ブリの体色および肉質改善を目的として, 3%の不稔性アオサ (アオサ) の添加および無添加飼料でブリ稚魚を70日間生簀網内で飼育し, その成長, 飼料効率, 体色および肉質などを調べた。
1) アオサの添加により, ブリの成長はやや阻害されたが, 飼料効率は同程度であり, タンパク質効率とエネルギー効率は向上した。
2) 同添加により, 筋肉脂肪含量及び脂肪蓄積率の増加が抑制されることが確認され, また非極性脂質量の減少が認められた。一方, 極性脂質ならびに脂肪酸組成はアオサ添加とは無関係に一定であった。
3) 体色の改善については, 生きている魚体では両区の色差はほぼ一定であったが, 即殺冷蔵魚ではアオサ摂取期間の延長に伴って, 体色の明化と黄色化が認められ, 色差も著しく拡大した。
4) アオサ添加によりブリ背肉の破断強度は, 脂質含量の減少にもかかわらず, やや低下した。
これらの結果から, ブリ飼料へのアオサの添加は, 体色を改善し, 脂肪の蓄積を抑制するが, 肉質には影響を及ぼさないことが示唆された。
抄録全体を表示