北海道白老町沖の水深7mと12mの海底に設置した実験区画に, 隣接海域から採集した後, 標識したウバガイ3, 460個体と3, 185個体を移殖放流した。
放流後6日目の区画内の個体数は, 7m区で2, 200±658 (推定値±95%信頼区間, 以下同様) , 12m区で1, 872±668個体と推定され, 生残率はそれぞれ64±18%および59±21%であった。放流後27日目では7m区で2, 700±722個体, 12m区で1, 368±721個体と推定され, 生残率はそれぞれ78±20%および43±23%であった。
放流後の減耗要因は, 底質の状況, 死殻の所見および捕食者の生息状況から, 放流後6日目までは, 7m区でヒトデ類やタマガイ類による捕食, 12m区では主としてヒトデ類による捕食であると考えられた。放流後6日目から27日目まで期間は, 7m区では減耗は認められなかったが, 12m区ではヒトデ類による捕食が続いていた。
これらのことから, ウバガイの移殖放流を行うに当たっては, 放流場所の底質および捕食者の有無や分布状況を調査することによって適地を選定する必要があると考えられた。
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