1.マダイ卵の早期確保とそのふ化率の向上を図るため, LHRH-aを単独投与した場合と, 加温・電照処理を併用した場合の有効性を比較した。有効性は, GSIを指標とした催熟, 産卵量, および孵化率によって求めた。
2.ホルモン投与と加温・電照の併用区 (A区) と, ホルモン単独投与区 (B区) では, 両者ともGSIが1.28から11.59および15.39へと増加し, LHRH-aの効果が認められたが, A区のほうがより早く成熟に達した。また, 海面生簀による自然状態区 (C区) の親魚も通常の産卵期に向けGSIを1.28から4.73へと徐々に増加した。
3.A区およびB区では実験開始9日後および16日後から産卵が始まった。この時のGSIはそれぞれ4.38 (10日後) および5.66 (20日後) であった。A区の産卵量は1, 469.1万粒で, その浮上卵率は平均61.2%であった。B区の産卵量は457.8万粒で, その浮上卵率は平均41.3%であった。
4.A区, B区およびC区の孵化率は, それぞれ23.2, 0, および68.4%であった。
5.これらのことから, LHRH-aを単独で投与すると, 催熟や早期産卵は認められたが, 孵化率を高めにはLHRH-aと加温・電照との併用が有効であることがわかった。
6.A区で孵化した103.2万尾の仔魚を20tタンク4面で種苗生産を行い, 全長18.1mmの稚魚を24万尾取り上げた。ふ化仔魚からの歩留まりは23.3%であり, これまでの当センターにおける歩留まりとほぼ同じであった。
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