本稿では、学校アーカイブズ実物保存の取り組みの一例として、奈良女子大学附属小学校(以下、「奈良女附小」と略記)資料保存事業について紹介した。奈良女附小には、1911年開校時からの資料が保管されているが、それら資料の多くが酸性紙で作成されているため、劣化が生じている。そのような状況を踏まえて、2014年、大学を中心とした資料保存事業が発足した。一般に酸性紙の寿命は100年であると言われる中、奈良女附小資料も劣化のため既に解読困難な資料も多い。
これまで学校資料保存をめぐっては、資料を残すという意味での保存が中心課題となってきたが、いくら散逸・廃棄から免れ資料が残されたとしても、解読困難では活用も難しくなるだろう。
すなわち資料実物保存は、奈良女附小に限らず、他の学校資料においても今後考えていくべき重要な課題であると考えた。
抄録全体を表示