水産増殖
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45 巻, 1 号
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  • 團 昭紀, 大野 正夫
    1997 年 45 巻 1 号 p. 1-4
    発行日: 1997/03/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    徳島県吉野川スジアオノリ養殖漁場において, 3種類の採苗法 (天然, 直接, 人工) で採苗したスジアオノリの成長を比較した。表層を除く30~90cm水深では, どの網の藻体も良好に成長した。養殖期間中の日間成長率は20~40%の範囲が多く, 最大73.4%であった。
  • 團 昭紀, 大野 正夫, 松岡 正義
    1997 年 45 巻 1 号 p. 5-8
    発行日: 1997/03/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    スジアオノリ養殖において, 母藻細断による新しい人工採苗が実施された。ミキサーにより細断された藻体は採苗水槽の中で数日の内に多くの胞子を放出した。細断法によるスジアオノリ採苗は3~4月と9~11月の2回実施された。採苗された網は育苗場へ移されたが, 育苗期においては, 1日1~2時間の干出が幼芽の生育に良かった。
  • 中村 幹雄, 品川 明, 戸田 顕史, 中尾 繁
    1997 年 45 巻 1 号 p. 9-15
    発行日: 1997/03/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    宍道湖のヤマトシジミを用いて, 室内飼育実験を行い, 本種の貧酸素耐性を調べた。
    1) 水温により貧酸素耐性の強さは大きな違いが見られた。無酸素状態でも10℃, 20℃においては死貝がほとんど見られなかった (17日間) 。しかし, 30℃では, 成貝でLT50が8日目, LT100が10日目であった。
    2) 成貝と稚貝の無酸素耐性に顕著な違いはなかった。
    3) ヤマトシジミの酸素消費量は20℃より30℃が大きく, 溶存酸素量が大きいほど酸素消費量が大きかった。ヤマトシジミの呼吸によって, DO濃度を減少させた場合, その減少の過程で, へい死する個体はなかった。溶存酸素量が皆無になっても20℃では35日間は死亡しないが, 30℃では10日間で全個体が死亡した。
    4) ヤマトシジミは, 水温28℃において, 長期間 (30日間) では, DO濃度1.0mg/l以下で生存に影響があるが, 1.5mg/l以上では影響を受けなかった。
  • 中村 幹雄, 品川 明, 戸田 顕史, 中尾 繁
    1997 年 45 巻 1 号 p. 17-24
    発行日: 1997/03/20
    公開日: 2010/12/10
    ジャーナル フリー
    宍道湖のヤマトシジミを用いて, 3つの室内飼育実験よりヤマトシジミの硫化水素の毒性に対する耐性を調べた。
    1) 成貝と稚貝では硫化水素耐性に大きな違いは見られなかった。
    2) 硫化水素に対する耐性時間は水温条件が同じであればその濃度が高いほど短くなる。
    3) 低水温 (18℃) では, 40日間では硫化水素濃度が7mg/l以下ではLT50, LT100は算出されないが, 高水温 (28℃) では, 3mg/l以上の濃度では, LT100は14日以内である。このように, 硫化水素耐性の強さは水温の影響を強く受け, 高水温時に耐性が弱くなる。
    4) ヤマトシジミは, 水温28℃において, 長期間では硫化水素濃度1mg/l以上では影響があるが, 0.5mg/l以下では影響を受けなかった。
    5) ヤマトシジミの硫化水素耐性は, これまで報告された他の生物種と比較して強い。
  • 伏屋 玲子, 高 天翔, 横田 賢史, 岩本 美央, 北田 修一, 渡邊 精一
    1997 年 45 巻 1 号 p. 25-29
    発行日: 1997/03/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    種苗放流が行われている島根県高津川と行われていない同県神西湖のモクズガニを用い, 種苗放流が天然集団におよぼす遺伝的影響を明らかにするためにアイソザイム分析を行った。10酵素16遺伝子座について調査した結果, AAT-1, AAT-2, FH-2, GPI*, IDHP-1, MDH-2の6遺伝子座で変異がみられた。各集団の平均ヘテロ接合体率は高津川では0.029, 神西湖では0.027となり, ほぼ同じ値であった。また集団間のNeiの遺伝的距離を求めたところ, 0.0001という小さい値であった。以上の結果は調査した2集団の間には遺伝的差異がほとんどないことを示しており, 種苗放流が行われている高津川に生息するモクズガニの遺伝的変異性の減少は現在のところみられなかった。
  • 土居 正典, 大野 淳, 多紀 保彦, Tanin SINGHAGRAIWAN, 河野 博
    1997 年 45 巻 1 号 p. 31-40
    発行日: 1997/03/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    海産コペポーダAcartia sinjiensisのノープリウスとワムシが同時に存在する環境下でゴマフエダイ仔魚の初期摂餌状況を観察した。仔魚の開口日およびその後2日間 (day 0-2) の消化管内容はすべてA.sinjiensisのノープリウス (平均2.1-7.2個体/尾) であった。摂餌されたノープリウスの平均体幅はday 0で0.058mmであり, 以後仔魚の成長とともに増大した。ワムシ (平均被甲長0.117mm) に対する摂餌はday 3より観察され (平均0.92個体/尾) , day 4およびday 5において摂餌量は急増した。開口日におけるゴマフエダイ仔魚の口幅 (0.166-0.188mm) は, ノープリウスやワムシの体幅より大きいとは言え, 従来よりワムシのみで飼育されている他の海産魚の口幅より小さい。このことが初期摂餌の制限要因となり, 結果的に摂餌開始時の餌生物が若齢ノープリウスに限定されたものと思われる。仔魚は開口日の平均全長2.84mmからday 5の3.38mmに成長し, この間のへい死率は低かった。A.sinjiensisのノープリウスはゴマフエダイおよび本種と同様の小さい口径をもつ他の海産仔魚飼育における有効な初期餌料となり得る。
  • 岩谷 芳自, 安田 政一, 松崎 賢
    1997 年 45 巻 1 号 p. 41-45
    発行日: 1997/03/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    アユ種苗生産時に尾鰭下葉が左または右に湾曲または屈曲して歪尾状を呈する変形が認められた。この変形方向は飼育水の流れの方向と関係があり, 左方向への流れの中では6.5~23.3%が左に変形し, 右方向への流れの中では23.3~34.5%が右に変形した。しかし, 流れの方向を定期的に変えたり, あるいはワムシを長期間に渡って与えることによって変形率を低下させることができる。
  • 四宮 陽一, 岩永 俊介, 山口 知也, 河野 啓介, 内村 祐之
    1997 年 45 巻 1 号 p. 47-53
    発行日: 1997/03/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    近年のアコヤガイのへい死原因を究明する目的で, 挿核後の二倍体および三倍体アコヤガイを5月から翌年1月まで飼育し, 環境水中の植物色素量とともに, 成長, 真珠直径, 生残率, 性成熟段階, 閉殻筋グリコーゲン含量, 血清総タンパク含量および閉殻筋の6-ホスホフルクトキナーゼとフルクトースー1, 6-ビスフオスファターゼ活性を毎月測定した。植物色素量は5~9月に多かったが, 10月に激減し, その後低レベルが続いた。アコヤガイは高餌量期には順調に成長したが, 秋季の低餌料期には閉殻筋グリコーゲン含量や血清総タンパク質含量が低下し, 成長と真珠形成が停滞した。また, この時期に二倍体および三倍体はそれぞれ約30%のへい死が生じたが, 両区のへい死率に差はなかった。さらに, この時期の二倍体のPFK活性は著しく低下し, FBPase活性の上昇もみられたことから, 秋季における栄養状態の低下がへい死の主原因ではないかと推察された。
  • 孫 修勤, 楠田 理一
    1997 年 45 巻 1 号 p. 55-60
    発行日: 1997/03/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    コウライエビに対するHPVの疾病再現性と病原性を確認するために, 本ウイルスに感染した病エビの肝膵臓のホモジネートろ過液を用いて, Z-3とP-7幼生に対しては浸漬法によって, 成エビに対しては経口法によって, 実験的感染を行った。その結果, いずれも自然発病した病エビと肉眼的ならびに病理組織学的症状を示して死亡した。接種方法が異なるものの, 病変の発現はZ-3幼生では2日後に, P-7幼生および成エビでは3日後に, 前中腸粘膜または肝膵臓の上皮細胞の核の肥大が認められた。このように発病の早さには多少の差はあるものの, 本症では感染して2~3日後から病変が発現するものと思われる。感染実験による死亡率の推移を調べた結果, 死亡率はZ-3が最も高く, 次いでP-7, 成エビの順となった。HPVに感染したエビでは, 肉眼的に遊泳の異常や食欲の減退などの自然発病エビと同様な症状が認められた。病理組織学的には, 肝膵臓上皮細胞あるいは前中腸粘膜上皮細胞の核内に好塩基性または好酸性の封入体が認められた。電子顕微鏡による観察では, 封入体内に自然発病エビと同様の22~24nmの円形ないしは卵円形のウイルス粒子が観察された。これらのことから, HPVはコウライエビのゾエア期以降の稚エビおよび成エビに病原性を示すこと, そして, コウライエビのへい死原因となることが明らかになった。
  • 立木 宏幸, 中川 武芳, 田村 憲二, 廣瀬 慶二
    1997 年 45 巻 1 号 p. 61-66
    発行日: 1997/03/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    ニホンウナギにおいてE2の経口投与による雌化効果および成長について調査した。配合飼料による餌付けを完了した直後のシラスウナギに, 飼料1kgあたり10mgのE2を添加した試験飼料を投与した。対照区に比べE2を投与したすべての区で雌の比率が有意に高くなり, 餌付け直後からE2を4ケ月間投与した2区では雌の比率が97.0%と最も高い出現率となった。
    体重約200gまではE2投与の有無による明らかな成長差は認められなかった。しかし, E2を投与した雌魚ではさらに成長し, 2年4ケ月で天然親魚に匹敵する大きさに成長することが確認され, 本報告で示した方法により種苗生産用親魚の育成方法が確立された。
  • 松山 倫也, 中田 久, 池田 義弘, 田中 宏之, 松浦 修平
    1997 年 45 巻 1 号 p. 67-73
    発行日: 1997/03/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    1) 養成トラフグからの採卵技術を開発するための基礎的知見を得るため, 卵黄形成後期にある卵径800-1040μmの卵を持つ養成トラフグに異なるホルモン投与を行い, バイオプシーによる卵巣卵のモニターを行った。
    2) LHRH-aを徐放的に放出するコレステロールペレットあるいはオスモティックポンプは, 1回の投与で成熟, 排卵を誘起した。
    3) ホルモン投与から排卵までの期間は卵径800-900μmの個体で平均18.8日, 卵径900μm以上の個体で平均10.6日であった。
    4) ホルモン処理を行わない個体は4-12日で卵巣卵の退行が始まり, 親魚育成後のホルモン投与のタイミングの重要性が示された。
    5) 養成親魚を用いた採卵には, LHRH-aコレステロールペレットの1回投与が実際的で, ホルモン投与時の卵径測定が個体間の成熟, 排卵の同調を図る上で重要であることが示された。
  • 村田 修, 家戸 敬太郎, 石谷 大, 那須 敏朗, 宮下 盛, 山本 眞司, 熊井 英水
    1997 年 45 巻 1 号 p. 75-80
    発行日: 1997/03/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    1990年3月に作出した交雑魚マダイ♀×クロダイ♂およびマダイ♀×ヘダイ♂を4年間飼育した後, 2月から6月までの生殖腺成熟の様相を, 同様に4年間飼育した両親魚種 (マダイ, クロダイおよびヘダイ) と比較した。その結果, 両交雑魚から摘出した生殖腺は外観的に同時期の両親魚種のそれらに比較して明らかに未成熟であった。両親魚種の生殖腺指数はいずれも4月に最大値となり, その平均値はいずれも8以上の高い値であったのに対し, 両交雑魚のそれは1以下であった。生殖腺組織像から両交雑魚とも精原細胞, 精母細胞, 精細胞および精子形成は観察できたが卵母細胞は認められなかった。以上より, 両交雑魚は雌雄ともに生殖不能すなわち雑種不妊であることが明らかにされた。
  • 劉 海金, 桜井 泰憲, 宗原 弘幸, 滝山 修一, 島崎 健二
    1997 年 45 巻 1 号 p. 81-86
    発行日: 1997/03/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    ヒラメの酸素消費量およびアンモニアの排泄量に及ぼす摂餌の時間 (朝09: 00, 夕方18: 00) の影響を調べた。摂餌後のSDA値の時間的変化には両実験区とも有意な差は認められなかった。しかし, 酸素消費量のピーク値は, 夕方に摂餌した実験区の方が朝に摂餌した実験区より24.3%高かった。一方, アンモニアの平均排泄量とピーク値は両実験区の間に有意差はなく, ピークを示す時間も両実験区とも摂餌後3-6時間の問に一峰を示すのみであった。摂餌により上昇したアンモニア排泄量は, 24時間以内に摂餌前のレベルに戻った。
  • 小林 徹, 伏木 省三
    1997 年 45 巻 1 号 p. 87-96
    発行日: 1997/03/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    1) ニジマスの三倍体と二倍体との間で, Leitritz給餌100%飼育による分離・混合飼育による成長試験を行ったところ, 二倍体と三倍体との混合飼育区では16週問目から差が出はじめ, 20週間後には二倍体平均体重18.62±0.21 (SEM) gに対して三倍体は17.38±0.22gになった。分離飼育区では逆に三倍体の成長が二倍体に優る傾向があった。
    2) 1: 1混合飼育区をさらに2区設定し, それぞれにLeitritz給餌率の50%, 30%の飼料を同様の給餌条件で与え続けたところ, 給餌量を減ずるほど二倍体と比較した三倍体の成長劣化の程度が顕著になることを観察した。
    3) 混合飼育条件下での空腹時のニジマスの二倍体と三倍体の摂餌量の差について様々な給餌率のもとで検討した。Leitritz給餌率100%区では, 統計的に有意差はないものの三倍体の摂餌量は二倍体よりも少ない傾向にあり (二倍体7.83mg/gBW, 三倍体14.21mg/gBW) , 給餌量をさらにLeitritz給餌率の30%, 10%と減ずると三倍体の摂餌量は二倍体のそれに比べて有意に少ない結果となった。
    4) 三倍体の血漿中の成長ホルモン含量は二倍体との間に有意な差は認められなかった。
    5) これらのことから, 二倍体との混合飼育による三倍体の成長が劣る原因は, 三倍体が二倍体との摂餌競合に敗れるためであり, 給餌量を減ずれば減ずるほど二倍体に対する三倍体の成長が劣る現象が早期から出現し, しかも顕著になることが明らかになった。
  • 土田 修二, 石塚 博一
    1997 年 45 巻 1 号 p. 97-101
    発行日: 1997/03/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    水温25℃で7~56日間絶食させたマアジ幼魚 (平均体長7.2cm) の選好温度に及ぼす影響を, 鉛直温度勾配下で検討した。
    肥満度は非絶食群が平均1.85, 各絶食期間における絶食群が平均1.75~1.47で, 絶食開始時から絶食期間約8週間までほぼ直線的な減少を示した。
    非絶食群の平均選好温度は25.3℃, 7~56日間の絶食群の平均選好温度は23.0℃であり, 絶食群の選好温度は初期対照群と比較して約2℃低下した。絶食期間の延長に伴う選好温度の変化は認められなかった。
    飢餓状態におけるマアジ幼魚が低い温度を選好する行動によって, 代謝量は低下し, エネルギーを保持するのに有利となると考えられた。
  • 瀬岡 学, 滝井 健二, 高岡 治, 古田 晋一, 中村 元二, 熊井 英水
    1997 年 45 巻 1 号 p. 103-108
    発行日: 1997/03/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    低孵化率卵では高孵化率卵に比べて, 卵割初期からクッパー氏胞出現期におけるリン脂質 (PL) , 遊離チロシン (FT) およびクレアチンリン酸含量が低く推移し, 胚体出現期ではアラニンアミノトランスフェラーゼ活性が有意に低かった。しかし, トリアシルグリセロール含量とアスパルテートアミノトランスフェラーゼ, クレアチンキナーゼおよびアルカリフォスファターゼ活性に孵化率の違いに基づく差異は認められなかったことから, クッパー氏胞出現期までのFTおよびPL含量が有効な化学的卵質評価指標であることが示唆された。
  • 滝井 健二, 瀬岡 学, 中村 元二, 田中 祐二, 熊井 英水
    1997 年 45 巻 1 号 p. 109-113
    発行日: 1997/03/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    人工海水で調製した10-5Mアミノ酸溶液をふ化用水として, 心臓鼓動開始期に達したマダイPagyus major卵を収容して, ふ化時間 (50%ふ化) およびふ化率に及ぼす影響について調べた。L-グルタミン酸, タウリン, L-トリプトファン, L-プロリンおよびL-シスチン溶液におけるふ化時間は, 対照の人工海水におけるそれより有意に短縮したが, L-バリン, レイソロイシンおよびL-ロイシンの分岐鎖アミノ酸溶液では逆に有意に遅延した。また, ふ化時間とふ化率との間に有意な負の相関が得られた。
    以上の結果から, マダイ胚の化学受容器への各種アミノ酸刺激が, ふ化酵素分泌, 器官の分化および形成を促進・抑制して, ふ化時間を短縮・遅延させることが推察された。
  • 瀬岡 学, 滝井 健二, 高岡 治, 中村 元二, 熊井 英水
    1997 年 45 巻 1 号 p. 115-121
    発行日: 1997/03/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    自然産卵期におけるマダイ親魚を絶食およびオキアミ給与条件下で飼育した。両区の雌親魚はほぼ毎日産卵し, 卵のサイズ, 粗タンパク質およびリン脂質含量は産卵水温の上昇に伴い減少する傾向を示したが, トリアシルグリセロール含量に顕著な変動は認められなかった。一方, 浮上卵率は絶食区の産卵初期および給餌区の産卵中期・後期で低かった。これらの結果から, マダイ親魚は絶食条件下でも産卵可能なことが明らかになると共に, 卵の蛋白質およびリン脂質含量と卵質と密接に関係していることが示唆された。
  • 坂本 浩志, 山本 茂, 難波 秀博, 渡邉 武
    1997 年 45 巻 1 号 p. 123-129
    発行日: 1997/03/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    本研究は, ブリ用に開発された新型軟質固形飼料 (SDP) の実用飼料としての有効性を実際の養殖規模の網生簀 (10×10×8m) において試験したものである。粗タンパク質43-47%, 粗脂肪18-23%の範囲で3種類のSDPを作製し, Expt.Iでは平均体重32g, 38g, 54gのブリを, Expt.IIでは34g, 35g, 44gのブリを各生簀に2万尾ずつ収容し, 6月から10月まで飼育した.その結果, Expt.Iでは平均54gの魚が1020gに成長し, 増肉係数が1.19生残率88.0%, Expt.IIでは平均44gの魚が992gに成長し, 増肉係数1.21生残率95.2%の成績が得られた.また低水温期におけるSDPの有効性を調べるため平均1020g, 750g, 677gのブリを10月から翌年5刀まで飼育した.その結果, 平均体重はそれぞれ2000g, 1600g, 1600gになり増肉係数は1.49-1.76の範囲にあった.当歳魚および2年魚におけるこれらの飼育成績はいずれも今回使用したSDPが実用飼料として有効であることを示すものであった.
  • 青木 秀夫, 渡邉 武, 古市 政幸, 津田 平蔵
    1997 年 45 巻 1 号 p. 131-139
    発行日: 1997/03/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    マダイ用高カロリードライペレット (DP) における魚粉代替タンパク質源として, 大豆油粕 (SBM) , コーングルテンミール (CGM) , ミートミール (MM) の3種の併用配合による利用性を成魚と稚魚で検討した。SBM, CGM, MMを組み合わせて36~46% (魚粉代替率46~62%) 配合したDPを用いて平均体重565gと35gのマダイをそれぞれ85日間および56日間飼育し, 飼育成績, 魚体の一般化学成分および血漿化学成分の項目について, 魚粉DPを用いて飼育した対照区と比較した。その結果, 成魚では代替飼料区のいずれの区も魚粉飼料区と同程度の優れた飼育成績が得られ, 魚の生理状態も正常であると評価された。一方, 稚魚ではCGM配合率が5および10%の区では魚粉飼料区と同程度の成績が得られたものの, 配合率が15, 20%と増加するにしたがい成績が悪化した。したがって, CGMはタンパク質源として, 稚魚用飼料へ高率で配合するには問題があると推察された。以上の結果から, SBM, CGM, MMを適切な配合割合で併用することによりマダイ用DPの魚粉を約60%代替できることが明らかになった。
  • J.P. BLANCHETON, D. COVES, G. LEMARIE
    1997 年 45 巻 1 号 p. 143-149
    発行日: 1997/03/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
  • Peter. J. BLYTH, John. G. PURSER, John. F. RUSSELL
    1997 年 45 巻 1 号 p. 151-161
    発行日: 1997/03/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    The Australian aquaculture industry in 1994/95 was worth about AU$ 419 million, and grows eleven main species. Significant research effort has been focused on the replacement of fish meal protein, for alternative proteins, more readily available within the country. Considerable research has been directed to techniques for the rearing of marine fish larvae and the adaptation of grow out technology to suit local conditions. Feed distribution technology is also an area receiving attention. The increasing cost of feed, the desire to improve husbandry techniques and a concern for the environment has prompted research into feed management and technology, particularly in the salmonid industry. Feed distribution technology using an underwater sensor with a ‘feedback’ algorithm was used to grow fish efficiently, displaying significant improvement over historical values. The relationship between fish behaviour/biology/feeding & activity rhythms is discussed in relation to the requirements for optimal growth and feed conversion of cultured fish. Three species were considered (S. salar, O. tshawytscha and L. calcarifer) and feeding patterns were demonstrated to relate to size, photoperiod, temperature and discussed in respect to fish hierarchies.
  • Chin Kee KEAN
    1997 年 45 巻 1 号 p. 163-169
    発行日: 1997/03/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    In recent years large tracts of coastal lands are cleared by government bodies and private companies for shrimp and fish cultivation. These farms are usually located at banks of estuaries where the lands are low lying and subject to tidal influence. Intensive farming activities impose an heavy demand on water resources and the marine environment. The fragile aquatic ecosystems in these areas under pressure from both the aquaculture and urban activities. It is believed that with proper planning and farming methods the negative impact can be reduced cost-effectively for sustainable economic growth.
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