水産増殖
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59 巻, 3 号
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原著論文
  • 岩谷 芳自, 大貫 敦嗣, 宗宮 弘明
    2011 年59 巻3 号 p. 343-350
    発行日: 2011/09/20
    公開日: 2012/10/08
    ジャーナル フリー
    降河回遊魚であるカマキリ(Cottus kazika)の鳴音および発音筋について検討した。鳴音は雌雄差がなく連続する5パルスからなり,継続時間は40~60ミリ秒で,周波数は50~150 Hz でピークは100 Hz であった。発音筋は,頭骨の後腹側の表面から上鎖骨の耳石背部の縁に付着して存在する。発音筋体指数は,天然魚および養殖魚において雄魚が雌魚より周年高く,天然の雄魚は産卵期である12月から3月に高くなることが分かった。
  • 上出 貴士, 高橋 芳明, 山内 信
    2011 年59 巻3 号 p. 351-361
    発行日: 2011/09/20
    公開日: 2012/10/08
    ジャーナル フリー
    コアマモ群落における甲殻類の群集構造を明らかにするため,コアマモ群落と砂浜域において,月1回,小潮の干潮前後の昼間に小型曳網による採集を行った。砂浜域およびコアマモ群落で採集された甲殻類の種数は30,21種,個体数は2,938,1,059個体,現存量は162.2,9.3 g であり,コアマモ群落で低かった。また,群集は冬季に衰退し,夏季から初秋にかけてピークに達する季節変動を示し,優占種のほとんどが両地点で共通したが,個体数や大きさ,出現時期は異なった。両地点でクルマエビ科とテナガエビ科のエビ類が優占したが,周年にわたって定住する種は存在しなかった。また,これらのほとんどは未成熟個体であり,コアマモ群落でより小型であった。このことから,コアマモ群落は,これらエビ類の着底後の生活史における初期の生息場所として重要性が高いと推察され,その後はコアマモ群落近隣の砂浜域を成育場の一つとしていることが推測された。
  • 中村 博幸, 知名 真智子, 木村 肇, 真鍋 貞夫
    2011 年59 巻3 号 p. 363-366
    発行日: 2011/09/20
    公開日: 2012/10/08
    ジャーナル フリー
    チャイロマルハタに対するイリドウイルス感染症不活化ワクチンの有効性を調査するため,3種類の試験を行った。まず魚体重別にワクチンの有効性を確認するため,約5 g,13 g,46 g の供試魚の腹腔内にイリドウイルス感染症不活化ワクチンを0.1 ml/尾投与し,投与10日後にマダイイリドウイルスによる攻撃を行ったところ,ワクチンを投与した区は対照区に比べ有意に低い死亡率を示した。次に,沖縄県内で分離されたマダイイリドウイルス野外株(OT 株)に対する有効性を確認するため,約 5 g の供試魚を用いてワクチン投与10日後に OT 株による攻撃を行ったところ,ワクチンの OT 株に対する有効性が確認された。さらに,免疫持続期間を確認するため,ワクチン投与から22週間経過した約58 g の供試魚に攻撃試験を行った結果,ワクチンの有効性が確認され,免疫は少なくとも22週間持続することが確認された。
  • 岡田 貴史, 吉田 将之
    2011 年59 巻3 号 p. 367-373
    発行日: 2011/09/20
    公開日: 2012/10/08
    ジャーナル フリー
    ビデオ記録を用いた簡易型の行動解析ソフトウェアを開発した。このソフトウェアは,同時に複数個体を対象として,各個体の位置・個体間距離・移動速度等の,基本的な行動指標の取得と解析を主な機能として備えていた。本ソフトウェアを用いて,5個体からなるメダカの群れの逃避行動を定量的に調べた。逃避行動は,黒色の棒を水槽内に投下することにより誘発した。その結果,棒が水面に達する直前からメダカの遊泳速度の増大がみられることがわかった。また,この遊泳速度の増大は,個体間距離の減少,すなわち群れの密集化を伴っていることが明らかとなった。この反応の後,遊泳速度は直ちに逃避行動発現前のレベルに戻ったが,群れは密集化した状態で暫く維持された。これらの現象は約1秒間程度の短時間内で生じる速い現象であり,ビデオ記録と本ソフトウェアの組み合わせによる解析が有効であった。
  • 森 立成, 齊藤 節雄, 松田 泰平, 萱場 隆昭, 岸岡 稚青, Zineb Lahrech , 荒井 克俊
    2011 年59 巻3 号 p. 375-382
    発行日: 2011/09/20
    公開日: 2012/10/08
    ジャーナル フリー
    マツカワ Verasper moseri 雌性発生二倍体及び通常発生群の性比に及ぼす水温と遺伝的要因の影響,並びに成長の違いを調べた。第二極体放出阻止型雌性発生二倍体(G1)および通常発生群の雌比率は,12°C(12.0±0.30)及び14°C(13.6±0.33)飼育群では明確な違いがみられず,16°C(16.1±0.14)飼育群で常に低下した。また,G1 の雌比率は7.0~95.1%と雌親魚によって変動した。このことからマツカワの性比は,水温と親魚の影響を強く受け,特に高水温や親魚の違いが雌比率を減少させていると考えられた。しかしながら,雄ゲノムの影響のない雌性発生のいくつかの事例で,89.5~95.1%の雌比率を示したことはマツカワの性決定様式が基本的に雄ヘテロ型(XX-XY型)の可能性が大きいと考えられた。飼育試験の結果,雌比率の高い群の成長における有利性が示された。
  • 夏 孝洲, 瀬尾 重治, 常本 和伸, 中川 至純, 宮下 盛, 村田 修, 家戸 敬太郎
    2011 年59 巻3 号 p. 383-391
    発行日: 2011/09/20
    公開日: 2012/10/08
    ジャーナル フリー
    東南アジアにおけるマーブルゴビ Oxyeleotris marmorata の集団構造を調べるために,ミトコンドリア DNA 解析用に85尾のサンプルを3地域(タイおよびベトナム,マレー半島,並びにジャワおよびボルネオ島)から収集し,近隣地から得られたサンプルをプールして1集団と仮定して解析した。全サンプルから14ハプロタイプが得られた。全ての集団において Tajima’s D および Fu’s FS 値に有意差はなかったことから,遺伝的に平衡状態にあることが示唆された。分散分析(AMOVA)の結果,集団間および集団内に有意差がみられた。Ayutthaya,Dong Nai および Sabah は他のすべての集団との間で有意な FST 値および高い遺伝的距離を示し,Ayutthaya,Dong Nai および Sabah のマーブルゴビが他の集団と比較してそれぞれ遺伝的に異なる集団であることが推察された。
  • 南 洋一
    2011 年59 巻3 号 p. 393-401
    発行日: 2011/09/20
    公開日: 2012/10/08
    ジャーナル フリー
    イシナマコとハネジナマコの受精卵を各々3,521,600個,1,760,000個得て,0.2-0.5 個/ml の密度で飼育を行い,受精卵,幼生,稚ナマコの成長について観察した。ドリオラリア幼生以降の幼生が50%を占めるまでを浮遊期の飼育,それ以後を着底期の飼育と分離し,浮遊期の餌料として C. gracilis を,着底後の餌料として付着珪藻を給餌した。イシナマコの浮遊期の飼育期間は44-51日で,ハネジナマコの浮遊期の飼育期間は18-25日であった。イシナマコの着底後の飼育では116-187日間飼育した後,合計10,392個体(約20 mm)の稚ナマコが得られた。ハネジナマコの着底後の飼育では92-156日間飼育した後,合計7,118個体(約20 mm)の稚ナマコが得られた。
  • 白藤 徳夫, 村上 直人, 森岡 泰三, 市川 卓, 福永 恭平, 安藤 忠
    2011 年59 巻3 号 p. 403-410
    発行日: 2011/09/20
    公開日: 2012/10/08
    ジャーナル フリー
    春季の沿岸海域におけるサケ稚魚とニシン仔魚の捕食-被食に関する実態解明のための基礎的知見を得ることを目的に,実験水槽内においてサケ稚魚によるニシン仔魚の捕食実験を行った。解凍した大型,小型ニシン仔魚および生きた仔魚をサケ稚魚に与えたところ,いずれの状態の仔魚も活発に捕食された。したがって両者が同所的に分布していればサケ稚魚はニシン仔魚の捕食者になることがわかった。また,ニシン仔魚を摂餌した際のサケ稚魚の飽食量は体重の4.7~7.4%であること,摂餌後2~4時間で胃内容物の50%が消化されること,捕食されたニシン仔魚は摂餌後3~6時間までは形態学的手法による同定が可能であることがわかった。今後,サケ稚魚の仔稚魚捕食の実態を理解するためには,サケの摂餌時間と消化速度を考慮に入れた採集時間帯設定や捕食量推定法の検討を行う必要がある。
  • 清水 孝昭, 高木 基裕
    2011 年59 巻3 号 p. 411-418
    発行日: 2011/09/20
    公開日: 2012/10/08
    ジャーナル フリー
    愛媛県宇和海に自生しているアコヤガイ野生集団と,天然採苗および人工採苗集団について,遺伝的多様性および集団間の異質性をアイソザイム分析により調査した。検出された19遺伝子座中15遺伝子座で多型が見られ,集団を通じて高い遺伝的変異性を保有していた。野生集団と天然採苗集団間の遺伝的分化の程度は低かったが(平均遺伝的距離 D = 0.002-0.009),人工採苗集団は他との間,および集団内で大きく分化していた(D = 0.014-0.024,および0.050)。人工採苗集団は異質性検定,分子階層分散分析によっても他との間,および集団内に異質性が検出された。符号検定では,天然採苗集団と人工採苗集団の一部にヘテロ接合体率の低下が検出された。本研究の結果より,天然アコヤガイに対する養殖種苗の遺伝的影響を積極的に支持する証拠は見いだされなかったが,遺伝的多様性が低く,異質性が高い人工採苗集団が天然海域の遺伝子組成に与える影響が懸念された。
  • 中村 純平, 吉田 将之
    2011 年59 巻3 号 p. 419-425
    発行日: 2011/09/20
    公開日: 2012/10/08
    ジャーナル フリー
    魚類の探索行動とその経時的変化を明らかにするため,キンギョを供試魚として新奇物体に対する探索行動の定量的観察を行った。新奇物体として色付きのプラスチックビーズを呈示した。ビーズ呈示前30分間と呈示中30分間をあわせて1試行とし,この間のキンギョの行動を観察した。探索行動の評価項目として,接近,定位,つつきを計測した。これらは,後者ほど積極性の高い探索行動であると言えた。1日1試行,7日間の観察を行い,6日目からは呈示するビーズの色を変えた。ビーズの繰り返し呈示により,キンギョがより積極性の高い探索行動を発現するようになることが確認された。しかしながら,4日目および5日目には呈示時間の後半にかけて探索行動が低下し,呈示物体の新奇性が減弱していることが示唆された。また,ビーズの色を変えることにより,新奇性が部分的に回復することが明らかとなった。
  • 中村 智幸
    2011 年59 巻3 号 p. 427-433
    発行日: 2011/09/20
    公開日: 2012/10/08
    ジャーナル フリー
    日本の本州の山地渓流で収集した4年間の標識再捕のデータを使用し,淵の物理的特性(縦断の長さ,最大水深,石や岩の下や隙間に形成された隠れ場所の有無)と河川型イワナ成魚(2歳以上)の淵への定住率(標識放流後365日以内に,標識放流されたのと同じ淵で再捕された個体の割合)との関係を検証した。淵の長さや最大水深と定住率との間に有意な相関は認められなかった。その一方で,定住率は隠れ場所のない淵に比べて隠れ場所のある淵において有意に高かった。この結果はイワナ成魚が隠れ場所のある淵に定住する傾向があることを示している。
  • 水田 浩二, 山砥 稔文, 日向野 純也, 玉置 昭夫
    2011 年59 巻3 号 p. 435-442
    発行日: 2011/09/20
    公開日: 2012/10/08
    ジャーナル フリー
    諫早湾北岸のアサリ漁場で夏季に数年に一度発生する大量へい死は Chattonella 赤潮と貧酸素水塊が原因とされている。その対策として,これらの要因を回避しうる水深で垂下式カゴによる飼育試験を行った。2008年7-9月の41日間,干潟漁場に由来する平均殻長28 mm のアサリの生残率を3漁場の沖合で水深別(1.5,2.5 m)およびカゴ交換回数別(0, 2回)に調べた。干潟漁場では成貝(殻長25-45 mm)の生残を7-9月の60日間追跡した。飼育後のアサリは漁場へ戻し,2009年3月までの生残を調べた。各生残率の最終値は,垂下カゴで90-97%,干潟漁場で11%,干潟へ戻されたもので84%であった。カゴとアサリへの付着生物の着生により,56日間無交換のカゴではアサリが付着生物に覆われ,回収不能となった。付着生物量には年変動があり,確実な垂下飼育のためには期間を1ヵ月以内とし,2週間でカゴ交換を行うことが望ましい。
  • Sharifah Rahmah , 山本 眞司, 中川 至純, 家戸 敬太郎, 瀬尾 重治, 村田 修
    2011 年59 巻3 号 p. 443-450
    発行日: 2011/09/20
    公開日: 2012/10/08
    ジャーナル フリー
    孵化後15日目までの bagrid catfish Mystus nemurus 仔魚の外部形態,感覚器官および行動の発達について調べた。仔魚はシオミズツボワムシの摂餌を卵黄を66.1%吸収した孵化36時間後(36 hAH)に開始し,36時間の外部栄養への移行期を経て72 hAH には卵黄吸収を完了した。この時点で凝集および採食行動とともに正の走触性および負の走流性がみられた。これらの行動は,半規管の発達,上顎ヒゲ先端の接着特性の消失,口および肛門が開くこと,並びに腸管のぜん動運動に伴ってみられた。負の走光性および日中の採食行動は,眼球への色素沈着,単錐体細胞および視神経の出現と一致しており,夜間の摂餌はおそらく味蕾,嗅覚器および遊離感丘に依存していると思われた。共食い行動は54 hAH に最初に観察され,これは歯の出現時期と一致していた。以上のような bagrid catfish 仔魚の発育に関する基礎的知見は仔魚飼育技術の開発に有用であると考えられた。
  • 谷口 亮人, Noor Emilia Sharifah , 江口 充
    2011 年59 巻3 号 p. 451-458
    発行日: 2011/09/20
    公開日: 2012/10/08
    ジャーナル フリー
    仔魚飼育水を模した,天然海水とナンノクロロプシスを添加したマイクロコスム実験を行い,ビブリオ属細菌の動態を13日間モニターした。クロロフィルa濃度は,タンク1で8.71~235μg/l,タンク2で10.9~255μg/l の範囲で変動し,両タンクとも培養6日目にピークを迎えた。培養可能なビブリオ属細菌数および定量 PCR 法で推定したビブリオ属細菌数は,クロロフィルa濃度の増加とともに減少した。面白いことに,クロロフィルa濃度がピークを迎えた後は,培養可能なビブリオ属細菌は検出されず,かつ定量 PCR 法においてもわずかな数しか検出されなかった。ビブリオ属細菌の群集構造は,実験開始時は非常に多様であったが,クロロフィルa濃度が増加するにつれ,単純化した。これらの結果は,仔魚飼育水のナンノクロロプシスは,ビブリオ属細菌の増殖を制御しており,仔魚の生残や成長の鍵を握る要因の一つとなることを示唆する。
  • 井口 恵一朗, 間野 静雄, 安房田 智司, 淀 太我, 田子 泰彦
    2011 年59 巻3 号 p. 459-464
    発行日: 2011/09/20
    公開日: 2012/10/08
    ジャーナル フリー
    富山県庄川に生息するアユを対象に,最近の体サイズの動向を把握し,また,個体の成長に影響を及ぼす条件の解明を試みた。1990年代前期および2000年代後期の9月期の漁獲データを比較したところ,過去3年間は例年を下回る小型個体が優占したため,最近の体サイズにおける小型化傾向が実証された。耳石上の輪紋数をカウントしたところ,2010年級群には遅生まれの個体が多く,さらに,Sr/Ca の経時変化から,遅い時期に河川を遡上した個体が多く認められた。個体間の体サイズ変異は,海中生活期間とは無関係に,河川生活期間の長短によって説明された。小型化傾向の引金要因には,早生まれ群を消滅させるような大規模災害の関与する可能性が指摘された。
  • Hung Phuc Nguyen , Peerapon Khaoian , 古谷 尚大, 永野 順也, 深田 陽久, 益本 俊郎
    2011 年59 巻3 号 p. 465-472
    発行日: 2011/09/20
    公開日: 2012/10/08
    ジャーナル フリー
    魚粉飼料(FM)を対照として,脱脂大豆油粕飼料(SBM),アルコール抽出物除去 SBM 飼料(ExSBM),および ExSBM に大豆アルコール抽出物を添加した飼料(ExSBM+Ext)をそれぞれブリ稚魚に3週間給与して,成長成績,膵臓消化酵素活性および胆汁酸含量を比較した。飼育3週間目の給餌8時間後に,腸前半部消化管内容物の膵臓酵素活性と胆汁酸含量を測定したところ,ExSBM+Ext と SBM 飼料を与えた魚の両測定項目は FM や EXSBM 飼料を与えた魚より有意に低かった。一方,成長成績に有意差は無かったものの,EXSBM 飼料を与えた魚が SBM や ExSBM+Ext を与えた魚より優れる傾向にあった。以上の結果から,脱脂大豆中のアルコール可溶物質が膵臓消化酵素や胆汁酸の分泌を抑制することにより,大豆を摂取した養魚の成長低下の要因になっていると考えられた。
資料
  • 矢澤 良輔, 竹内 裕, 岩田 岳, 壁谷 尚樹, 薦田 章, 吉崎 悟朗
    2011 年59 巻3 号 p. 473-481
    発行日: 2011/09/20
    公開日: 2012/10/08
    ジャーナル フリー
    陸上でのクロマグロ親魚養成を最終目的として,海水掛け流し方式による70 m3 陸上水槽を用いて0歳魚クロマグロの長期飼育を行い,その間の成長および生殖腺の発達を調べた。2008年級群(56尾)の飼育中,低水温期(1月-3月,平均水温13.6°C)に供試魚の斃死が集中した。そこで,2009年級群(60尾)の飼育では,低水温期に23°Cの加温海水を加え平均水温を16.0°Cとすることで,この間の斃死を大幅に抑制することが可能となった。全長44.5±7.9 cm,体重約1.9±0.42 kg であった供試魚は,飼育期間1年で全長92.0 cm,体重13.0 kg に達し,海面生け簀で飼育した養殖クロマグロとほぼ同等の成長を示した。また,雌雄の生殖腺において生殖細胞数が増加し,さらにB型精原細胞および染色仁期卵母細胞がそれぞれ精巣および卵巣で認められたことから,70 m3 陸上水槽で飼育したクロマグロの生殖腺が性成熟に向け発達したことが明らかとなった。
  • 桑田 知宣, 徳原 哲也
    2011 年59 巻3 号 p. 483-487
    発行日: 2011/09/20
    公開日: 2012/10/08
    ジャーナル フリー
    長良川の1支流において22床のサツキマスの産卵床を調査し,その特性(形成位置,大きさ,水深,流速,使用されていた基質の粒径サイズ)を調査した。産卵床の多くは淵尻に形成されていた。産卵床の長径は129.5±44.9 cm(平均±標準偏差,以下同様),短径は85.0±28.9 cmであった。形成された産卵床の平均水深は61.5±16.1 cm。表層の平均流速は42.0±15.5 cm/sec,底層の平均流速は25.9±10.7 cm/sec であった。産卵床の基質は16-63 mm の礫の割合が高かった。観察された産卵床の特性は過去の研究で報告されている河川残留型も含むサクラマス類の産卵床の特性と類似していることが明らかとなった。長良川におけるサツキマスの自然個体群維持のためにはこのような環境を産卵場所として保全維持していくことが重要であると考えられる。
  • 和田 敏裕, 神山 享一, 萱場 隆昭, 佐々木 正義
    2011 年59 巻3 号 p. 489-497
    発行日: 2011/09/20
    公開日: 2012/10/08
    ジャーナル フリー
    福島県の南東部に位置する小名浜漁業協同組合(以下,小名浜)および小名浜機船底曳網漁業協同組合(以下,小名底)の水揚年報(小名浜1989~1999年,小名底1986~1999年)を整理し,希少種マツカワの漁獲状況を明らかにした。なお,本種の資源量は,近年の北海道を中心とした大規模な種苗放流事業により回復しつつある。マツカワは両漁協において最も漁獲量の少ない異体類であったが(年平均漁獲量:小名浜44 kg,小名底26 kg),ほぼ毎年漁獲され,ホシガレイに次いで平均単価の高い高級魚であった(小名浜3,097円/kg,小名底2,729円/kg)。1986~1991年の標本船操業日誌分析により,マツカワは,常磐海域においてアカガレイとサメガレイを除く異体類9種に比べ深い水深(平均272.5 m)で漁獲されていたことが示された。本研究は,大規模種苗放流の波及効果が予想される東北海域におけるマツカワのさらなる生態解明や,本種のより広域的な栽培漁業を推進する上での基礎情報を示した。
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