水産増殖
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48 巻, 1 号
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  • 本多 正樹, 堀家 健司, 平井 正風, 二宮 早由子, 上村 竜一, 都築 進
    2000 年 48 巻 1 号 p. 1-7
    発行日: 2000/03/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    アオサとハリガネの20℃における最大光合成速度はそれぞれ5.42mgO2/g wet mass・h,0.86mgO2/g wet mass・hであった。光合成における標準エンタルピー変化とエントロピー変化は,アオサで260kJ/mol,884J/mol・K,ハリガネで118kJ/mol,39gJ/mol・Kと計算された。Ω20をアオサで25.9μmol photons/m2・s,ハリガネで279μmol photons/m2・sとした場合,福島第一原子力発電所港湾施設内における現存量計算結果と実測値の適合が良かった。このモデルを用いて生産力と現存量のダイナミクスを解析した結果,アオサとハリガネの1995年4月から1年間の生産力はそれぞれ5.8および1.2kg/m2・yであり,アオサの年間生産力と平均現存量は平均日射量と水温に影響されるのに対して,ハリガネの生産力と現存量は主に日射量に影響されると考えられた。
  • 吉原 喜好, 北村 章二, 生田 和正, 神山 公行
    2000 年 48 巻 1 号 p. 9-15
    発行日: 2000/03/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    中禅寺湖において産卵のため沿岸に来遊し,または放流河川に遡上して採捕されたヒメマスの体長組成のモードを示す体長の周期性を検討したところ,5~6年周期でモード体長が大型化することが明らかになった。重回帰分析の結果,この現象が見かけ上,放流尾数や放流時の稚魚の大きさとは関係なく,放流した年の甲殻類の現存量と高い相関関係があることが認められた。また,甲殻類の現存量は湖への流入量が少なく,平均水温が高い年に増大する可能性が示唆された。総流入量が多い年に放流されたヒメマスは2年後の回帰量と正の相関を持つことが明らかになっており,流入量の増加は2年後の回帰量に,流入量の減少は水温上昇をもたらし,結果的に2年後に回帰するヒメマス個体の大型化に作用する,すなわち密度依存的生残率や成長が存在することが示唆された。
  • 伊藤 正木, 多部田 修
    2000 年 48 巻 1 号 p. 17-24
    発行日: 2000/03/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    日本周辺のトラフグの分布を把握するため,全国の漁業協同組合にアンケート調査を実施した。その結果,本種は根室海峡,伊豆・小笠原諸島,南西・沖縄諸島を除く日本周辺海域で漁獲されていることが明らかになった。また,本種対象の漁業があり比較的まとまった漁獲が得られることから,青森県以南の日本海,宮城県以南の太平洋,瀬戸内海,東シナ海・黄海が主分布域と推定された。主要な漁法である延縄と定置網の漁期の比較から,9~3月には主分布域全体に分布し,産卵期である3~6月には産卵場かその近傍に移動すると推測された。産卵場があり漁獲量が比較的多い海域が不連続に存在し,各海域間に連続した漁期のずれは認められないことから単一群が日本列島沿いを大きく季節回遊するのではないと考えられた。これらのことは日本周辺のトラフグが複数の群から構成される可能性を裏づけていると考えられる。
  • Ratu Siti ALIAH, 佐藤 将, 谷口 順彦
    2000 年 48 巻 1 号 p. 25-31
    発行日: 2000/03/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    ニシキゴイの3系統,紅白,大正三色,昭和三色の遺伝的多様性をマイクロサテライトDNAの4領域,Cca-8*,Cca-17*,Cca-21*,Cca-30*を用いて調べた。Cca-17*はすべての系統で変異が認められなかった。平均対立遺伝子数は低く,3.25から4.5の範囲にあった。平均異型接合体率もまた低く,0.325から0.456の範囲にあった。Neiの遺伝的距離の平均値はその他の養殖系コイより小さかった。ニシキゴイの遺伝的多様性指標がことごとく低いのは,種苗生産が全般に少数親魚によって行われていると言うことだけではなく,祖先集団の大きさが小さかったことを示唆している。
  • 山中 薫, 桑原 連
    2000 年 48 巻 1 号 p. 33-38
    発行日: 2000/03/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    北海道北東部鱒浦沿岸域に生息するワカサギの食性について胃内容物調査を実施した。沿岸海域で採捕されたワカサギは5~8月までは体長80mmを越える大型のものであったが,9~11月になると体長50mm以下の小型のものとなった。この違いは年級差と考えられた。これらのワカサギの胃内容物および食性の変化について以下の結果が得られた。
    1)ワカサギの胃内容物からは5門30種の餌生物が同定された。最も種類数の多かったものは甲殻類で出現種類数の約80%を占めた。中でも浮遊性のコペポーダ,Paracalanus parvus,Eurytemora herdmani,Tortanus foycipatusが多かった。P.parvusは9~10月のみに優占的に出現し,E.heydmaniは5~8月特に7月に優占して出現した。ほかにも端脚類・クーマ類など底生性の甲殻類も多く見いだされ,甲殻類を好んで食する傾向があると思われた。
    2)胃内容生物をその食性によって5群に分け組成比率を比較すると,5~6月ではデトリタス食者や肉食者など大型の底生動物が多くなるが,7月以降はプランクトン食者が圧倒的に多くなる傾向があった。これはオホーツク海の動物プランクトン量の季節変化に依存していると考えられた。
    3)ワカサギの体長が小さいときは小型の餌のみを捕食するが,体長が大きくなると大型の餌も捕食できるようになることが明らかになった。しかしながら,胃中優占種の体サイズはワカサギ体長の大小に係わらず1~5mmの範囲であり,ワカサギの大型個体は大型の餌のみを選択的に捕食しているわけではなく,環境中に多いと思われる餌生物を中心に捕食していると考えられた。
  • 川辺 勝俊
    2000 年 48 巻 1 号 p. 39-46
    発行日: 2000/03/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    アカハタ仔稚魚期における鰭と鱗の発達過程を検討し,以下の結果を得た。
    1)ふ化直後の仔魚の鰭は膜鰭だけだったが,仔魚の開口時には胸鰭が出現した。全長3mmを越えると背鰭第二棘と腹鰭第一棘が出現し,10mm頃まで著しく伸長した。その後,26mm頃までには各鰭は完全に分離して形状が整った。40mmでは腹鰭棘の長さが成魚の相対長とほぼ同じになり,全長45mmでは尾鰭が載形のままで依然としてわずかに湾入していることを除くと,他の鰭の相対長は成魚とほぼ同じになった。全長44~69mm以降は尾鰭後縁の湾入が消失して戴形から成魚と同じ円型となり,本種の鰭の形成はほぼ完成した。
    2)本種の鰭条数は全長12.0~17.5mmの間に定数に達し,稚魚期に入ると考えられた。鰭式は, D.X~XII, 15~17; A.III~IV, 8~10; C.15~17; P1.18~21; P2.I, 4~6であった。
    3)本種の初生鱗は21.6~27.1mmの間に鰓蓋外縁の躯幹先端部に出現し,その後,この鱗域は鰓蓋外縁に沿って上方に拡がった。その後,側線前端部上と背鰭基底先端部,尾部体側中央上にも新たな鱗群が出現し,尾部の鱗域はさらに側線に沿ってその範囲を前方に拡げた。さらに躯幹部腹側後方の肛門付近と腹鰭前方にも鱗が出現し,体側全面が鱗で覆われるのは35.1~38.8mmであった。
  • 山元 憲一
    2000 年 48 巻 1 号 p. 47-52
    発行日: 2000/03/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    アコヤガイでは,酸素摂取量,換水量,酸素利用率および鰓の上に載せた小片の移動速度は,水温を12,20,27℃から1℃ずつ30分毎に上昇させると,いずれも水温の上昇に伴って増大した。しかし,酸素摂取量は12℃では27℃,20℃では31℃,27℃では33℃で最大を示した。換水量は12,20,27℃ではいずれもそれらより5℃高い水温で最大を示した。酸素利用率は12℃では30℃,20℃では34℃,27℃では35℃で最大を示した。小片の移動速度は,換水量の最大を示す水温と一致せずに,12℃では30℃,20および27℃では35℃で最大を示した。換水量は殻と外套膜を開けた状態になると増加し,強制的に殻と外套膜を開かせた状態でも減少した。これらのことから,アコヤガイは,水温の上昇に伴う酸素摂取量の増加に対して主に酸素利用率を増大させて対応していると推測した。また,換水は鰓の繊毛運動で水流を起こして行っているが,換水量は殻や外套膜の開く角度および鰓や外套腔の部分の抵抗を変化させて総合的に行っていると推測した。
  • 青木 秀夫, 真田 康広, 古市 政幸, 木本 理恵, 舞田 正志, 秋元 淳志, 山形 陽一, 渡邉 武
    2000 年 48 巻 1 号 p. 53-63
    発行日: 2000/03/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    魚粉代替タンパク質として,数種の動・植物性原料を併用配合し,魚粉含量を40,30,20,10,0%としたドライペレット(EP)を用いてブリおよびマダイを飼育してその利用性を検討した。平均体重140gおよび105gのブリを網生簀に収容して101日および97日間,また30gのマダイを水槽で57日間それぞれ飼育した。いずれの試験とも魚粉含量が65%のEPを対照区の飼料とした。その結果,ブリでは魚粉含量の低下に伴い飼育成績が低下する傾向がみられた。しかし,魚粉含量が30%までの試験区の成績は対照区と大差なかった。また血液検査の結果,供試魚の生理状態も魚粉含量が30%までの区は対照区と同程度で良好であるものの,20%以下の区では劣っていると評価された。代替率が高い飼料の利用性が劣った理由は,魚粉含量の低下に伴って一部の必須アミノ酸含量が不足したためと推察された。一方,マダイの飼育成績は飼料の魚粉含量にかかわらずほぼ同じ程度で,生理状態にも差がなかった。これらの結果から,ブリ用EPでは代替タンパク質を併用することで魚粉含量を30%までは低減することが可能と判断された。またマダイ用EPでは代替タンパク質を適切な割合で配合することにより魚粉の全量を置き換えられることが示唆された。
  • 青木 秀夫, 古市 政幸, 渡邉 哉子, 佐藤 秀一, 山形 陽一, 渡邉 武
    2000 年 48 巻 1 号 p. 65-72
    発行日: 2000/03/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    魚粉代替タンパク質源として濃縮大豆タンパク質,大豆油粕,コーングルテンミール,ミートミールを併用配合した低魚粉(魚粉含量10%)および無魚粉飼料のマダイに対する利用性を調べた。試験1では平均体重279のマダイを3種類の低魚粉飼料と1種類の無魚粉飼料を用いて56日間飼育した。試験llでは平均体重550g前後のマダイを4種類の無魚粉飼料を用いて183日間飼育した。両試験とも市販のドライペレット(魚粉飼料)給餌区を対照区として設け,飼育成績および血液検査から判断した供試魚の生理状態について試験区と比較した。その結果,低・無魚粉飼料に対するマダイの摂餌性は良好であった。試験Iでは低・無魚粉飼料区の成長および増肉係数は対照区に比べて劣ったが,試験IIでは濃縮大豆タンパク質40%配合の無魚粉飼料区は対照区に匹敵する成績を示した。試験区の成績は配合組成によって異なり,濃縮大豆タンパク質の配合率の少ない区ほど劣る傾向がみられた。試験1では低魚粉飼料に対する結晶アミノ酸の添加効果を調べたが,飼育成績の改善はみられなかった。また血液検査の結果,低・無魚粉飼料区の供試魚の生理状態は魚粉飼料と同等であると評価された。以上の結果から,マダイでは代替タンパク質を適切な配合割合で併用することによって魚粉飼料と同等の栄養価を有する低・無魚粉飼料を開発できる可能性が示唆された。
  • 青木 秀夫, 渡邉 哉子, 佐藤 秀一, 山形 陽一, 渡邉 武
    2000 年 48 巻 1 号 p. 73-79
    発行日: 2000/03/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    濃縮大豆タンパク質,大豆油粕,コーングルテンミール,ミートミール,フェザーミールを主タンパク質源とした無魚粉飼料のブリに対する有効性を調べた。平均体重210g(実験I)と8g(実験II)のブリをそれぞれ試験飼料を用いて113日間および41日間飼育し,飼育成績,魚体の一般成分および血漿化学成分を求め,市販のブリ用エクストルーダー飼料(魚粉飼料)を用いて飼育した対照区と比較した。その結果,試験飼料に対するブリの摂餌性は魚体サイズで異なり,210gサイズの魚では活発な摂餌が観察されたが,8gサイズの魚では劣っていた。実験Iでは,飼育開始後約2ヶ月間は魚粉区と無魚粉区で飼育成績に大差なかったが,その後無魚粉区では徐々に摂餌活動が低下し,飼育終了時には成長および増肉係数が著しく劣り,死亡率もかなり高かった。実験IIでもほぼ同様の傾向がみられた。試験終了時の解剖検査では無魚粉飼料区の供試魚のみに高率で緑肝症状が観察された。また血液検査の結果,無魚粉飼料区の供試魚の生理状態は著しく悪化していたと評価された。
  • 青木 秀夫, 渡邉 武, 真田 康広, 山形 陽一, 山内 数美, 佐藤 秀一
    2000 年 48 巻 1 号 p. 81-90
    発行日: 2000/03/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    大豆油粕,コーングルテンミール,ミートミールおよび血粉を併用配合して魚粉含量を30~40%(代替率38~54%)とし,ヤシ油と牛脂を単独あるいは併用で10%配合して魚油含量を10%(代替率50%)としたドライペレット(EP)のブリに対する有効性を検討した。魚粉および魚油含量が65%および15%の市販ブリ用EPを対照飼料とした。平均体重172gおよび144gのブリを海面生簀に各区350尾および300尾ずつ収容してそれぞれ97日間および93日間飼育した。その結果,試験飼料区の成長および増肉係数はいずれも良好で,魚粉40%区では添加油の種類にかかわらず対照飼料区と殆ど差はなかった。また供試魚の血漿化学成分の測定値はすべて正常の範囲内にあり,いずれの区も魚の生理状態は良好であったと評価された。これらの結果から,ブリ用EPでは魚粉および魚油の50%前後を他の原料で代替できることが明らかとなった。
  • 滝井 健二, 瀬岡 学, 長岡 智子, 臼井 智彦, 中村 元二, 熊井 英水, 吉澤 康子
    2000 年 48 巻 1 号 p. 91-97
    発行日: 2000/03/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    大豆トリプシンインヒビター(SBTI)を0,0.6および6トリプシンインヒビター単位(TIU)/mg飼料添加した沿岸魚粉配合飼料で,一腹仔のマダイ稚魚(平均体重62.1g)を22日間飼育して消化機能を比較した。期間中のタンパク質および脂質の消化率に有意な区間差は認められなかった。しかし,6TIU飼料区の摂餌3時間後における腸内容物量は他の区に比べて少なく,摂餌6時間後における胃内容物量は逆に多く残存していた。一方,摂餌3時間後における腸内容物の塩基性プロテアーゼ(BP)およびSBTI非感受性BP(TI-BP)活性は,いずれも6TIU飼料区が他の区に比べて高かったが,摂餌6時間後には各区とも上昇して区間差はなかった。以上の結果から,飼料SBTIに対してマダイは摂餌後の比較的早い時間に,腸内腔へのBPおよびTI-BP分泌を促進するとともに,消化時間を遅延して消化吸収機能を高く維持する方向に適応することが示唆された。
  • 示野 貞夫, 松本 将哉, 細川 秀毅, 益本 俊郎, 宇川 正治
    2000 年 48 巻 1 号 p. 99-104
    発行日: 2000/03/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    魚粉配合量を減らして0~15%のフェザーミール(PFM)を代替配合した飼料でブリ稚魚を50日間水槽飼育した。PFM配合量の増加に伴いブリの成長や飼料効率は低下する傾向にあり,15%区のそれらは血液性状や血清成分とともに劣っており,それらの主原因はPFMの難消化性にあると推察された。しかし,10%以下のPFM配合区では,無配合区に匹敵する飼育成績がみられ,血液性状,タンパク質の消化率,蓄積率などもさほど違わなかった。以上の結果から,PFMは高タンパク質素材の魚粉代替源として有用であり,ブリ飼料にも10%程度配合できると判断された。
  • 宮島 久美子, 間野 伸宏, 吉原 喜好, 廣瀬 一美
    2000 年 48 巻 1 号 p. 105-108
    発行日: 2000/03/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    魚類好酸球の機能を解析するため,鉤頭虫に感染したゴンズイの末梢血および感染部位における好酸球の観察を行った。感染魚の末梢血では好中球および好塩基球数供にほとんど変化しなかったのに対し,好酸球は非感染魚に比べ著しく増加し有意に高い値を示した。好酸球は,直径10~20μmで楕円形をしており,細胞質にはエオジン好性の顆粒が充満していた。消化管における感染周辺部位では粘膜固有層の剥離がみられ,粘膜固有層と粘膜下組織にエオジン好性顆粒をもつ好酸球様細胞が多数認められた。以上の結果,末梢血中で増加した好酸球が消化管の感染部位に多数浸潤していることを示しており,好酸球は寄生虫に対する生体防御反応に対して重要な役割を果たしていることが推察された。
  • 虫明 敬一
    2000 年 48 巻 1 号 p. 109-115
    発行日: 2000/03/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    シマアジ産卵親魚におけるウイルス性神経壊死症(VNN)の原因ウイルス(SJNNV)の増殖に及ぼす多回産卵や産卵飼育要因(ホルモン(HCG)注射および水槽への収容密度)の影響について検討した。その結果,いずれの産卵親魚群においても産卵回数が増加するとともに血漿コルチゾール濃度が上昇し,産卵後期(産卵回数として10回以上)に生殖腺からSJNNVおよび血漿中から抗SJNNV抗体が検出されるようになった。また,排卵誘発を目的に使用されるHCG注射や親魚の水槽への高密度収容も,コルチゾールの上昇に裏付けられるようにストレッサーとなり得ることが判明した。したがって,産卵親魚の多回産卵,HCG注射および高密度収容は,シマアジのVNNを防除する上で重要な飼育要因であることが示唆された。
  • 宮川 宗記
    2000 年 48 巻 1 号 p. 117-122
    発行日: 2000/03/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    養殖ウナギの食品としての安全性を確保するため,出荷予定の魚群を出荷前に池単位で検査する養鰻業界の自主検査システムに用いる医薬品の簡易残留検査法を検討した。Bacillus subtilis ATCC6633による直接バイオアッセイ法を考案し,OTC,OAおよびMLXの各規定量を給餌投薬したウナギを用いて実地試験を行った。本法により継時的な検査を行った結果,検査部位とした肝臓と体側筋の小片周囲に形成された阻止帯幅はウナギ組織内濃度の指標となることがわかり,作業性,迅速性および経費面においても問題はなかった。また,公定法による組織内濃度を併せて測定し比較した結果,OTC,OAでは約0.4ppmまで検出できると判断された。
  • 岩元 幸三, 吉川 毅, 坂田 泰造
    2000 年 48 巻 1 号 p. 123-130
    発行日: 2000/03/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    鹿児島湾沿岸海域およびクルマエビ飼育池試水から,珪藻二重寒天平板を用いて殺藻性糸状細菌を分離した。分離菌株はSaprospira属と仮同定され,細胞形態,コロニー色調から3群に分類された。一方,16SrDNA分子のRFLP解析と全DNAのDNA交雑試験の結果から分離菌株は4群に分類された。分離菌株の各グループ問およびS.gyandis標準菌株に対するDNA交雑の結果はすべて陰性であり,本実験で用いたRFLPおよびDNA交雑法は分離菌株を種あるいはそれ以下のレベルで識別できることを示唆している。従ってこれらの分子生物学的手法は殺藻性糸状細菌の迅速な同定と分類に有効であるといえる。
  • 杉田 治男, 幕田 祐子, 水野 普之, 吉原 喜好
    2000 年 48 巻 1 号 p. 131-134
    発行日: 2000/03/20
    公開日: 2011/01/31
    ジャーナル フリー
    循環ろ過式水槽のろ材の亜硝酸酸化活性に及ぼす5種類の薬剤の影響をモデル系を用いて検討した。熟成したろ材(大磯砂)10gの硝化活性は1.19~2.09,μM/hであった。ろ材の硝化活性と薬剤濃度(対数)の間には負の相関関係が認められた。50%の硝化活性が阻害される薬剤濃度(IC50)はampicillin, oxytetracyclineおよびsulfamonomethoxineで106~156mg/l,colistinで305mg/l,およびkanamycinで910mg/lであった。以上の結果から,魚類の細菌性疾病治療で使用されたこれらの薬剤が循環ろ過式水槽の硝化活性をある程度阻害することが示唆された。
  • 吉原 喜好, 門松 寅吉, 筒井 絵里
    2000 年 48 巻 1 号 p. 135-136
    発行日: 2000/03/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    In the present paper, authors tried to estimate the period of annulus formation of nibbler, Girella punctata Gray, with otolith and scale at the eastern coastal waters of Izu Peninsula. The 120 fishes used were collected by angling and trammel net during the period from January to December 1999. The obtained results showed that the resting zone of the scale were formed from May to July and the hyaline zone were formatted from October to March on the otolith
  • 櫻井 泉, 瀬戸 雅文, 巻口 範人, 小形 孝
    2000 年 48 巻 1 号 p. 137-138
    発行日: 2000/03/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    This study examined the tolerance of the Japanese scallop, Patinopecten yessoensis, to low concentrations of dissolved oxygen and salinity at 13.5°C. Scallops survived for 16 hr in anoxic conditions and at least 2 days in hypoxic conditions with oxygen saturation of 20%. Scallops died within 24 hr if the salinity decreased to 18 PSU or less; they died within a few hours if the salinity dropped to 10 PSU or less.
  • Maidie ASFIE, Hideki YANAGI, Ryuji OKANO, Nobuhiko AKIYAMA, Haruo SUGI ...
    2000 年 48 巻 1 号 p. 139-140
    発行日: 2000/03/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    A total of 780 vibrios were isolated from Japanese flounder, Paralichthys olivaceus, at different stages of development and examined for the proteaseproducing ability of each isolate. The highest and lowest values in mean enzyme activities of isolates were observed on days 109 and 67 after hatching, respectively. High abilities (≥1.00U/μg) were detected in the isolates from fish on days 3, 23 and 45 after hatching, while as many as 62% of all vibrios showed low potential of production (<0.10U/μg). Inhibitory effects of PMSF and OPA were found in 61 and 50% of all Vibrio isolates, respectively. These results showed that larvae and juveniles of Japanese flounder harbor the vibrios capable of producing various types of proteases at different activities, in their intestines.
  • 吉原 喜好, 藤居 麗華
    2000 年 48 巻 1 号 p. 141-147
    発行日: 2000/03/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    We performed a questionnaire investigation at the Lake Chuzenji to collect information of leisure angling which is one of the background elements for stock assessment, and which cannot be collected through co-operative association, in 1997 and 1998. Answers were given by total of 208 leisure anglers in 2 years. Although there were more boat fishing anglers among the answers, there were more of those who do shore fishing when checked with the sales of fishing ticket in the co-operative. More than half of boat fishing anglers targeted kokanees, Oncorhynchus nerka, and they catch them actually. In the case of shore fishing, the target species varied so that they enjoy fighting spirit with fishes. But the majority fish caught were rainbow trout, O. mykiss. It is interesting that the average age of the anglers shore fishing was approximately 10 years younger than that of boat fishing ones. It is thought that this reflects the diversification of fishing types such as bait, lure or fly fishing whose popularity has been rising among the young anglers recently. In April at the time of removal of the ban on both boat and shore fishing, quite a good number of fishes can be caught in both ways. But in August when the prohibited season closed most of anglers were even not able to catch a single fish.
    From the results of this investigation, we can propose some policies for continual development of leisure fishing business of the co-operative association.
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