産地市場で上下二つのランクに格付けされた養殖ニホンウナギについて, 体色を始めとした品質特性の季節変化を把握し, 官能検査との関連性について検討した結果, 以下のとおりとなった。
体色の色度aは, 夏から秋にかけて値が下がり, 上下ランクの差が小さくなった。また, 体色の色度bは, 夏に値が下がり, 上下ランクの差が小さくなった。これらのことから, ウナギの体色は, 夏から秋にかけて青くなる傾向があるものと推察された。
生肉の硬さは, 夏に柔らかくなり, 上下ランクの差が小さくなった。また, 加熱した肉の硬さは, 夏から秋に柔らかくなる傾向が見られた。
可食部分の一般成分のうち粗脂肪は四季を通して, 上ランクの方が下ランクよりも多く, 水分と粗タンパク質は逆に上ランクの方が下ランクよりも少なかった。また, これらの上下ランクの差は, 夏に小さくなる傾向があった。
可食部分の遊離アミノ酸では, 冬に生肉のヒスチジン量が多かった以外, 明瞭な季節変化は見られなかった。また, 加熱することで, ヒスチジン量は減少した。
可食部分の脂肪酸組成には, 季節変化は認められず, 加熱による変化もほとんどみられなかった。
官能検査では, 品質特性の変化に対応し, 上ランクが下ランクよりも評価が高く, その差は, 夏に小さくなる傾向があった。
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