水産増殖
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41 巻 , 2 号
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  • 示野 貞夫, 細川 秀毅, 藤田 卓, 美馬 孝好, 上野 慎一
    1993 年 41 巻 2 号 p. 135-140
    発行日: 1993/06/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    ブリ飼料の魚粉配合量を大幅に削減するために, 30%の大豆油粕と10-20%のオキアミミールまたはコーングルテンミールとを併用添加し魚粉配合量を半減した飼料でブリ幼魚を30日間水槽飼育した。その結果, 併用添加区の成長や飼料効率は対照の30%油粕添加区のそれらよりやや劣っていたが, 小腸や幽門垂の肥大が緩和され, その血液性状や魚体成分は同等かむしろ優れていた。以上の結果から, ブリ飼料においてもタンパク源の種類や配合比を検討すれば, 大豆油粕と他タンパク源との併用添加により魚粉の配合量を大幅に削減できることが示唆された。
  • 森 勇人, 谷口 順彦, 関 伸吾, 山岡 耕作
    1993 年 41 巻 2 号 p. 141-147
    発行日: 1993/06/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    マダイ放流種苗への標識処理が遊泳能力, なわばり形成能力に及ぼす影響を色素注入法, 腹鰭抜去法, アンカータグ装着法, 鰓蓋切除法において調べた。遊泳能力に関しては, アンカータグ法のみ無標識魚と有意差があり, 他の標識方法では遊泳能力に影響のないことが示唆された。なわばり形成能力に関しては, すべての標識魚は, 無標識魚より劣る結果となったが, 色素注入法が最も行動に影響の少ない標識方法であった。アンカータグ法は, 行動に及ぼす影響が最も大きい標識方法であった。
    結果的には, 色素注入法は生態形質に及ぼす影響が最も小さく色素の保有時間を長くするための色材開発・調整が行われれば, 最も最適な標識方法になると示唆された。また, 現在多く用いられているアンカータグ法や腹鰭抜去法は生態形質に及ぼす影響が大きく好ましい標識方法とはいえない。
  • 右田 清治, 中島 信次, 林 江崑, 玉置 昭夫
    1993 年 41 巻 2 号 p. 149-154
    発行日: 1993/06/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    有明海熊本沿岸では, 数年前より紅藻ツルシラモが繁茂し, とくに緑川沖ではその大発生がみられる。これらの海域は, 海底が砂や砂泥よりなり, 海藻の発生し得る基質はなく, ツルシラモの発芽体もまったくみられない。ここでは, 棲管性ゴカイの1種スゴカイイソメがツルシラモの断片をその棲管に付着させ, 付着した枝の再生, 成長によって, 海底に大群落が形成されることが判明した。
    1989年より本格的に操業が行われるようになり, オゴカキと称する用具で海底を曳いて採藻している。また, 量的には少ないが, 竹をみおに建てて, それに流れ藻を引っ掛けて採集する方法も併用されている。生産高は1989~1992年の平均値で約1, 000トン (乾重量) と推測される。採藻初期の藻体は生のまま刺身のツマなどに利用されるが, 大部分は乾製品として粉末寒天の材料に出荷されている。
  • 虫明 敬一, 関谷 幸生
    1993 年 41 巻 2 号 p. 155-160
    発行日: 1993/06/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    1.シマアジふ化仔魚の活力判定のための一つの方法として, 飢餓耐性試験を行い, 無給餌生残指数 (SAI) により仔魚の活力を数値化することを試みた。
    2.生産試験において, SAIが高い仔魚を用いた事例ほど初期減耗も少なく, 沖出しまでの生残率が高かった。
    3.水温を22℃に保ち継続して産卵を促進した親魚から得られた仔魚のSAIは, 産卵初期には高かったが, その後次第に低下する傾向が認められた。産卵後に水温を下げ産卵制御した親魚からの仔魚では, 産卵後期になってもSAIの低下は見られなかった。
    4.海水を静止させた条件下で浮上する仔魚と沈下する仔魚に分けて調べたところ, 浮上仔魚のSAIが高かった。
    5.以上の結果から, シマアジにおいてSAIがふ化仔魚の活力を示す有効な指標になると考えられた。
    6.水温19~24℃の範囲において, 試験水温 (x1) とSAI (y1) との間に,
    y1=-1.16x1+48.81
    と, 有意な直線回帰が認められ, 水温22℃のSAI (y) への補正は,
    y=y1+1.16 (x1-22)
    により可能となった。
    7.浮上卵率, 受精率, ふ化率, 卵径および油球径などの卵質判定項目とSAIとの間には, とくに関連性は認められなかった。
  • 上田 龍太郎, 小森谷 雅彦, 平野 昌伸, 杉田 治男, 出口 吉昭
    1993 年 41 巻 2 号 p. 161-167
    発行日: 1993/06/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    オニテナガエビの幼生を孵化後100日間飼育し, 幼生付着細菌や飼育水中の細菌の動態について調べた。また, 親エビ, 卵および餌料などの各細菌相についても検討した。親エビおよび卵ではFlavobacterium属およびEnterobacteriaceae科の細菌が優占した。幼生付着細菌および飼育水の細菌の総生菌数は, ゾエア期にいったん増加するものの, ポストラーバ期以降減少することが判明した。Vibrio属細菌は, 飼育水として希釈海水を用いるゾエア期からポストラーバ期にかけて優占的に出現した。これは, 餌料として与えたブラインシュリンプに由来することが示唆された。また, pinhole colony形成群も, 孵化直後からゾエアVI期またはポストラーバ期までの間にのみ出現した。これに対し, グラム陽性球菌は淡水で飼育する稚エビ期以降に出現し増加する傾向を示した。また, Aeramonas属, Pseudomonas属, Flavobacterium属, Moraxella属などの細菌は, 全期間を通じてほぼ一定の密度で検出された。
    以上の結果から, オニテナガエビの幼生個体および飼育水の細菌相は飼育水の塩分濃度ならびに餌料中の細菌相の影響を受けることが示唆された。
  • 林 雅弘, 戸田 享次, 三澤 嘉久, 北岡 正三郎
    1993 年 41 巻 2 号 p. 169-176
    発行日: 1993/06/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    ユーグレナ, Euglena gracilisを生物餌料の栄養強化用飼料として応用することを目的に, エイコサペンタエン酸およびドコサヘキサエン酸のユーグレナ細胞への取込みと蓄積を検討した。タラ肝油, イカ肝油などのトリグリセライドをn-3HUFA源として培地に添加して培養しても少量のn-3HUFAしか細胞内に取込まれなかったが, イカ肝油を加水分解して得られた遊離脂肪酸を添加した場合には, トリグリセライドよりも多量のn-3HUFAの取込みが認められた。また, 市販の粗EPAおよび粗DHAを培地に添加すると, 添加量の増加とともに総脂肪酸中のEPAまたはDHA含量が細胞の脂質含量とともに増加した。さらに, 添加脂肪酸の含有比が高くなるにつれ, ユーグレナ脂質中のEPA・DHAの組成比も向上し, EPAあるいはDHAが総脂肪酸中の75%以上という非常に高いレベルに強化されたユーグレナ細胞が得られた。添加脂肪酸をエチルエステルの形で添加した場合には, 脂質含量と総脂肪酸中のEPAあるいはDHA含量のいずれも同一添加濃度の遊離酸を添加した場合より低かった。これらの結果から, 培地に添加する脂肪酸の量や混合比をコントロールすることにより, ユーグレナ中のEPAまたはDHAの含量をコントロールできることが期待できる。
  • 林 小涛, 石渡 直典
    1993 年 41 巻 2 号 p. 177-179
    発行日: 1993/06/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    オニテナガエビの第4, 6および8齢ゾエア幼生にアルテミア・ノープリウスを給与し, 飽食量および摂食効率に及ぼす餌料の大きさの影響について調べた。その結果, 第4齢ゾエアでは, いずれの大きさの餌料でも, 飽食量は変わらないが, 餌料が大きくなるにつれて, 摂食効率は低下した。第6および8齢ゾエアでは, 小さい餌料より大きい餌料の飽食量は高いが, 餌料の大きさによる摂食効率の差異はなかった。齢期が進むにつれて, 小さい餌料に比べて, 大きい餌料の飽食量および摂食効率が増加した。したがって, 幼生の飼育には, 齢期が進むにつれて, 大きい餌料を給与することが必要であると考えられる。
  • 林 小涛, 石渡 直典
    1993 年 41 巻 2 号 p. 181-184
    発行日: 1993/06/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    オニテナガエビの第4, 6, 8および10齢ゾエア幼生に各種水温と塩分との組み合わせ条件下で, アルテミア・ノープリウスを給与し, 飽食量に及ぼす水温および塩分の影響について調べた。その結果, 第4齢ゾエアでは, 摂餌の最適水温―塩分範囲は31~34℃-15~25%。および28℃-20%。, 第6齢ゾエアでは, 28~31℃-15~25%。, 第8齢ゾエアでは, 28℃-20~25‰および25~31℃-15%。, 第10齢ゾエアでは, 28℃-10~15%。であった。また, 齢期が進むにつれて, 最適水温―塩分範囲は高温・高塩分域から低温・低塩分域に移行し, その範囲は狭くなる傾向が認められた。
  • 林 小涛, 石渡 直典
    1993 年 41 巻 2 号 p. 185-187
    発行日: 1993/06/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    オニテナガエビの第4, 6および8齢ゾエア幼生にアルテミア・ノープリウスを給与し, 飽食量に及ぼす照度の影響について調べた。いずれの齢期においても, 暗条件で飽食量はきわめて低く, 照度の増大とともに飽食量は急激に増加し, 第4および6齢ゾエアでは50lx以上, 第8齢ゾエアでは100lx以上で飽食量はほぼ一定になった。したがって, 幼生の摂餌の最適照度は100lx以上であると考えられる。また, いずれの実験時刻においても, 暗条件で飽食量はきわめて低く, 明条件で高かった。さらに, 通気による飼育水の攪拌とは無関係に, 暗条件で飽食量はきわめて低く, 明条件で高かった。
  • 浜口 昌巳, 川原 逸朗, 薄 浩則
    1993 年 41 巻 2 号 p. 189-193
    発行日: 1993/06/20
    公開日: 2010/12/10
    ジャーナル フリー
    佐賀県栽培漁業センターで1992年の4月に採卵・孵化したのち, 種苗生産を行っていた稚アカウニに8月後半から9月初旬にかけて大量斃死が発生した。発生時の水温は23~25℃で, 斃死個体は黒斑や脱棘が顕著ではなく, 囲口部の変色や付着力の低下などの症状を呈していた。また, 管足表面には多数の糸状とも思える長かん菌の蝟集が認められた。この菌はFlex-ibactey maritimus2408株に対する抗血清とよく反応した。海水で調製した改変サイトファガ培地上で分離したところ, 無色で周辺が樹根状のコロニーを形成した。
    この細菌による人為感染試験を菌液塗布法 (2.3×106cells/ml) と浸漬法 (3.8×106, 3.8×105cells/ml) によって行ったところ, いずれも発症・斃死にいたった。このことから, 今回の大量斃死は細菌感染症であることが明らかとなった。
  • 布田 博敏, 鳥屋 尾耕, 佐藤 克明, 原 彰彦
    1993 年 41 巻 2 号 p. 195-202
    発行日: 1993/06/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    キンギョを用いて, 10, 15, 20, 25℃の異なる飼育水温でBSAを1週間隔で5回筋肉内免疫し, 経時的に凝集抗体価および沈降抗体価を観察した。さらに, 免疫後の魚から血清IgMを分離精製した。飼育水温が高くなるに従い, 最大抗体価の上昇がみられ, かつ最大抗体価に達するまでの期間が短縮した。精製IgMは分子量760kDaの蛋白でH鎖 (72kDa) , L鎖 (23kDa) のsubunit構造をもつ4量体であり, Western blotting法により, BSAに対する特異抗体活性をもつことが明らかとなった。
  • 門脇 秀策, 田中 啓陽
    1993 年 41 巻 2 号 p. 203-209
    発行日: 1993/06/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    本報はクルマエビ養殖池の透明度について生態環境学的な意味を知る目的で, 鉛直消散係数の視点から解析した。また, 夏季での天候, 水色および透明度による照度鉛直分布を調べ, 動水機による池水の混合効果について検討を加えた。
    1) クルマエビ養殖池の水色がもつ光学的特性は, kd・T=αの関係から, α値がBrownの水色の場合1.36±0.062, Greenの水色の場合0.96±0.043であり, Brown色の養殖水はGreenのそれと比較して1.4倍もの高いα値になることから, 水色によって養殖池水の光学的性状が異なることを明らかにし, この結果から, 水色がGreenの場合, Brown色よりも光の透過が良いことになる。
    2) 夏季クルマエビ養殖池の植物プランクトンの総酸素生産速度 (p) と下方照度 (i) との関係はSteeleのモデルから, 最大酸素生産速度 (Pm) およびPmを与える照度 (im) を, それぞれ26.2 O2mg/mgchl.a・hおよび22.4klxと定めた。
    3) クルマエビの成長に良いとされる透明度0.4m以下の場合, BrownおよびGreen両水色とも夏季天候にかかわらず, 底層水はPm値の1/10以下を与える照度となり, 酸素生産の視点からよい光環境ではないと考えられる。しかし, 動水機によって養殖池水を充分に鉛直混合させることによって全層の受光照度は平均化され, 底層水はPm値のほぼ1/2以上の照度を与える光環境が保持されることになる。
  • 切田 正憲, 松井 敏夫
    1993 年 41 巻 2 号 p. 211-216
    発行日: 1993/06/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    1.ナラワスサビノリのフリー糸状体と貝殻糸状体の光合成と光量, 温度, 炭酸濃度, 塩分濃度との関係をワールブルグ検圧計によって調べた。
    2.光飽和はフリー糸状体では20℃で5, 000lx, 23~30℃で10, 000lx以上にあるとみられた。また貝殻糸状体では20℃で7, 000lx, 23℃で5, 000lx, 25℃で5, 000lx, 30℃で3, 000lxであって, 水温の上昇に伴って飽和照度が低下する傾向がみられた。
    3.光合成の最適温度は両糸状体とも23℃であると考えられた。
    4.フリー糸状体では30℃の高温度でも一時的に活発な光合成を行ったが, 経過時間とともに光合成が低下した。いっぽう, 貝殻糸状体でも30℃で光合成速度は一時的に高い値を示し, その後衰えていくが, フリー糸状体よりも高い光合成活性を示した。
    5.NaHCO3の飽和量はフリー糸状体では500lxで2.5mM, 1, 000lxで5mM, 2, 000lxで7.5mM, 5, 000lxで10mMであって, 高照度ほど飽和濃度も高くなった。また, 貝殻糸状体では2, 000lxで2.5mM, 5, 000lxで10mMであった。
    6.塩分濃度については, 両糸状体とも3/4倍海水で最高の光合成がみられた。フリー糸状体は普通海水の2倍濃度の海水では光合成を行わなかった。しかし, 貝殻糸状体では, 最高光合成速度の1/2程度であるが, 2倍濃度の海水中でも光合成がみられた。
  • 二宮 学, 楠田 理一
    1993 年 41 巻 2 号 p. 217-221
    発行日: 1993/06/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    これまでの検討から, Pasteurella piscicidaのリボソーム沈澱画分 (RBP) および上清画分 (RBS) の有効性には差異がみられた。そこで, 本研究ではRBPとRBSの構成成分ならびに抗原性を比較した。
    リボ核酸 (RNA) : タンパク: リポ多糖 (LPS) の重量相対比はRBPが100: 16: 0.57, RBSが100: 500: 0.36となった。オクタロニー法によって抗原性を比較したところ, RBPとRBSに含まれるLPSおよび精製LPSの抗原性が異なっていた。これらのことから, RBPの主成分であるRNAと微量に含まれるLPSが, ブリ類結節症に対する感染防御に有効に作用するのではないかと思われる。
  • 西村 仁志, 楠田 理一
    1993 年 41 巻 2 号 p. 223-226
    発行日: 1993/06/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    ほ乳類の胸腺細胞はTリンパ球の性状をもつことが知られている。ブリの胸腺細胞がTリンパ球の性状をもつかどうかを検討するために, 胸腺細胞上の各種レセプターの存在性を調べた。その結果, 胸腺細胞のConA, WGAおよびPWMに対するレクチンレセプターの保有率は, それぞれ5.3, 60.6および31.6%であった。しかし, ヒツジ赤血球, 補体成分および特異抗原に対するレセプター, 細胞表面抗体ならびにLPSレセプターは保有されていなかった。これらの性状をほ乳類の性状と比較すると, ヒツジ赤血球レセプター保有性が異なるほかは一致した。以上のことから, ブリの胸腺細胞はほ乳類のTリンパ球に類似した性状をもつことが示唆された。
  • 川村 嘉応, 楠田 理一
    1993 年 41 巻 2 号 p. 227-234
    発行日: 1993/06/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    スミノリ病および正常ノリ葉体から細菌を分離し発症試験を行い, 菌の同定を行った。その結果, 7株は, 原形質吐出症状をひき起こし, それぞれ接種した菌が再分離されたことから, 本疾病の原因細菌であると考えられた。また, これらの菌は, Flavobacterium属, あるいはVibrio属と同定するのが妥当であると考えられた。
  • 川村 嘉応, 楠田 理一
    1993 年 41 巻 2 号 p. 235-241
    発行日: 1993/06/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    1990年度と1991年度に, ノリ葉体付着細菌数, 養殖環境水中の細菌数を経時的に調べ, スミノリ病の葉体と正常葉体の細菌相を比較して, スミノリ病の発生とノリ葉体付着細菌とのかかわりを検討した。その結果, 1990年度における試験漁場での本病の発生には, RS-5LY株が関与していた可能性が高いと考えられた。病原性を示す細菌が付着しても, 必ずしも発病するとは限らないものの, 発病には病原細菌が主因として関与していることが示唆された。本病の発生に関与する細菌は, 条件性病原細菌であると考えられた。また, 本病の発生には海水中細菌数の増加も関与しているものと推測された。1990年度における本病の発生には, 育苗期の塩分が低い養殖環境が誘因の一つとして作用したものと考えられた。
  • 川村 嘉応, 山下 康夫
    1993 年 41 巻 2 号 p. 243-250
    発行日: 1993/06/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    1981年度から1991年度まで有明海湾奥部の佐賀県ノリ養殖場におけるスミノリ病の発生を追跡調査した。スミノリ病は, 12月上旬以降, 冷凍網の張り込み後17日以内に発生する。まず, 東部あるいは西部養殖場の沖合い部で初認され, その後被害を拡大し, 年によっては全養殖場に蔓延する。本病は細菌性疾病の発生経過に近いものと判断され, 4つの被害型に分類された。
  • 楠田 理一, 北代 典幸
    1993 年 41 巻 2 号 p. 251-255
    発行日: 1993/06/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    本菌の産生する溶血素の研究の一環として, 本菌の溶血素の産生条件を検討した。その結果, 培地はBHIブイヨンにおいて, 増殖性および溶血産生性がよかった。そこで, BHIブイヨンを基礎培地として用いて実験を行ったところ, 溶血素は対数増殖期から定常期にかけて主に菌体内に産生された。培養温度は25および30℃で, 培地のpHは7.5~8.5の範囲で良好であった。金属イオン添加の影響では, Ca2+およびZn2+添加によって産生性は高くなった。しかし, Mn2+添加では産生性は抑制された。
    以上のことから, 本菌は良好な増殖条件のときに高い溶血素産生性を示し, 溶血素の産生性は培養温度, 培地のpHおよび金属イオンの添加によって影響されることが明らかとなった。
  • A.B. ABOL-MUNAFI, 楳田 晋
    1993 年 41 巻 2 号 p. 257-264
    発行日: 1993/06/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    キチヌ仔稚魚期の消化器系の発達と分化を形態学的, 組織学的に調べた。組織学的には, 消化器系の発達は4段階に分類することが出来た。第1段階に当たる2.0-3.2mmの仔魚では消化器系は未だ機能していなかった。2.9-19.0mmの第2段階に達すると消化器系は機能し始め, 脂質が腸管前部に, タンパク質が直腸部に蓄積した。第3段階は19.1-50.0mmの稚魚期に相当し, 胃腺が分化しタンパク質分解酵素の生産が認められ, タンパク質の消化が胃で行われた。全長が50mm以上となった第4段階に消化器系が完成し, 直腸部に好酸性顆粒の蓄積は認められなかった。消化器系の発達と分化の順序は, 摂食生態と行動に密接に関係していると考えられる。
  • 松岡 学
    1993 年 41 巻 2 号 p. 265-271
    発行日: 1993/06/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    1.愛媛県における約20年間の魚類養殖の歴史と現状を記載した。
    2.養殖魚種では, ブリ主体の形態から, ヒラメなどへの魚種の多様化が進んでいる。
    3.養殖用種苗は, ブリは依然国内の天然採捕に依存しているが, その他の魚種では殆どが人工種苗や外国産天然種苗となっている。
    4.稚魚期における餌料は, モイストペレットあるいはドライペレットが普及しているが, ブリ成魚ではコストの面から生餌が主体である。
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