水産増殖
Online ISSN : 2185-0194
Print ISSN : 0371-4217
ISSN-L : 0371-4217
47 巻 , 1 号
選択された号の論文の22件中1~22を表示しています
  • 上西 由翁, 国本 正彦, 山本 有司, 水上 譲, 鬼頭 鈞
    1999 年 47 巻 1 号 p. 1-7
    発行日: 1999/03/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    小亜粒子リボゾームRNA遺伝子 (SSU rDNA) の2領域を対象に, スサビノリとアサクサノリのPCR-SSCP法による迅速判定を試みた。その結果, Tris-Glycine緩衝液と10%グリセロールを含む5もしくは6%アクリルアミドゲル (クロスリンクモノマー比2.0%) を用いることで銀染色による簡易検出が可能となった。アマノリ属SSU rDNAで多型の多くみられた586bpの解析には, 制限酵素断片のSSCP解析が1塩基変異を検出するのに有効であった。養殖ノリ13品種のPCR-SSCPパターンは, すべてスサビノリの泳動パターンを示した。本実、験に用いたPCR-SSCP改良法は, 4ステップ, 8時間で両種の判定が可能であった。
  • 井谷 匡志, 宗清 正廣
    1999 年 47 巻 1 号 p. 9-14
    発行日: 1999/03/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    サザエ放流種苗の分散抑制方法について検討するために, 餌および遮へい物のサザエに対する分散抑制効果について実験を行った。餌, および遮へい物, ともに分散抑制効果がみられたが, 餌の方がその効果は大きかった。また, 遮へい物の分散抑制効果は夜間には失われた。次に, 天然中間育成貝と陸上中間育成貝それぞれに対する分散抑制効果を調べたところ, 遮へい物による分散抑制効果は, 陸上中間育成貝に対するほうが天然中間育成貝に対してよりも小さいことがわかった。
  • 藤永 克昭, 中尾 繁
    1999 年 47 巻 1 号 p. 15-20
    発行日: 1999/03/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    北海道の有珠湾においてヒメエゾボラの餌生物を野外で調査するとともに, 食物摂取率を実験室で検討した。野外においてヒメエゾボラは, 生きたムラサキイガイとホタテガイや魚とイソガニ類の死骸など種々の餌を摂食した。しかし, 大部分の個体はムラサキイガイやホタテガイなどの生きた二枚貝を摂食しており, 動物の死骸を摂餌していた個体の割合はわずか20.1%であった。ヒメエゾボラの1回の摂餌あたりの食物摂取率は, 殻高の増大とともにほぼ指数関数的に減少し, 本種の食物摂取は個体の重量に大きく左右された。2ケ月ごとの殻高一食物摂取率関係の回帰式において傾きと高さを共分散分析を用いて比較した結果, 食物摂取には, 重量以外に, 水温や他の要因が関連していると考えられた。
  • Ricardo PEREZ-ENRIQUEZ, 関 伸吾, 渡辺 淳, 松本 礼紀, 谷口 順彦, 小松 章博, 北川 衛
    1999 年 47 巻 1 号 p. 21-28
    発行日: 1999/03/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    同一タンクで飼育されたマダイ人工種苗における同系交配群と異系交配群の量的形質について評価した。2系統の人工種苗から2つの実験区より全きょうだい, 半きょうだいの計20家系が得られた。孵化仔魚の奇形率は, 雄親・雌親の生理的条件 (環境要因) と雄親・雌親の相互作用 (遺伝要因) の2つの成分に由来していた。最初の実験区では45日齢と166日齢で, 次の実験区では48, 75, 130, 166日齢で全長, 体重を計測した。同系交配群と異系交配群の間で全長, 体重に有意差はなく, 雑種強勢は認められなかった。しかし, 肥満度には両交配群間で有意な差が認められ, 肥満度における遺伝率は高い値を示した。雌性発生系の交配では, 雌性発生継代群に比べ雌性発生系間の交配群でいくつかの形質で値が大きくなったが, 両群問に有意差は認められなかった。
  • 家戸 敬太郎, 林 律子, 石谷 大, 山本 眞司, 宮下 盛, 村田 修, 熊井 英水
    1999 年 47 巻 1 号 p. 29-34
    発行日: 1999/03/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    天然群に比べ成長が早い選抜育種マダイにおける飼育条件下での性分化過程について組織学的に検討した。その結果, 孵化後3および4ヶ月目において全個体の生殖腺に卵巣腔が観察された。孵化後7ヶ月目には40尾中34尾に卵母細胞を持つ個体がみられた。孵化後8ヶ月目以降の当歳魚において, 生殖腺中に卵母細胞と精母細胞が両方存在する雌雄同体 (以下, ♀♂と略記) が約半数の個体に出現した。1歳魚の6月 (孵化後約1年4ヶ月) までの生殖腺は, 卵巣または♀♂のいずれかで, 1歳魚の9月以降および2歳魚の生殖腺では卵巣および♀♂のほかに精巣も確認された。3歳魚には雌雄同体はみられなかった。以上の結果から, 選抜育種マダイの性分化過程としては, 稚魚期には全個体の生殖腺が卵巣へと分化し, 半数の個体はそのまま雌になるが, 残りの半数の個体では孵化後8ヶ月目頃から精巣が発達し始め, 1~2歳魚にかけて完全な雄に分化すると考えられた。
  • 山木 勝, 山下 浩史, 佐藤 正治, 佐藤 治平
    1999 年 47 巻 1 号 p. 35-41
    発行日: 1999/03/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    アマゴ卵のイワナ精子による受精, ならびにその受精卵の高水温 (受精後8分, 27℃, 23分間) 処理により得られた個体の遺伝的構成を核型分析により調査したところ, これらは各々二倍体および三倍体雑種であることが示された。次に, アマゴあるいはイワナに特有のDNAパターンが得られる5個のプライマーのうち3個のプライマー (A27, A29, A31) を用いて両交雑稚魚の抽出核酸を鋳型にPCRを行った結果, 明瞭な増幅産物泳動像が得られ, 両雑種がアマゴおよびイワナ特有の増幅断片を両方有することを確認できた。従って, RAPD-PCR法は雑種の遺伝的構成の判別に有効であることが示された。
  • 山本 淳, 名倉 盾, 大森 洋治, 芳賀 稔
    1999 年 47 巻 1 号 p. 43-47
    発行日: 1999/03/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    山梨県下の民間養鱒場で確認されたアマゴのアルビノ個体の生物学的性質を調査した。そのアルビノ形質は遺伝的に劣性で, 体色と発眼期から仔魚期にかけての網膜色素の発現において通常魚と相違するが, 形態, 成長, 成熟においては通常魚とほぼ同様の性質を有すると判定された。
  • 魚住 香織, 田畑 和男
    1999 年 47 巻 1 号 p. 49-54
    発行日: 1999/03/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    ヒラメを用いて枝分かれ交配を行い, 半同胞の分散分析法により稚仔魚の全長, 生残率および白化率の遺伝率 (雄親魚成分) を推定した。孵化直後, 孵化後10日目, および孵化後40日目の全長の遺伝率は, 非常に低い値であり, 母性効果は高い値であったので, 卵質による影響が大きいと考えられた。孵化後40日目の生残率は, 遺伝率・母性効果ともに低い値となり, 稚魚の生残に親魚の遺伝的要因が, あまり反映されない結果となった。白化率では, 遺伝率は高い値で, 母性効果は低い値であったので, 卵質の影響は少なく, 個体選抜による遺伝的改良の可能性が示唆された。
  • 横田 賢史, 渡邊 精一
    1999 年 47 巻 1 号 p. 55-59
    発行日: 1999/03/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    種苗放流が行われている宮城県におけるクロソイ集団の年級群別GPI-1*遺伝子座の*c遺伝子頻度データを用い, 種苗放流による一方向的遺伝子流動を明らかにするために数理モデルによる解析を行った。当世代における放流魚の混合率mについて1983, 84年, 繁殖集団における放流魚の割合sについては1983~85年の3年間推定した。mは1983, 84年それぞれ, 0.400, 0.704となったが, sは3年間ともに1.00以上となり推定不能であった。放流魚の不均一な分散混合を仮定して改めてsを推定した結果, 1983, 1984および85年それぞれ, 0.796, 0.789および0.623となり, 放流による一方向的遺伝子流動の可能性が示唆された。
  • 大野 正夫, 松岡 正義, 團 昭紀, Shaojun PANG, Chaoyuan WU
    1999 年 47 巻 1 号 p. 61-64
    発行日: 1999/03/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    中国, 青島の自生種 (野生種) ワカメの配偶体の株より胞子体を得て, 徳島県鳴門海域で養殖を行ない, その形態形質について鳴門自生種との比較検討を行なった。
    中国産ワカメと鳴門産のワカメは, ナルトワカメ品種と同様の形質を持ち類似していたが, 全長は短く成実葉が大きかった。葉体表面はちじれが多く, 毛巣がみられ, 葉体は薄く柔らかく, 商品的品質として劣っていた。
  • 荒井 永平, 刈田 啓史郎, 星合 愿一, 片山 知史, 星野 善一郎
    1999 年 47 巻 1 号 p. 65-69
    発行日: 1999/03/20
    公開日: 2011/01/31
    ジャーナル フリー
    単体性ホヤ・エボヤの噴出運動を, 体内圧の変化や噴出海水量を連続測定し, そこで観察した長い持続性の反応 (持続性噴出運動) について調べた。持続性噴出運動は, 一過性の噴出運動と比べて, 噴出圧が低いこと, 反応時間が長いこと, 発生の時間間隔が長いことなどの特徴を持っていた。さらに, 一過性の噴出運動と異なり, 外部からの体性感覚刺激によっては, 誘発されることはなかった。これらの結果から, 持続性噴出運動は, 一過性の噴出運動と異なる役割や神経機構をもつものと考えられた。
  • 滝井 健二, 眞岡 考至, 瀬岡 学, 近藤 大蔵, 中村 元二, 北野 尚男, 熊井 英水
    1999 年 47 巻 1 号 p. 71-76
    発行日: 1999/03/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    魚粉の代替源として酵母, Saccharomyces cerevisiaeタンパク (YP) を0, 17, 25.5および34%配合した飼料を, 屋内の300l容角形水槽に収容した平均体重11gのマダイ稚魚に給与して30日間飼育した。終了時における平均体重と比肝膵臓重値はYP配合率の増加に伴って増大する傾向にあった。飼料効率とタンパク効率は0および34%YP区が17および25.5%YP区より若干高かったが, 血液性状, 比胃重値, 比腸重値, 全魚体および肝膵臓の一般成分, そして0および17%YP区の見掛けのタンパク質および糖質消化率に有意な区間差は認められなかった。これらの結果から, YPは魚粉に替わる優れたタンパク源の一つであることが示唆された。
  • 高木 修作, 細川 秀毅, 示野 貞夫, 舞田 正志, 宇川 正治, 上野 慎一
    1999 年 47 巻 1 号 p. 77-87
    発行日: 1999/03/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    マダイ用飼料における濃縮大豆タンパク質 (SPC) の配合許容量を1歳魚および0歳魚で調べるとともに, 1歳魚を用いてSPCに対するアミノ酸の補足効果についても調べた。
    魚粉を50%含む飼料を対照とし, SPCを16~55%配合した飼料, ならびにリジンおよびメチオニンを補足したSPC配合飼料で1歳魚を163日間飼育した。また, SPCを0~55%配合した飼料で0歳魚を40日間飼育した。1歳魚では飼料の嗜好性に及ぼすSPC配合の影響はほとんどなく, 飼料効率は対照区に比べてSPC配合区でやや低かったが, アミノ酸補足の有無に関わらず, 成長率はSPC配合率50%以下では対照区と同等であった。0歳魚ではSPC配合率50%以上で摂餌がやや不活発となり, 飼料効率はSPC配合率の増加に伴って低下する傾向にあった。38%以上のSPC配合区の成長はやや劣ったが, 27%以下のそれは対照区と同等に優れていた。
    以上の結果から, マダイ飼料に対するSPCの配合許容量は0歳魚では27%, 1歳魚では50% (魚粉代替率としてはそれぞれ50および90%) であることが明らかになった。
  • 浜渦 敬三, 森岡 克司, 高木 雅成, 小畠 渥
    1999 年 47 巻 1 号 p. 89-95
    発行日: 1999/03/20
    公開日: 2010/12/10
    ジャーナル フリー
    ブリの体色および肉質改善を目的として, 3%の不稔性アオサ (アオサ) の添加および無添加飼料でブリ稚魚を70日間生簀網内で飼育し, その成長, 飼料効率, 体色および肉質などを調べた。
    1) アオサの添加により, ブリの成長はやや阻害されたが, 飼料効率は同程度であり, タンパク質効率とエネルギー効率は向上した。
    2) 同添加により, 筋肉脂肪含量及び脂肪蓄積率の増加が抑制されることが確認され, また非極性脂質量の減少が認められた。一方, 極性脂質ならびに脂肪酸組成はアオサ添加とは無関係に一定であった。
    3) 体色の改善については, 生きている魚体では両区の色差はほぼ一定であったが, 即殺冷蔵魚ではアオサ摂取期間の延長に伴って, 体色の明化と黄色化が認められ, 色差も著しく拡大した。
    4) アオサ添加によりブリ背肉の破断強度は, 脂質含量の減少にもかかわらず, やや低下した。
    これらの結果から, ブリ飼料へのアオサの添加は, 体色を改善し, 脂肪の蓄積を抑制するが, 肉質には影響を及ぼさないことが示唆された。
  • 小林 立弥, 山根 綾子, 李 南實, 宮田 雅人, 宮崎 照雄
    1999 年 47 巻 1 号 p. 97-101
    発行日: 1999/03/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    淡水魚由来の病原ウイルスに対するBK水の殺ウイルス効果について検討した結果, 以下の知見が得られた。
    1) BK水はIHNV, RVA, HVA, PCNVに対して殺ウイルス効果を示し, 最低有効残留塩素濃度は, 0.25ppmであった。
    2) ウイルス感染過程におけるBK水の殺ウイルス効果は, IHNV供試のブラック法の検討より, ウイルス接種直後のウイルスが細胞に吸着する過程では顕著な殺ウイルス効果が認められたが, 時間が経過してウイルス感染が成立した段階に達すると, その効果は減少した。
  • 三村 元, 長光 貴子, 片山 泰人, 長瀬 俊哉
    1999 年 47 巻 1 号 p. 103-110
    発行日: 1999/03/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    1) OPO海水とTRC海水の間にο-トリジンの吸光度に差は見られない。
    2) ο-トリジン法ではο-トリジン添加後1分以内に測定を行うことが望ましい。
    3) 1cmセルを使用し, ο-トリジン添加後1分以内に測定をした場合での測定範囲は定量下限0.005~0.013mgO3/lであり, 定量上限は2~3mgO3/lであると考えられる。
    4) 水温の影響については5~30℃であれば温度の影響を受けない。
    5) 3価の鉄イオンに関しては0.34mg/l以上で妨害イオンになる。
    6) マンガンイオンに関しては0.30mg/l以内であれば妨害イオンにならない。
    7) 亜硝酸態窒素はTROと共存する可能性は少ないと考えられるが, 0.018mg/l以下でもο-トリジンを発色させるので亜硝酸態窒素をTROと誤測定する可能性がある。ο-トリジン法の適用は亜硝酸態窒素が検出されない試水で行う必要がある。
    8) 海水によって, または塩分濃度によって検量線が異なるので, 海水ごとに検量線を作成する必要がある。
  • 田子 泰彦
    1999 年 47 巻 1 号 p. 111-112
    発行日: 1999/03/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    Fin clipped ayu, Plecoglossus altivelis, fry of landlocked form, were released in the Shou River from May to June, 1992 to 1996, and some were recaptured near the spawning grounds each year between September 20 and November 4. The spawning of landlocked form reared in the pond started from September 16 to September 21, and that of amphidromous form started from September 29 to October 7. It is suggested that cross-mating between landlocked and amphidromous forms occurred partly after early October in the Shou River.
  • 吉原 喜好, 青柳 麻里
    1999 年 47 巻 1 号 p. 113-114
    発行日: 1999/03/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    We examined the effect of binary coded wire tagging on oxygen consumption rates of seven species of seawater fish and three species of freshwater fish. Nine were found that one hour after tagging, the oxygen consumption rates of tagged fish were 50-80% higher than those of non-tagged controls. The oxygen consumption rates of Girella melanichty, Oreochromis mossambicus and Carassius auratus returned to the original level six to seven days after tagging. Additionally, no effect was found on both growth and mortality rates in a long term observation.
  • 田子 泰彦
    1999 年 47 巻 1 号 p. 115-118
    発行日: 1999/03/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    近年, 神通川と庄川ではサクラマス親魚の遡上できる範囲と漁獲量は徐々に減少した。神通川における親魚の遡上範囲と漁獲量の関係はy=-3.97+0.0827xの回帰直線式で示され (r=0.693) , この式は庄川にも当てはまった。この事実は, サクラマス資源の減少は, ダムの建設などによる河川環境の大きな変化と密接に関係していることを示唆している。
  • 木村 知博
    1999 年 47 巻 1 号 p. 119-127
    発行日: 1999/03/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    1) 広島湾の溶存酸素量の変動は, 植物プランクトンの同化量, 呼吸量 (分解量) によって最も影響を受ける。中・下層の光合成には上層の植物プランクトンの増殖が関与する補償深度が介在している。
    2) 広島湾の主要点で成層期の水深別溶存酸素量の経年変化をみると, 補償深度を挟みその上下の層でその変動に差が生じている。また, この経年変動は, カキ養殖場の底質の自己汚染と関係なく, 海水交流のない広い範囲で高い相関がみられた。
    3) 底層水温が低めの年には, 中・底層の溶存酸素量は少なくなる傾向が窺えた。これは表層塩分の低下がもたらす成層発達により海水混合が起こりにくくなることと, 植物プランクトン増殖による透明度の低下で補償深度が浅くなり中・下層の溶存酸素量の低下を促進すること, さらには増殖したプランクトンの下層水中での分解などが考えられた。
    4) 広島湾のカキの成育の低下の主原因は, 沿岸域では都市・工場廃水の流入と海水交換の不良による水質悪化, 加えて年々の河川水, 気象条件による水質汚染域の拡大であり, 島嶼部では1985年頃からその兆候がみられた貧栄養の沖合系海水の卓越によると考えられた。また, 出荷カキの大きさの年変化は秋から冬のクロロフィルa量との関係がみられた。
    5) 広島湾周辺のカキ養殖場の海水の溶存酸素量の変動は, 底泥よりも植物プランクトンを主とした懸濁物の酸素消費の影響が強い。特にカキ排泄物の酸素消費の寄与率は低いと推算された。したがって, 養殖場の自己汚染による底泥悪化→低酸素水塊の発生→カキの成育低下という過程のいわゆる「漁場老化現象」は特異的な局地での現象と思われる。
  • 1999 年 47 巻 1 号 p. 129-142
    発行日: 1999/03/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
  • 1999 年 47 巻 1 号 p. 143-160
    発行日: 1999/03/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
feedback
Top