クエ仔魚の初期生残と成長を改善する飼育条件を把握するため, 小型水槽を用いた基礎飼育試験で, 水温 (24, 26, 28℃) , ワムシ給餌密度 (1, 10, 30個体/
ml) および照度 (0.01以下, 100, 250, 500, 750, 1, 000lx) が仔魚の摂餌, 生残, 成長に与える影響を検討した。その結果, 適正水温は26℃程度, ワムシ給餌密度は20~30個体/
mlが適していた。また, 仔魚に十分に摂餌させるには, 500lx以上の照度が必要であった。大型水槽による種苗量産試験では, 基礎飼育試験で明らかになった初期飼育の適正な環境条件を満たしたこと, さらに通気管を利用した飼育水の還流により仔魚の沈下死亡が防除できたことから, ふ化から開口までの初期生残率が改善された。その結果, 日齢50~54の生残率も20.9~29.6%と高まり, 平均全長23.9~27.2mmの種苗を合計35.9万尾生産することができた。
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