水産増殖
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52 巻 , 1 号
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  • Gregory N. NISHIHARA, 森 裕子, 寺田 竜太, 野呂 忠秀
    2004 年 52 巻 1 号 p. 1-10
    発行日: 2004/03/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    紅藻ソゾノハナLaurencia brongniartii J. Agardh (イギス目) は, 含有する生理活性物質の重要性から, 有用海藻として資源の維持管理が試みられている。本研究では, 本種の養殖用母藻を室内で大量に培養するための簡易な単離法と培養法を確立し, 至適生育条件を検索した。最も良く生長する組織片を単離するため, 藻体の上端部から様々な長さや部位の組織片を摘出し, 生長率 (%RGR) と生存率 (%SR) を基に比較した。その結果, 大形の組織片 (5.0mm) には高い生存率 (62.5%) が見られ, 小形の組織片 (1.0mm) には高い生長率 (4.43%/day) が見られた。また, 組織片は摘出部位によって生長率に差が見られ, 先端に近い部位の生長率 (2.16%/day) が最も高かった。組織片の生長は水温と光量に強く制限され, 24℃および28℃で20μmol photons/m2/sが至適な条件だった。さらに, 組織片の生長は高濃度の硝酸態窒素濃度 (329.4μmol NO3-N/l) によっても制限された。本種の至適生育条件で単離培養法を用いると, 容易に養殖母藻を養成・供給できることが明らかになった。
  • 綿貫 啓, 廣瀬 紀一, 門谷 茂
    2004 年 52 巻 1 号 p. 11-16
    発行日: 2004/03/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    感染症によるアコヤガイの大量死亡が問題となっている。大量死亡が夏季の餌料不足時に生じることから, 人為的に餌料を与えることで大量死亡を低減できると考え, 実証実験を行った。
    そのために, 従来にない低コストで簡易なChaetoceros gracilisの屋外大量培養技術が必要であり, 500l水槽4槽を用いてクロロフィルa量600μg/lで毎日600lの供給ができる半連続培養システムを目標とした。
    連続培養でコストがかかるのが栄養塩の添加であるが, 著者らの開発したシリカ, リン, 鉄等が溶出する藻類増殖用水溶性ガラスと窒素肥料を培地に用いたので, 簡易な半連続培養システムとなった。なお, 藻類増殖用水溶性ガラスは成分の溶出量や溶出速度を制御することが可能である。
    Chaetocerosを培養することが困難な夏季にC.gracilisを半連続培養した結果, 平均的にクロロフィルa量で550~850μg/l, 細胞数では約290万~370万cells/mlを生産, 供給することができた。屋外でのC.gyacilisの培養として, 高濃度に培養することができた。
  • 服部 学, 澤田 好史, 須藤 直子, 瀬岡 学, 服部 亘宏, 宮下 盛, 村田 修, 熊井 英水
    2004 年 52 巻 1 号 p. 17-22
    発行日: 2004/03/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    これまでの研究から, マダイ養殖用種苗における椎体欠損の原因は, 胚発生期における酸素不足がその1つであることが明らかとなっている。マダイの種苗生産現場において, 卵の輸送や浮上卵と沈下卵を分離行う際に酸素不足になる状況が考えられる。本研究ではマダイ胚発生期の酸素消費量を明らかにする目的で異なる3水温 (16℃, 19℃, 22℃) において, 胚発生期を11段階に分けて酸素消費量を測定した。その結果, 16℃, 19℃, および22℃における酸素消費量は, 胞胚期でそれぞれ0.9×10-4, 1.3×10-4および1.9×-4μl/ind/minであったものが, 孵化直前ではそれぞれ6.9×10-4, 7.8×10-4および11.0×10-4μl/ind/minとなり, クッパー氏胞出現期を除きほぼ直線的に増加した。また, 単位時間当たりの酸素消費量は培養水温の上昇に伴い増加した。この結果からの試算によると, 卵の密集時における間隙水の溶存酸素濃度は急激に低下することが推定された。これらのことより, 形態異常, 特に椎体欠損による短躯症を防止するためには採卵や卵の輸送において溶存酸素濃度の管理に注意を払う必要があることが示唆された。
  • 渡辺 憲一, 貝田 雅志, 深谷 利香子, 伊藤 東
    2004 年 52 巻 1 号 p. 23-28
    発行日: 2004/03/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    オニオコゼの自然産出卵を用いて, 卵の発生速度と孵化所要時間および孵化率に及ぼす水温の影響を調べた。水温18~24℃では, 各発生段階への到達時間は培養水温が高いほど速かった。18~30℃における孵化開始時間の調査では, 所要時間の対数と境界温度との関係が24℃付近に変曲点をもつ2本の回帰直線で表された。24℃以下の温度範囲における卵の発生速度の温度恒数およびQ10の値は, 24℃以上の温度範囲と比べて大きかった。12~32℃の培養では, 14℃以下では孵化しなかった。正常孵化率が50%以上を示す培養水温は, 18~28℃であったが, 最も正常孵化率が高く, 奇形率が低かった培養水温は24~26℃であった。
  • P.Robin RIGBY, 桜井 泰憲
    2004 年 52 巻 1 号 p. 29-36
    発行日: 2004/03/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    ミズダコ未成体Enteroctopus dofleiniの成長効率に対する水温と摂餌の影響を調べた。呼吸量の測定は3-13℃の範囲, 餌の量と種類を変えた成長効率の比較実験は水温9.5℃, 同量の餌を与えた場合は水温7-12℃の飼育条件下で行った。その結果, 3日に1回の摂餌であっても, 体重当たり3%の摂餌量で低脂肪の餌, および7-9.5℃の水温の時に最も効率的な成長をすることが明らかとなった。これらの水温と摂餌条件は, 本種亜成体の給餌蓄養や, 実際の生息場所における行動特性を解明する上で有効な知見と判断した。
  • Arun Prasad BAIDYA, 瀬尾 重治
    2004 年 52 巻 1 号 p. 37-44
    発行日: 2004/03/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    アフリカナマズClarias gariepinusの雌3尾 (0.8-1.3kg) にOvaprim 0.5ml/kgの注射を行い排卵を誘発させた。そして, 排卵後から搾出による採卵までの時間の違いによる受精率とふ化率を観察した。排卵は, 水温26.3-29.1℃で注射後8-9時間後に起きた。受精率とふ化率は, 排卵後, 時間の経過と共に低下した。受精率の平均は排卵直後で92.1%, 排卵後6時間で47.1%であった。一方, ふ化率は, 排卵直後で81.4%, 排卵後6-8時間には0%であった。アフリカナマズの良質卵 (平均50%以上のふ化率) を得るためには, 排卵後3時間以内にストリッピングして受精させることが必要であると結論した。
  • 中川 平介, 古橋 真, 海野 徹也, 近藤 郁子, 酒本 秀一
    2004 年 52 巻 1 号 p. 45-50
    発行日: 2004/03/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    総飼料タンパク質量を52%以上に設定し, 魚粉と小麦粉からなる配合飼料の小麦粉とトウモロコシ粉の比率を変えた飼料を43日間, 初期体重11.7gのアユに投与して, 成長, 飼料効率, 体成分を比較してトウモロコシ粉のタンパク質源としての効果を検討した。
    1.成長, 飼料効率, タンパク質効率は小麦粉の10%をトウモロコシ粉で置換した場合, 小麦粉との併用添加の有効性が示唆された。しかし, 20%, 30%の添加では飼育成績は低下した。
    2.トウモロコシ粉の置換によって魚体の性状, 一般成分, 筋肉脂肪酸組成への影響は認められなかった。
    3.絶食後の生残率, 体重減少率, 筋肉成分から, 脂質動員能に区間差は認められなかった。
    4.小麦粉を10%トウモロコシ粉で置換しても, 負の影響はなかったことから, 本研究条件下でトウモロコシ粉はタンパク質源として小麦粉に等しい有効性を示した。
  • 大富 潤, 横村 泰成, 浜野 龍夫
    2004 年 52 巻 1 号 p. 51-55
    発行日: 2004/03/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    鹿児島湾で採集されたヨットゲシャコSquilloides leptosquilla (口脚目シャコ科) について, 頭胸甲長に対する全長, 全体重, 体重, 尾節長, 尾節幅の相対成長を記述するとともに, 得られた各体部位間の回帰式について, 共分散分析により雌雄問の差の有無を調べた。その結果, 頭胸甲長-全体重, 頭胸甲長-体重以外の関係において雌雄間に有意差が認められた。本種は雄のみが体成長に伴って尾節が幅広くなるという形態変化を示すが, それは尾節幅の体サイズに対する異調的成長として記述され, 性的二型ではあるが二次性徴ではないと考えられた。
  • 山川 紘, 林 育夫
    2004 年 52 巻 1 号 p. 57-63
    発行日: 2004/03/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    新潟県粟島の浅海岩礁域に生息するサザエの消化管内容物と藻類植生の関係を解明するために, 冬期の波浪条件が異なる2水域に調査区を設け, スキューバ潜水により消化管内容物調査 (2, 6m) , 同所で藻類の現存量調査 (2, 6, 10m) , および底質調査 (2, 6, 10, 14m) を行った。
    (1) 冬期の波浪の影響が少ない調査区では水深2mで多種類のホンダワラ類が分布し, 水深6mではノコギリモクが主に優占した。他方, 冬期の波浪が激しい調査区では, アミジグサ類とモロイトグサが優占し, 物理的な環境特性により対照的に異なった植生となることが示された。
    (2) 消化管内容物と藻類現存量の摂餌の選択性の傾向を解析した結果から, 種類により選択性がある (摂餌は藻類の現存量と関係していない) という検定結果が得られた。
    (3) 調査区のうち, 摂食阻害物質を含有する藻類が優占する調査区では, それらの藻類が消化管から高率に検出されたことから, それらの物質はサザエの食性に影響を与えていないと考えられた。
    (4) 調査区間別, 水深別に調査区のサザエの肥満度を比較したところ, それらの問で差異は認められなかった。
  • 耒代 勇樹, 門脇 秀策
    2004 年 52 巻 1 号 p. 65-72
    発行日: 2004/03/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    アナアオサは2002年8~11月に八代海域浅海養魚場の0.5~8m層で垂下栽培した。藻体の生長は0.5m層で最大を示した。藻体の面積は8月期に最大640cm2に達し, 藻体の厚さは11月期に最大0.11mmに達した。N, Pの最大含有量は10月期に35mgN/g dryおよび2.1mg P/g dryであった。栽培アナアオサの0.5~2m層のNおよび0.5~4m層のP最大吸収速度は, それぞれ3.6mg N/m2/dayおよび0.19mg P/m2/dayであった。最大吸収速度をもたらす飽和光量は730μmol/m2/sであった。DIN濃度の半飽和定数は0.5~2m層で26μg N/l, DIP濃度の半飽和定数は0.5~4m層で8.6μg P/lを得た。25℃におけるN, P吸収速度は2.5mg N/m2/dayおよび0.13mg P/m2/dayであり, 温度係数Q01はそれぞれ1.076および1.084と算定された。栽培アナアオサのN, P吸収速度は養魚場水の栄養塩濃度, 光量および水温の環境諸量で定式化され, 算定値は実測値と良く一致した。
  • 久下 敏宏, 信澤 邦宏, 舞田 正志
    2004 年 52 巻 1 号 p. 73-80
    発行日: 2004/03/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    榛名湖において, ワカサギ不漁年である1997年の5~6月での, 全長25cm以上のオオクチバス生息尾数は約2500尾と推定されるとともに, 全長25cm未満の卓越した年級群の存在が推察された。ワカサギ不漁年と豊漁年に, 1歳魚以上のオオクチバスの胃内容物を調査したところ, 両年ともに魚類と甲殻類を主な餌料としており, 魚類については, 不漁年はヨシノボリ属魚類, 豊漁年はワカサギの出現率が高かった。捕食されていたワカサギの成長段階は, 産卵期が親魚で, 夏以降が未成魚以上であった。また, 不漁年は豊漁年に比べ, オオクチバスの肥満度と胃内容物重量指数が低かった。さらに, 釣り大会秤量魚の平均体重が不漁期に減少することから, 榛名湖のオオクチバスにとってワカサギは重要な餌料であり, オオクチバス生息尾数の増減がワカサギ資源へ影響を及ぼしていると考えられる。
  • 岡本 一利
    2004 年 52 巻 1 号 p. 81-89
    発行日: 2004/03/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    静岡県浜名湖の気賀市場において, モクズガニの漁獲実態とその漁獲物を調査し, 繁殖生態についての知見を得た。1989~'98年の年平均漁獲量は831.4kg, 年平均単価は747.6円/kgであった。月別平均漁獲量とCPUEは, 秋と春にピークをもつ二峰型を示した。'97年9月から'98年12月までの漁獲物調査の結果, その甲幅は37~84mmで, 雌の75.9%が抱卵しており抱卵雌の最小甲幅は42mmであった。漁獲量や抱卵率からみて, 9月から翌年の5月にかけての9ヵ月間がこの地域の個体群の繁殖期と判明した。繁殖期の始め (9月) には大型成体個体が少数分布し, 10~11月には小型成体個体が多数出現した。繁殖期全体を通してみると甲幅60mm未満の小型個体が多く, 全体の性比は雌に偏り, その中で小型個体は雄に, 大型個体は雌に偏る傾向が認められた。
    抱卵カニの最小型, 雌雄の最大型, 早期成熟群のサイズともに浜名湖のものが他地域と比較して大型の傾向を示した。
  • 堀江 晋, 谷浦 興, 海野 徹也, 中川 平介, 荒井 克俊
    2004 年 52 巻 1 号 p. 91-98
    発行日: 2004/03/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    ドジョウMisgurnus anguillicaudatusの自然四倍体 (4n=100) と通常二倍体 (2n=50) の配偶子を用いた人工受精により, 二倍体, 三倍体, 四倍体種苗を作出し, それらの特性比較を行うため, 1ヵ月令から3年1ヵ月令まで, 同一の水槽において長期の混合飼育実験を行った。その結果, 四倍体の成長は, 二倍体, 三倍体に有意に劣ること, これらの体長/頭長比が低いことが判明した。雄の生殖腺指数は三者で差がないが, 三倍体雌の卵巣は二倍体, 四倍体に比べて未発達であった。
  • 伊藤 欣吾, 桜井 泰憲
    2004 年 52 巻 1 号 p. 99-100
    発行日: 2004/03/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    We examined the effects of low salinity on the embryonic development and hatching of the squid Loligo bleekeyi (Cephalopoda: Loliginidae) . Egg capsules were incubated in seawater with salinity ranging from 20.4 to 34.6 psu at 9°C and 15°C. The duration of embryonic development increased slightly at low salinities. The hatching rate decreased markedly below 50% between 27.2 and 28.8 psu at 9°C, and between 25.4 and 27.2 at 15°C. Hatching did not occur for embryos kept at 23.8 psu, 9°C, or for those kept at 20.8 psu, 15°C. During the embryonic development, all embryos exposed temporally (8 days, 18 days) to low salinity (21 psu) seawater died.
  • Yuzuru IKEDA, Yasunori SAKURAI
    2004 年 52 巻 1 号 p. 101-102
    発行日: 2004/03/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    Fertilizing capacity of spermatozoa in spermatungium attached on female outer lip in the Japanese common squid Todayodes pacificus was examined by artificial insemination experiment. Similar to spermatozoa stored in female seminal receptacle in buccal membrane, which is fundamental sperm storage site in this squid, rate of fertilization for spermatozoa of spermatungium origin was around 90%. This indicates that spermatungium may function as an extra sperm storage site beside seminal receptacle.
  • 田子 泰彦
    2004 年 52 巻 1 号 p. 103-104
    発行日: 2004/03/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    Difference in number and size of ayu Plecoglossus altivelis larvae collected by bow side tow and stern tow of a ship was examined in the inner part of Toyama Bay in 1999. The tows were conducted eight times using two larvae nets at the same time. The mean lengths of larvae collected at the bow side ranged from 4.9±0.3 to 10.9±6.2 SD mm, whereas those collected at the stern ranged from 5.2 to 7.6±1.6 mm. The lengths of larvae collected at the bow side were distributed significantly to a larger size compared with those collected at the stern. In water tank experiments ayu larvae escaped from the surface to the bottom when an object was thrown and floated on the surface. These facts suggest that in collecting ayu larvae at the rear of a ship, larger larvae tend to escape from the surface in fright response of approaching ship. Some of larvae collected at the middle layer by a larvae net towed at the rear of the ship might, in fact, inhabit the surface layer. It is concluded that bow side tow is more effective than stern tow in collecting ayu larvae inhabiting the surface layer.
  • Tatsuya KOBAYASHI, Yasuharu ISHITAKA, Makoto IMAI, Yoshifumi KAWAGUCHI
    2004 年 52 巻 1 号 p. 105-106
    発行日: 2004/03/20
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    In October and November 2000, mass mortalities of the cultured amberjack Seriola dumerili have occurred in the southern part of Kyushu, Japan. The gross pathological signs of diseased fish were abnormal swimming with wide-opened mouth and opercula, which are typical signs of suffocation. Histopathological examination revealed definite epitheliocystis cysts accompanied by hyperplasia and fusion of epithelial cells of gills.
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