水産増殖
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47 巻, 4 号
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  • 当真 武
    1999 年 47 巻 4 号 p. 467-479
    発行日: 1999/12/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    イワノリ類は沖縄島西海岸域で北~北西に面した沿岸のみに偏在し, 礁縁から約50m以内の距離にある岩礁や消波ブロックの潮間帯から飛沫帯にかけて帯状で形成され, 礁縁から約100m以内にある基質にそれが点在するようになる。生育量が多い場所は風浪に対する露出度が高く, そして日照がよくあたる岩礁面であるという点で共通している。
    本種が沖縄島に生育していない理由は, 巨視的にみれば沖縄島軸が約45度で走るため冬季の強い北東季節風の影響が緩和され東海岸側に生育に適したhabitatがないと推定された。イワノリ類とほぼ同じhabitatをもつハナフノリは沖縄島の東西海岸に生育していること, 勾配が緩やかな地形にも生育している状況から, 耐乾燥度の面から比較すると, ハナフノリ>イワノリ類の関係が成立する。
    垂直分布は, 1日に1回干上がる場所の平均干潮位から平均満潮位の間とその上部の飛沫帯であり, 繁茂する場所は日当たりのよい岩礁面である。その帯状構造は, 地域の生育環境に対応して一定の法則性をもって出現していることから, その濃淡は沿岸波浪の強さ, 地形の向き, 生育環境を推定する指標になることを強く示唆した。
    季節的消長は, 12月に幼藻体が認められるようになり, 4月に最大湿重量が760g/m2に達し, 6月上旬に消失した。一方, 多孔性の琉球石灰岩では12月中旬に発芽し, 3月上旬にピークになり, そして5月中旬に消失した。生育期間は千枚岩, 消波ブロック上で長く, 琉球石灰岩で短いが, それは岩質の保水性と関係する。沖縄島北部の主な岩質は保水性の高い千枚岩, 中南部域は多孔性の小さい琉球石灰岩である。中南部域で本種の生育量が極端に少なかったのは岩質が保水性の小さい琉球石灰岩であることに起因していたことになる。着生基質は千枚岩, 琉球石灰岩, 消波ブロック, コンクリート面, 木片などである。
    沖縄島中南部域において, 1972年以降大規模に消波ブロックが投入されてきた礁面にイワノリ類の帯状が出現し, 生育量が天然産を凌駕するようになった。それの生態をサンゴ礁地形, 地質など多方面から検討した結果, イワノリ類は食用海藻資源として半永久的に利用が期待できることが判明した。
  • 越川 義功, 柵瀬 信夫, 大槻 晃
    1999 年 47 巻 4 号 p. 481-488
    発行日: 1999/12/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    遮水壁撤去によって平潟湾周辺ではアサリの生息が回復した。その生息密度は代表的な東京湾のアサリ生息場である盤洲干潟, 三番瀬と同様であった。また, その平均湿重量密度の変動は, 野島海岸や水路よりも年間を通じて少なかった。これは平潟湾中央部の底質環境が回復して, アサリの天然生息地である野島海岸と類似したこと, また安定した餌料環境によって多くの成貝が生息することに起因する。平潟湾におけるアサリの現存量は, 冬季の波浪による底質撹拌や漁獲圧を受け難く, アサリ稚貝の加入傾向から見ると, 産卵期初期における成貝の生息数や加入する稚貝の生残率がアサリ資源保全の重要なポイントとなることが示唆された。
  • 荒井 克俊, 稲森 由絵
    1999 年 47 巻 4 号 p. 489-495
    発行日: 1999/12/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    正常二倍体の卵を人為三倍体の精子で受精したところ, その結果生じる二倍体×三倍体の子孫は低い生存率と高い奇形率を仔稚魚期に示した。しかし, 少数個体は摂餌を開始し, さらに生存した。受精2日令の胚の染色体観察から, これらは高二倍性異数体であることが判った。2月令の生残個体のDNA量フローサイトメトリーの結果はこれらが生存性の高二倍体 (2.2n~2.5n) であることを示した。
  • 吉原 喜好, 杉田 治男, 青野 英司, 出口 吉昭
    1999 年 47 巻 4 号 p. 497-503
    発行日: 1999/12/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    1989年から1998年の10年間の東京湾奥部において釣獲されたマハゼの計測結果から, 全長-体重関係および肥満度の年ごとの推移を比較検討した。
    アロメトリー式における回帰係数bは1989, 1993および1998年は他の年よりも小さく, また平均肥満度は全ての全長範囲で高くなった。
    このことから東京湾奥部のマハゼは4~5年周期で肥満度の高い個体が出現することが判明した。
  • 有馬 多恵子
    1999 年 47 巻 4 号 p. 505-510
    発行日: 1999/12/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    1) 1981, 1987年に飼育したタカベ親魚から得た自然産出受精卵について発生を観察し, 嚢胚初期から孵化後6日の仔魚期の形態を記載した。
    2) タカベ卵は単一の油球を有する球形の分離浮性卵で, 卵黄は無色透明で粗い亀裂がみられた。
    3) 卵径は1981年が0.99±0.02mm, 1987年は0.91±0.02mm, 油球径は両年とも0.23±0.01mmであった。
    4) 水温20.7~21.5℃の下で, 嚢胚初期から孵化まで約28時間を要した。
    5) 孵化仔魚の全長は2.56±0.23mmで, 油球は卵黄の後方に, 肛門は体のほぼ中央に位置した。
    6) 孵化後5日で全長3.63±0.08mmになった。
    7) 前期仔魚期の筋節数は6+18~19=24~25が計数された。
  • 赤瀬 信一郎, 吉川 毅, 坂田 泰造
    1999 年 47 巻 4 号 p. 511-518
    発行日: 1999/12/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    鹿児島湾から分離したラフィド藻, Heterosigma akashiwo 2株とChattonella marina 1株および養殖飼料用珪藻Chaetoceros ceratosporum 1株の藻類色素を抽出し, 逆相TLCおよびHPLC法を用いて分析した。ラフィド藻の3株はクロロフィルac, ゼアキサンチン, フコキサンチン, ビオラキサンチン, β-カロチンを含有し, 非常に類似した色素組成をしていた。一方, 珪藻株はゼアキサンチン, ビオラキサンチン, β-カロチンを含有せず, 未同定の2つのカロテノイド色素を有しており, ラフィド藻とはかなり異なった色素組成を示した。本研究で用いた色素分析法は簡便迅速であり, 海産微細藻類の同定およびモニタリングに応用できることが示された。
  • 石川 春彦, 高橋 計介, 森 勝義
    1999 年 47 巻 4 号 p. 519-525
    発行日: 1999/12/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    宮城県女川湾に垂下したマガキ, Crassostrea gigasの血球密度, 血球の貪食能および生体内の異物排除能を示すクリアランス指数の季節変動について調べ, それらの変動におよぼす性成熟と産卵の影響について検討した。各個体の性成熟段階を組織学的に, 発達期・成熟期・回復期・休止期の4段階に区分した上で, 血球密度および血球の貪食能を測定した結果, 同一時期に採取された個体問において, より性成熟が進行した個体の方が血球の密度, 貪食能ともに高くなる傾向が認められた。さらに, クリアランス指数の差は顕著であった。また, 産卵直後の回復期では, すべての個体の血球密度および貪食能が成熟期と比べて大きく低下した。以上のことから, マガキの血球密度, 貪食能および生体内の異物排除能は, 性成熟の進行と産卵によって大きく変動することが明らかとなり, 生殖周期は細胞性防御能に影響する重要な要因であることが示唆された。
  • 原田 和弘, 山本 強
    1999 年 47 巻 4 号 p. 527-530
    発行日: 1999/12/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    放流されたガザミ種苗の減耗要因の一つと考えられる飢餓に関連した耐性試験を実施した。
    1) 水温15~25℃の条件下でC1の絶食耐性を調べた結果, 水温が高くなるに従って, 生存期間の短縮が見られた。
    2) 水温23~24℃でC1~C3を用いた絶食試験における半数致死日数は, およそ9~19日で, 種苗サイズが大きくなるほど絶食耐性も向上することが分かった。
    3) 水温25℃におけるC1のPNRは8.3日であった。
    4) 干潟域に放流されたガザミ種苗が, 飢餓で大量減耗することは考えにくい。
  • 秋山 信彦, 伊藤 文, 上野 信平, 林 繁一, 小笠原 義光
    1999 年 47 巻 4 号 p. 531-537
    発行日: 1999/12/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    本研究ではアコヤガイの稚貝が捕捉可能な粒子の大きさを明らかにした。
    直径1~500μm, 比重1.05のポリスチレン製の粒子を海水中に懸濁させ, 殻高0.17~6.41mmのアコヤガイに粒子を捕捉させた。捕捉された粒子と海水中の粒子の組成に差が認められ, 稚貝は特定の大きさの粒子を取り入れたことが明らかとなった。また, 成長にともなってより大きな粒子の捕捉が可能となったが, 貝の大きさに関係なく捕捉された粒子の最頻値は2.56~10.24μmの範囲内にあった。
    殻高2mm以下の稚貝が粒子を捕捉する過程を顕微鏡下で観察した。40μm以上の粒子は外套膜の縁辺で外套腔に入らないように遮断し, 入ったとしても鰓糸の先端で捉えられなかったり, 口の方へ輸送する途中で脱落した。その結果, 口周辺まで輸送された粒子の最大値は20.44~35.77μmであった。反対に鰓窓の幅よりも小さな粒子は鰓での捕捉効率が悪かった。
    以上の結果からアコヤガイ稚貝が直径2.56~10.24μmの粒子を捕捉したのは, 鰓での捕捉効率が最も良い大きさであったためと考えられた。
  • 山元 憲一, 安達 智, 河邉 博
    1999 年 47 巻 4 号 p. 539-544
    発行日: 1999/12/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    本研究は, アコヤガイを用いて, 酸素摂取量, 換水量, 酸素利用率および鰓の繊毛運動に及ぼす低酸素の影響について, 水温14.5, 20.5と27.2℃で調べた。
    酸素飽和の状態では, 換水量および鰓の繊毛運動は水温の上昇に伴って増大し, 酸素利用率は減少した。酸素摂取量は水温が14.5℃から20.5℃に上昇すると増加したが, 27.2℃に上昇しても20.5℃とほぼ同じ値を示した。低酸素下において, アコヤガイは換水量をほぼ一定に維持し, 酸素利用率を増大させた。酸素摂取量は14.5℃および20.5℃では酸素分圧が減少しても酸素飽和の状態での酸素摂取量を維持する変化を示したが, 27.2℃では酸素分圧の低下に伴って酸素摂取量が減少する変化を示した。鰓の繊毛運動は14.5℃および20.5℃では酸素飽和の状態での値を維持していたが, 27.2℃では酸素分圧の低下に伴ってわずかに減少した。結果から, アコヤガイは水温27.2℃では高温による影響が生じて, 正常な呼吸機能を発揮できなくなっていると推測した。
  • 椎橋 孝, 田牧 幸一, 飯田 貴次
    1999 年 47 巻 4 号 p. 545-550
    発行日: 1999/12/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    魚類好中球の酸素依存性殺菌活性におけるスーパーオキシド (O2-) , 過酸化水素 (H2O2) および次亜塩素酸 (HOCl) の関連性を調べる目的で, テラピア, Oreochromis niloticus好中球の殺菌活性およびrespiratory burst時の酸素代謝動態を測定した。テラピア好中球をフォルボールエステルで刺激したところ, respiratory burst, O2-およびH2O2の産生が観察され, その量的比率は2: 2: 1であった。
    このことからテラピア好中球の活性酸素産生に哺乳類同様NADPH酸化酵素が関与していることが示唆された。HOCl産生酵素であるミエロペルオキシダーゼの阻害剤 (NaN3) およびH2O2消去剤 (カタラーゼ) は大腸菌に対する好中球の殺菌活性を有意に抑制した。以上の結果からテラピア好中球の酸素依存性殺菌活性にはHOClおよびH2O2が重要な働きをしていることが示唆された。
  • M. Agus SUPRAYUDI, Maria BINTANG, 竹内 俊郎, Ing MOKOGINTA, Toha SUTARDI
    1999 年 47 巻 4 号 p. 551-557
    発行日: 1999/12/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    グーラミィ用飼料における脱脂大豆油粕 (SBM) による魚粉の代替率を求めることを目的に, 5種類のSBMの添加率が異なる飼料を用いて, 16~20gの魚を50日間飼育し, 成長, 飼料効率, タンパク効率, 各栄養素の消化率, タンパクおよび脂質の魚体蓄積率さらにアンモニア排泄量などを求めた。その結果, SBMで飼料中のタンパク質のうちの50%ほどを代替した区が最も優れた飼育成績と低い窒素排泄量を示した。一方, 50%以上代替した区では, 摂餌率の低下やタンパク質と炭水化物の消化率の低下が顕著に見られた。今回の結果から, グーラミィ用飼料中のタンパク源のうち50%はSBMで代替できることがわかった。
  • 芳賀 穣, 竹内 俊郎, 青海 忠久
    1999 年 47 巻 4 号 p. 559-566
    発行日: 1999/12/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    レチノイン酸強化アルテミア幼生を給餌してヒラメ仔稚魚における骨格異常発現に対するレチノイン酸の影響を検討した。アルテミア中のレチノイン酸含量はアルテミアに強化したレチノイン酸投与量の増加に伴って増加した。体色発現については, 対照区とレチノイン酸投与区で差は見られなかった。レチノイン酸強化アルテミアを給餌したヒラメは, 全長や体重が短縮化及び減少する傾向を示した。脊椎骨異常は, アルテミア培養槽に添加するレチノイン酸の量が増加するに伴って増加する傾向を示した。脊椎骨異常の発生部位はこれまでにビタミンA過剰について報告されているものに類似していた。本研究の結果から, レチノイン酸は投与依存的に脊椎骨異常を発生させ, 骨格異常の原因物質であると推察された。
  • M. Amzad HOSSAIN, 古市 政幸
    1999 年 47 巻 4 号 p. 567-571
    発行日: 1999/12/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    ヒラメ稚魚用飼料へのカルシウム (Ca) 補足量を検討するため, カゼインとイカミールをタンパク源とした半精製飼料 (Ca含量0.02%) に, Ca添加量が0, 0.1, 0.25, 0.4および0.6%となるように乳酸Caを添加した5飼料で, 体重0.38gのヒラメを10週間飼育した。その結果, Ca無添加区の魚の成長は最も悪く, 0.1%および0.25%添加区では有意に優れた成長を示した。一方, 0.4%および0.6%添加区の成長は無添加区より良かったが, 有意差は無かった。飼料効率と肥満度も飼料へのCa添加によって高くなった。しかし, 脊椎骨のCaとリン含量は成長の結果を反映せず, 区間差が無かった。本実験条件下では, ヒラメ稚魚の正常な成長の為には0.1~0.25%のCaを飼料に添加する必要があると推察される。
  • 岡田 一宏, 西村 守央, 河村 剛, 林 政博
    1999 年 47 巻 4 号 p. 573-582
    発行日: 1999/12/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    雌雄1: 1のクロアワビ親貝を数組用いて個別に採卵, 採精し, 得られた稚貝群の水温上昇期の斃死率を比較した。筋萎縮症の発症が確認されたなかで, 各区の斃死率, 貝殻異常率, 斃死個体サイズは異なった。1994年の実験Iでは, 3組の試験区のうち, 1組の斃死率が極めて低くなった。1995年の実験IIでも, 6組の試験区のうち, 実験Iで斃死率が極めて低かった組と同一の親貝を用いた試験区の斃死率が最も低くなった。1996年の実験IIIでは, この実験I, IIで斃死率が最も低かった組の雌親に6個体の雄を個別に組み合わせて得られた6組の試験区の斃死率は一様に低くなった。以上の結果から, 稚貝の斃死率の差は, 親貝, 特に雌親に由来する稚貝の筋萎縮症に対する抵抗力の差であるものと推定された。
  • 新納 正也, 平田 八郎
    1999 年 47 巻 4 号 p. 583-587
    発行日: 1999/12/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    コイの飼育生物過程におけるAGP値とFDR値を高めるために生菌剤の添加給餌を行い, その影響を調べた。添加率は給餌量の0%添加区 (対照区) , 0.5%添加区, 2%添加区および5%添加区の4実験区を設けた。
    その結果, AGP値は対照区と0.5%添加区ではほぼ同じような値を示したが, 2%添加区および5%添加区ではいずれも対照区の約140%と高い値を示した。
    AGP測定後に行ったFDRの調査では, 対照区のFDR値は0.83%/日であったが, 実験区では3区とも1.56%/日と類似した値が示された。このようにFDR値はいずれの実験でも対照区の約2倍もの速さを示したが, FDR試験時では投与生菌剤の増殖活動が定常期に達したものと思われた。
    以上, 本実験では, コイへの生菌剤の添加給餌は, AGP値およびFDR値を高めることが分かった。また, AGP値とDIN値とは負の相関を示すことも解明された。したがって, 生菌剤の添加給餌は, 養魚の環境保全に寄与するものと示唆された。
  • 山野井 英夫, 近藤 正美, 藤井 義弘, 田川 正朋
    1999 年 47 巻 4 号 p. 589-593
    発行日: 1999/12/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    キジハタ仔魚において3日齢ころにほぼ必ず発生する初期減耗の防除を目的として, 甲状腺ホルモンの1種である3, 3', 5-トリヨードチロニン (T3) の効果を小規模の実験系を用いて検討した。T3を100ng/ml含む海水に, ふ化前日の浮上卵を5時間浸漬しても, ふ化率や無給餌下での仔魚の生残率向上の効果はなかった。一方, ふ化仔魚の飼育水にT3を添加すると, 仔魚の生残は最高で20~30倍にまで改善された。T3添加濃度が6.25ng/mlから100ng/mlの範囲ではほとんどの場合, 添加濃度が高いほど生残率の改善される度合いは優れており, 6日齢には対照区の生残率がわずか2%であったのに対し, 100ng/ml区では73%にも達した。T3添加の至適日齢を検討したところ, ふ化当日がもっとも優れていた。浮上卵あるいはふ化仔魚を200ng/mlのT3を含む海水に6時間浸漬し, その後のT3濃度変化を追跡したところ, 浮上卵浸漬ではふ化当日には約10ng/gのT3しか認められなかったのに対し, ふ化仔魚浸漬ではふ化後1日経過しても120ng/gのT3が認められ, 投与時期の違いによる生残率向上効果の有無と良く一致していた。
  • 原田 和弘
    1999 年 47 巻 4 号 p. 595-596
    発行日: 1999/12/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    Fouling by the green mussel, Perna viridis, on the oyster beds in Aioi City and along the coast of northern Harima-nada, Hyogo Prefecture was investigated. In this study the first observed mass of green mussels adhering to cultured oysters was in August, 1998 with a shell length about 5 mm. By the end of November the largest one grew to 47 mm. Growth slowed down with the seasonal fall in water temperature, and mortality increased. Detachment from the substrates was observed in the end of January, 1999. At water temperatures below 10°C, mass mortalities of the green mussel were observed.
  • Taiko MIYASAKI, Katsuhiko HARADA, Hiroshi MAEDA
    1999 年 47 巻 4 号 p. 597-598
    発行日: 1999/12/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    The multiple linear regression equations of attraction activity on the amino acid contents in the extracts of 39 breeds of vegetable were estimated, for seeking probable feeding attractive amino acids for yellowtail, Serbia quinqueradiata. The estimated equations indicated that proline was effective in increasing attraction index and that several amino acids showed decreasing trend of the index with their concentration increased.
  • 吉原 喜好, 望月 篤, 加藤 雅功
    1999 年 47 巻 4 号 p. 599-606
    発行日: 1999/12/20
    公開日: 2010/12/10
    ジャーナル フリー
    The authors visited the Republic of Madagascar in August, 1999, and investigated about the aquatic production of the country, and inspected the center of the aquaculture development project, which located at Mahajanga in the Northwest coastal region. This center was established to promote the use of prawn culturing technology for petty fishermen with support from the Japanese government. The following are the outlines data. The annual amount of the aquatic production reached to roughly 120, 000 t in last five years, and there was no significant change in the country's economy except that the marine aquaculture increased. The Ministry of Fisheries and Fishery Resources Management of the country divides their fishery into maritime fishery and freshwater fishery; and the maritime fishery is, further, divided into industrial, small and traditional fishery. The Ministry announced officially the annual fisheries production of each. The share of the production of traditional fishery accounted for about 63% of the whole. Although the production amount of shrimp and prawn is not announced, shrimp and prawn appear to be the most importance species for the maritime products in the country, as they occupy the most amount of the annual export. The result of aquaculture development project, which started in April, last year, has not been announced. We expect an advancing performance of this project.
  • 1999 年 47 巻 4 号 p. 607-618
    発行日: 1999/12/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
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