水産増殖
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57 巻, 1 号
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原著論文
  • 森田 晃央, 倉島 彰, 前川 行幸, 荒木 利芳
    2009 年 57 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 2009/03/20
    公開日: 2012/09/26
    ジャーナル フリー
    本研究では,屋外のメソコスム水槽にてウシケノリの温度特性及び乾燥耐性を調査し,メソコスム水槽における最適条件を検討した。まず,室内培養にてウシケノリの生長及び原胞子形成に及ぼす水温の影響を試験した。短期的な生長及び原胞子の形成に最適な水温は20°Cであった。一方の長期的な生長においては,原胞子形成により藻体長は20°Cで 3 cm と最も短くなり,次いで15°Cで 5 cm となった。また,藻体長は10°Cでは60 cm と最も長く生長した。室内培養にて準備したウシケノリの種苗を用いてメソコスム水槽で培養を行った。メソコスム水槽においては,常に水面下にある藻体は珪藻及び雑物に覆われ,生長に適した培養条件ではなかった。一方,紫外線をカットしたうえで乾燥及び海水への浸漬を繰り返す培養条件では,藻体が最も良い状態であった。本研究の結果からウシケノリの生長には定期的な乾燥が非常に重要であることが分かった。
  • Ketut Mahardika , 宮崎 照雄
    2009 年 57 巻 1 号 p. 9-18
    発行日: 2009/03/20
    公開日: 2012/09/26
    ジャーナル フリー
    イリドウイルス科の Megalocytivirus の 1 分離株であるマダイイリドウイルスを感染させた grunt fin 細胞について電子顕微鏡観察を行い,感染細胞の微細構造および Megalocytivirus の形態を解明した。その結果,感染細胞は,封入体形成細胞と大型感染細胞の2型を示すことがわかった。前者は,細胞質内に⌈ウイルス増殖の場⌋を形成した大型の封入体を内蔵しており,宿主細胞の核と細胞質は封入体の周囲に圧迫されて存在した。後者は,細胞質内に大きな⌈ウイルス増殖の場⌋を形成し,その宿主細胞の核は崩壊から消失に至っていた。両者の⌈ウイルス増殖の場⌋には,全形成過程のウイルス粒子が観察された。これら 2 型の大型細胞のうち封入体形成細胞は,Megalocytivirus に感染したマダイ病魚においても観察され,本ウイルス感染細胞の主病徴と判断された。
  • 角埜 彰, 小山 次朗, 隠塚 俊満, 持田 和彦, 藤井 一則
    2009 年 57 巻 1 号 p. 19-30
    発行日: 2009/03/20
    公開日: 2012/09/26
    ジャーナル フリー
    魚類の毒性試験における感受性の差異が何に起因するのかについて検討するため,TBTO,TPTC,Cd 及びナフタレンについて,海産魚のマミチョグ及びマダイに対する蓄積性を検討して生物濃縮係数を求めた。一方,急性毒性試験では死亡魚の体内濃度を測定するとともに,急性毒性値に生物濃縮係数(BCF)を乗じた臨界体内残留量(CBR)との比較を行った。生物濃縮試験の結果,TBTO, TPTC 及び Cd は体内濃度が平衡状態に達するまでに 6 週間程度かかったが,ナフタレンは 1 週間程度で体内濃度が平衡状態に達しておりまた,排泄も速かった。今回求めた 4 物質の BCF はマミチョグ及びマダイで近似した値を示し魚種間の差異はなかった。死亡個体中の試験物質の濃度をマミチョグとマダイで比較すると,マミチョグの方がいずれの物質でも高くなっていた。CBR と急性毒性試験における死亡魚の体内濃度とを比較した結果,ナフタレンを除き死亡個体中の濃度の方が CBR よりも低くなっていた。以上の結果から,試験物質に対する感受性は死に至る体内濃度と密接に関連していることが明らかとなり,体内への蓄積量が少量でも死に至る魚種は感受性が高く,高濃度の蓄積量で死に至る魚種は感受性が低いことが明らかとなった。
  • Mohammad Nakib Dad Khan , 吉松 隆夫, Alok Kalla , 石樋 由香, 荒木 利芳, 酒本 秀一
    2009 年 57 巻 1 号 p. 31-38
    発行日: 2009/03/20
    公開日: 2012/09/26
    ジャーナル フリー
    アマノリスフェロプラスト(PS)から調製された粒径の異なる飼料のアサリ(平均殻長33 mm)に対する効果を検討するため,飼育試験を実施した。ミネラル,ビタミンおよび魚油を混ぜて調製した 3 段階の粒径の PS 飼料(S; 6.8μm, M; 14.8μm, L; 56.6μm)と天然餌料 Chaetoceros calcitrans(C)を 1 日に 3 回ほぼ飽食量給餌し,8 週間海水中で飼育した。その結果,成長は C 区で最も良好であったが,すべての区で95.0%の高い生残率が得られた。今回の 3 段階の粒径の PS 飼料区間では生残,身入率,および肉質部の生化学組成では差は認められなかった。しかし M 区(14.8μm)で最高の体タンパク質含量と糞中の C/N 比が得られ,高いタンパク質の利用効率が伺えた。また PS 飼料区では,C 区に比べ少し肉質部に EPA が少なく,逆に,DHA が多く含まれていた。
  • 池田 譲, 大島 陽太, 杉本 親要, 今井 秀行
    2009 年 57 巻 1 号 p. 39-43
    発行日: 2009/03/20
    公開日: 2012/09/26
    ジャーナル フリー
    飼育下において若齢期より雄個体から隔離され,交接を有していないアオリイカ雌 2 尾について,複数回にわたる産卵を観察した。これら雌 2 尾は,それぞれ 6 - 8 日間間隔で 4 回および12日間間隔で 2 回産卵した。産出された卵塊は通常の形状を呈しておらず,ゼリー物質に未受精卵が分離した状態で,或いは数個が固まった状態で被嚢されていた。
  • 金 良洙, A. K. Biswas , 池 承哲, A. S. K. Yong , B. K. Biswas , 高岡 治, 村田 修, ...
    2009 年 57 巻 1 号 p. 45-52
    発行日: 2009/03/20
    公開日: 2012/09/26
    ジャーナル フリー
    交雑魚 F1(平均体重49 g)における飼料魚粉(FM)に対する大豆粕(SBM)代替許容量とフィターゼ添加効果を,FM46%, FM30%+SBM20%および FM15%+SBM40%から成る飼料 F,S20および S40と,S40+フィターゼ2,500 units/kg 飼料(S40P)を12週間給与して調べた。飼育試験は3反復区で実施した。いずれの区でも斃死は認められなかったが,飼料F区の飼育成績や栄養素蓄積率および消化率に比べて,S40区では有意に低下し,S40P 区では類似するレベルにまで回復したが,S40区と S40P 区の間には有意差はなかった。全魚体や肝臓の一般成分,血液性状および消化器官重量に,飼料助成の違いに基づくと考えられる区間差はなく,飼料 S40P 区では見かけのリン消化率と蓄積率は最も高く,環境水へのリン負荷率は最も低かった。以上の結果から,F1 飼料での SBM 代替許容量は40%以下であったが,フィターゼ添加により SBM40%飼料の利用性が大きく改善されることが分かった。
  • Moe Thu , 越塩 俊介, 石川 学, 横山 佐一郎
    2009 年 57 巻 1 号 p. 53-60
    発行日: 2009/03/20
    公開日: 2012/09/26
    ジャーナル フリー
    竹炭(BC)がトラフグの成長,栄養素の利用性およびアンモニア態窒素排泄に及ぼす影響を明らかにするために,トラフグ稚魚(平均体重53 g)に BC 添加量を 6 段階に変えた試験飼料(0%, 0.004%, 0.01%, 0.1%, 1%および4%)を給餌して50日間飼育した。飼育試験終了時の BC4%添加区の増重率および日間成長率は,他の区に比べ有意に高い値を示した。さらに,BC4%区は無添加区に比べて有意に高い摂餌量,飼料転換効率およびタンパク利用率を示した。乾物の消化率は,BC4%区が BC0.004%および無添加区より有意に高く,タンパク質の消化率は BC を0.01%以上添加した区では、無添加区およびBC0.004%区に比べ有意に高かった。また,アンモニア態窒素排泄量は,BC4%区が無添加区および0.004%区に比べ有意に低かった。トラフグにおいては,竹炭を4%添加することにより,成長,タンパク質利用率およびアンモニア態窒素排泄が改善されることが示された。
  • 荒井 大介, 友田 努, 手塚 信弘, 堀田 和夫
    2009 年 57 巻 1 号 p. 61-69
    発行日: 2009/03/20
    公開日: 2012/09/26
    ジャーナル フリー
    健全なマダラ稚魚の種苗量産技術を開発するため,海上網生簀で明かりに蝟集する天然プランクトンのみを摂餌させたマダラ仔稚魚(以下,海上群)と陸上水槽でアルテミア幼生・配合飼料を摂餌させた仔稚魚(以下,陸上群)の飢餓耐性能を比較した。同一日齢ごとの比較では,肥満度に差はなかったものの,成長および飢餓耐性能は海上群が有意に優れていた。また,体サイズごとの比較においても,小型サイズの海上群は大型サイズの陸上群と同等もしくは,より優れた飢餓耐性能を示した。さらに,海上網生簀における飼育では 1 生簀当たりの収容密度が増加するにつれて成長や無給餌生残指数が劣ったが,同一密度の陸上飼育群と比べると明らかに優れていた。これらのことから,海上網生簀における飼育では天然プランクトンを活用できるため,放流種苗として必要な健苗性を具備できる可能性が高いことが示唆された。
  • 中川 至純, 江口 充, Fui Fui Ching , 瀬尾 重治, 宮下 盛
    2009 年 57 巻 1 号 p. 71-75
    発行日: 2009/03/20
    公開日: 2012/09/26
    ジャーナル フリー
    我々は,マーブルゴビィOxyeleotris marmoratus の初期飼育水槽における微細藻類 Nannochloropsis sp. に対する原生動物群集の摂食速度を測定した。飼育水槽中の原生動物の密度はふ化後 2 から 3 日令に急激に増加した。仔魚飼育水槽における N. oculata に対する原生動物群集の摂食速度は,1.30×1011から1.12×1012 cells/day であり,原生動物群集の日間摂餌率は,水槽中の Nannochloropsis 総量の16.7%から79.7%であった。本研究は,仔魚の飼育水槽における Nannochloropsis に対する原生動物の摂食圧を定量的に推定し,原生動物が一日で約80%の微細藻類を摂食することを示した初めての報告である。
  • 石川 卓, 岡本 ちひろ, 林 政博, 青木 秀夫, 磯和 潔, 古丸 明
    2009 年 57 巻 1 号 p. 77-82
    発行日: 2009/03/20
    公開日: 2012/09/26
    ジャーナル フリー
    アコヤガイの高生残率系統を作出するため,閉殻力の遺伝性について検討し,閉殻力の遺伝率を親子の比較により推定した。材料には日本産アコヤガイ(18ヶ月齢)約5,500個を用いた。18ヶ月齢より 2 ヶ月おきに 3 回閉殻力を測定し,3 回の測定を通じて閉殻力が5.0 kgf 以上を維持した個体を強群,4.0 kgf 以下を維持した個体を弱群とした。これらを親として強群と弱群から,それぞれ雌雄一対の交配により 7 組,および対照群として 2 組の第一世代を得た。今回の閉殻力による選抜試験より得られた閉殻力の遺伝率は0.29であった。また第一世代の閉殻力を 3 群間で比較すると強群が最も強く,次いで対照群,弱群の順となり,親の閉殻力が反映された。このことから閉殻力は遺伝する形質であり,選抜育種による生残率の改善に有効である可能性が示された。
  • MAVICHAK Rapeepat , 近藤 秀裕, 廣野 育生, 青木 宙, 清野 宏, 幸 義和
    2009 年 57 巻 1 号 p. 83-90
    発行日: 2009/03/20
    公開日: 2012/09/26
    ジャーナル フリー
    Brevibacillus choshinensis を用いて,N 末端のみ(rN-VP28)またはNおよびCの両末端(rNC-VP28)を欠失させたホワイトスポットウイルス(WSV)の組換え VP28 タンパク質を作製した。これらの組換え VP28 タンパク質を Pacific white shrimp に投与し,WSV 感染に対して抵抗性を示すかどうかを調べた。毎日,1 尾あたり50μg の組換え N-VP28を7日間経口投与した試験区では有意な感染防御効果を示したが,50μgのrNC-VP28を投与した試験区では感染防御効果が認められなかった。また,注射法で50μg の rN-VP28 を接種した場合には,経口投与よりも高い感染防御効果が見られた。B. choshinensis を用いることで組換え VP28 タンパク質を大量に作製することができ,さらに,WSV に対する免疫賦活剤として有効であることが分かった。
  • 足利 佳奈子, 河野 智哉, 園田 航平, 北尾 陽一, チャクラボルティー グニマラ , 伊丹 利明, 酒井 正博
    2009 年 57 巻 1 号 p. 91-97
    発行日: 2009/03/20
    公開日: 2012/09/26
    ジャーナル フリー
    WSDV は,ニマウイルス科ウィスポウイルス属に属し,海洋甲殻動物に対し非常に強い致死率を示すウイルスである。海洋甲殻動物の中でも,エビ類は特に WSDV に対する感受性が高い。本研究では,定量 PCR 法を用い,浸漬感染後のエビ組織における WSDV を定量した。感染後,WSDV は血リンパ,リンパ様器官,心臓,胃および鰓において検出された。ウイルス濃度を 2 系列設け感染試験を行った結果,濃度による組織分布に違いは見られなかったが,感染後14日目において高濃度感染区のウイルス量は低濃度感染区と比べ顕著に増加することが確認された。また,その増加はリンパ様器官,心臓,胃,鰓において10日目以降で確認された。一方,血リンパにおけるウイルス量の増加は感染後4日目の早い段階で確認された。
  • Biswajit K. Biswas , Seung-Cheol Ji , Amal K. Biswas , 瀬岡 学, Y.-S. Kim ...
    2009 年 57 巻 1 号 p. 99-108
    発行日: 2009/03/20
    公開日: 2012/09/26
    ジャーナル フリー
    クロマグロ稚魚に糖質含量が 7,12.8,18.5および24.8%の飼料を,8 および11日間給与して適正な飼料糖質含量を求めた。なお,糖質配合量の違いに基づく飼料組成の過不足は,魚粉17部とオイル 2 部の混合物を増減させ調整した。平均体重1.6 g の稚魚では12.8%飼料区に最も優れた飼育成績,体タンパク・脂質含量および蓄積率が得られた。体脂肪酸組成に区間差は認めらたが,糖質含量の違いによるものでなかった。また,平均体重9.7 g の稚魚を12.8%飼料で飼育すると,イカナゴ切餌に匹敵する飼育成績が得られることを確認したが,体脂質,ビタミン C そして20:5n-3および22:6n-3含量は有意に高かった。以上の結果より,クロマグロ飼料の適正糖質配合量は13%前後で,その時のタンパク質・脂質含量は60・16%であった。
  • 山本 芳正, 中井 大介
    2009 年 57 巻 1 号 p. 109-116
    発行日: 2009/03/20
    公開日: 2012/09/26
    ジャーナル フリー
    2007年4月から12月にかけて,温排水流入河川に生息するティラピア(ナイルティラピア Oreochromis niloticus とジルティラピア Tilapia zillii)の野生個体の成長を標識再捕法によって調べた。全長および体重は水温の上昇に伴い増加したが,低下すると大型個体(体重⟩400 g)の体重は減少したが,小型個体(体重⟨400 g)では変化しないかわずかに上昇した。大型個体の全長・体重間の関係式に季節変化が確認された。11月上旬の一時的な工場の操業停止で温排水の流入が停止した際は,ティラピアの個体群にへい死などの悪影響がもたらされたが,生存個体の成長に目立った影響はなかった。本研究からティラピアの成長は魚体サイズと季節(水温)に支配されることが示された。また,全長・体重の関係式は大まかなティラピアの季節変化を知る上で有用であることが示唆された。
  • 小林 孝幸, 長瀬 俊哉, 片山 泰人, 日野 明徳, 竹内 俊郎
    2009 年 57 巻 1 号 p. 117-126
    発行日: 2009/03/20
    公開日: 2012/09/26
    ジャーナル フリー
    ワムシ培養後の排処理水を用いて,エイコサペンタエン酸(EPA)豊富な高密度ナンノクロロプシス培養とそのワムシ連続培養への応用性を検討した。まず淡水クロレラ給餌でのワムシ連続培養を行い,その培養排水を処理した。その結果,全窒素,全リン,化学的酸素要求量,および懸濁物質濃度は有意(P⟨0.05)に減少し,水質汚濁負荷低減に成功した。アンモニウム性窒素とリン酸性リンは増加傾向にあった。その後,処理水を50%使用した平面水槽3連結式ナンノクロロプシスの培養は,密度 2×108細胞/ml 以上にて収穫可能であった。さらに,その収穫したナンノクロロプシス給餌でのワムシ連続培養も維持された。乾燥重量当り,ナンノクロロプシスは EPA7%,ワムシは EPA3%およびドコサペンタエン酸(DPA)1%を含有していた。このようにナンノクロロプシスの培養水にワムシ培養排処理水を50%利用することは可能であり,ワムシ連続培養にも応用できることが分かった。
  • 金 良洙, Amal K. Biswas , 瀬岡 学, Biswajit K. Biswas , Annita S. K. Yong , ...
    2009 年 57 巻 1 号 p. 127-132
    発行日: 2009/03/20
    公開日: 2012/09/26
    ジャーナル フリー
    マダイ雌×クロダイ雄;F1のビタミンC(AsA)要求量を,L-AsA-2-モノリン酸Mg塩をAsA源として,飼育成績や肝膵臓および脳AsA含量から明らかにしようとした。0,50,100そして200 mg APM/kg飼料を,1日3回,1週間に6日平均体重6 gのF1稚魚に飽食給与して6週間飼育した。飼育試験は各試験飼料につき3反復区を設けて実施した。飼育終了時における各飼料区の魚体重は開始時の5倍に達したが,成長率,飼料効率,粗灰分を除く魚体一般成分,見かけのタンパク質・脂質蓄積率などに区間差はみられなかった。一方,50~200 mg APM/kg飼料区では0 mg APM/kg飼料区より,肝膵臓AsA含量は僅かに高かったが,脳AsA含量は有意的に増加してほぼ一定の値を維持した。しかし,いずれの飼料区にもAsA欠乏と考えられる特徴的な症状は観察されなかった。以上の結果から,F1のビタミンC要求量は50 mg APM/kg 飼料,すなわち,18 mg AsA/kg 飼料であることが示唆された。この要求量はマダイを含めた養殖魚では低いグループに分類された。
  • 小林 孝幸, 長瀬 俊哉, 日野 明徳, 竹内 俊郎
    2009 年 57 巻 1 号 p. 133-139
    発行日: 2009/03/20
    公開日: 2012/09/26
    ジャーナル フリー
    ナンノクロロプシス中のエイコサペンタエン酸(EPA; 20:5n-3)濃度に及ぼす光照射時間の影響を屋外に設置した平面培養水槽で検証すると共に,ナンノクロロプシス給餌による連続培養S型ワムシの脂肪酸組成について調べた。その結果,24時間の光照射培養区は,暗期のある太陽光のみ照射培養区に比べ,ナンノクロロプシス中の EPA 濃度が低いことが明らかとなった。またS型ワムシの連続培養は,ナンノクロロプシス給餌によって長期的な安定培養が可能であり,ワムシ中の脂肪酸組成は,特にナンノクロロプシスには存在しないドコサペンタエン酸(DPA; 22:5n-3)が極性脂質中に比較的多い割合で存在していることが分かった。
短報
資料
総説
  • 小野 征一郎, 中原 尚知
    2009 年 57 巻 1 号 p. 149-164
    発行日: 2009/03/20
    公開日: 2012/09/26
    ジャーナル フリー
    水産基本計画は,(1)消費者に信頼される養殖生産,(2)養殖生産物の需給の安定,(3)総合的・効率的漁場利用,の3点を魚類養殖業の課題に掲げる。過剰生産が内在化する魚類養殖業の生産調整・構造再編をすすめ,⌈経済的秩序⌋を達成する筋道は容易に見出せない。本論は14で斯業の現状を分析し,⌈規模の利益⌋=スケールメリットの成立の立証・再確認により,ファミリー・ファーマー=漁家ではなく企業経営が経済的基軸をしめることを解明する。その上にたって魚類養殖業の課題を論じ(5),企業経営を中核とする生産者組織=業種別組織を築くことを主張する。締めくくりとして,6において漁家を基盤とする漁協の主導性と経済的基軸をしめる企業の地位とのズレ,すなわち漁業法・水協法体制に基づく現行の漁業制度と経済的実態の乖離が大きく,後者=実態にあわせた前者=制度の手直し・修正を,特定区画漁業権の改正を提言する。水産基本計画に即せばほぼ,(1)(2)に34が,(3)に1256が対応する。
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