アカハタ仔稚魚期における鰭と鱗の発達過程を検討し,以下の結果を得た。
1)ふ化直後の仔魚の鰭は膜鰭だけだったが,仔魚の開口時には胸鰭が出現した。全長3mmを越えると背鰭第二棘と腹鰭第一棘が出現し,10mm頃まで著しく伸長した。その後,26mm頃までには各鰭は完全に分離して形状が整った。40mmでは腹鰭棘の長さが成魚の相対長とほぼ同じになり,全長45mmでは尾鰭が載形のままで依然としてわずかに湾入していることを除くと,他の鰭の相対長は成魚とほぼ同じになった。全長44~69mm以降は尾鰭後縁の湾入が消失して戴形から成魚と同じ円型となり,本種の鰭の形成はほぼ完成した。
2)本種の鰭条数は全長12.0~17.5mmの間に定数に達し,稚魚期に入ると考えられた。鰭式は, D.X~XII, 15~17; A.III~IV, 8~10; C.15~17; P
1.18~21; P
2.I, 4~6であった。
3)本種の初生鱗は21.6~27.1mmの間に鰓蓋外縁の躯幹先端部に出現し,その後,この鱗域は鰓蓋外縁に沿って上方に拡がった。その後,側線前端部上と背鰭基底先端部,尾部体側中央上にも新たな鱗群が出現し,尾部の鱗域はさらに側線に沿ってその範囲を前方に拡げた。さらに躯幹部腹側後方の肛門付近と腹鰭前方にも鱗が出現し,体側全面が鱗で覆われるのは35.1~38.8mmであった。
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