃度域の変化に対しても, 肝PFK活性は合目的性応答を示した。したがって, 生体内の解糖活性は酵素量ばかりでなく, その基質やエフェクターとなるヌクレオチドや解糖中間体の含量によっても調節されていると推察された。
  • 平田 八郎, 小平田 栄一, 郭 鋒, 許 波濤, Edward DANAKUSUMAH
    1993 年 41 巻 4 号 p. 541-545
    発行日: 1993/12/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    浅海養魚における自家汚染の問題は経年とともに深刻の度合いを増してきており, その対応策に関する研究が急務になってきた。われわれは, その対策についてこれまで実験室的規模による生態系の保全について検討してきたが, その結果, リサイクル飼育法は環境保全と健康魚づくりとの両面で寄与することがわかってきた。本研究はそれらの基礎研究の成果を浅海養魚場で活用することを目的として, 同養魚場における不稔性アナアオサ, Ulva sp.の栽培について実験を重ねたものである。
    本種の栽培実験は1989年9月から1991年9.月までの2年間にわたり, 本学部附属水産実験所前のブリ・マダイ養魚場周辺の海面で行った。本種の栽培にはカニカゴ (20×45×60cm) を18個用いて行った。各カゴに本種を8gずつ接種し, 小潮ごとに (約2週間) その生長量と水温を測定した。測定時には本種の水分含量の均一化を図るため, 家庭用電気洗濯機の脱水機で約3分間脱水後に秤量した。
    本種の日間生長率は, ほぼ水温とパラレルに変化した。すなわち, 高生長率23~30%/dは25~30℃の比較的高水温時にみられ, 逆に, 低生長率6~21%/dは13~5℃の低水温時に観察された。したがって, 本種は魚介類の活発な活動期に高い生長率を示すので, 本種の栽培は自家汚染解消を目指した好適種と思われる。
  • 藤吉 栄次, 山崎 誠, 梅澤 敏, 鬼頭 鈞
    1993 年 41 巻 4 号 p. 547-551
    発行日: 1993/12/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    ナラワスサビノリ糸状体の生存におよぼす予備凍結条件の影響について調べた。ジメチルスルホキシド (DMSO) とソルビトールを含む凍害防御液で処理された糸状体は, ゆっくりした冷却速度で予備凍結された後, 液体窒素中に浸漬された。融解後の生死の判定は, ニュートラルレッド染色で行った。
    最も高い生存率が得られた条件は, DMSO濃度1.50M, ソルビトール濃度0.50~0.75M, pH8.0, 予備凍結温度-40~-50℃であった。また, 予備凍結速度0.5℃/分および1.0℃/分において, 2.0℃/分より良好な結果が得られた。
  • 枝 浩樹, Suria DARWISITO, 藤原 隆典, 田北 徹
    1993 年 41 巻 4 号 p. 553-558
    発行日: 1993/12/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    ネズミゴチ, ハタタテヌメリとトビヌメリを水槽内で産卵させ, 仔稚魚を40日間飼育した。初期餌料としては, ふ化後7日目までは目合77μmのネットで選別した小型ワムシを, 7日目以降は通常のS型ワムシを, いずれもナンノクロロプシスで培養後給餌した。ふ化後16~30日は栄養強化したアルテミア幼生を与え, ふ化後25日頃からアミミンチ肉を給餌した。ふ化後40日の生残率と全長はネズミゴチで17.5%, 22.8mm, ハタタテヌメリで21.3%, 20.5mm, トビヌメリで2.6%, 16.6mmであった。
    仔魚が最初に摂餌可能な餌料の大きさは, いずれも最大145μmと計算された。このことから, 初期餌料に145μm以下の小型ワムシを増すことにより, ネズッポ類仔魚の生残率を向上させることができると考えられた。
  • 示野 貞夫, 美馬 孝好, 山本 修, 東丸 一仁
    1993 年 41 巻 4 号 p. 559-564
    発行日: 1993/12/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    市販大豆油粕を簡易に精製し, 栄養価の変化を調べるとともに, それらを30および40%添加した飼料でブリを飼育し, 成長や飼料効率を比較した。油粕の精製や水洗によって, タンパク質含量は増大し, トリプシンインヒビター活性と可溶性窒素含量は減少した。30%添加群では, 酸精製・水洗区の成長がわずかに高かったが, 未精製区との差異は小さかった。40%添加群では, 未精製区の成長, 飼料効率, 蓄積率などが30%添加群や魚粉飼料区に比べてかなり劣っていたのに対して, 両精製区のそれらは未精製区に比べてかなり優れており, 30%添加群に匹敵する好成績がみられ, その血液性状, 血清成分, 体成分なども優れていた。以上の結果から, 大豆油粕の簡易精製は有効であり, ブリ飼料への添加許容量をある程度増やせることがわかった。
  • 1993 年 41 巻 4 号 p. 565-572
    発行日: 1993/12/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
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