異なる通気量と塩分勾配がオニオコゼ仔魚飼育に与える影響を調べた。容量 1
kl の円形水槽で2つの飼育実験を孵化仔魚(0日齢)より着底まで実施した。実験1では5つの異なる通気量(0-1200
ml/min)で21日齢までの飼育を行った。その結果,最終日の生残と通気量の間に有意な正の相関が検出され,300
ml/min 以上の通気量で生残が安定した。実験2では飼育水槽に水面から22 ppt の汽水,底面から34 ppt の海水をそれぞれ連続注入することで塩分勾配を形成させ,対照に34 ppt 海水に300
ml/min の通気を施す水槽を設け,23日齢まで飼育した。その結果,塩分勾配水槽で飼育した魚の成長と着底が同調したが,飼育終了時の生残(47.3%)は対照のそれ(68.2%)より低くな った。1
kl 規模でのオニオコゼの仔魚飼育には300
ml/min 以上の強い通気による水流が必要であることが明らかになり,さらに塩分勾配の飼育水槽への導入により種苗生産に新たな可能性を見いだした。
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