我々は, これまで教育相談機関や学校現場などで, 様々な形で教育相談に関わってきた。それは, セラピストとして, 教育職のカウンセラーとして, スクールカウンセラーやそのスーパーバイザーとして, あるいは学校コンサルテーションのコンサルタントとしてなどの関わりでもある。こうした中で, 文部省のスクールカウンセラー事業がスタートして5年が経過した。その経過を辿る中で, 我々は, この試みをきっかけに, 明らかに学校カウンセリングの場が拡大し, その様相が変化したことを実感している。本論では, その理論や実践活動の分析を通して, 次の3点について検討する。つまり, これまでの学校カウンセリング研究を, その主体をどこにおくかで, 教師, 学校外の専門家, その他のシステム, と3つに分けて考える。それぞれを, その理論や実践活動を通して概観し, その有効性と今後の課題を検討する。そして, スクールカウンセリングの今後の展開について, 実践事例を通して, スクールカウンセリングの手法や方策として, 心理的支援と教育的支援の相互作用を有効に活用した統合的アプローチを, 提案する。
抄録全体を表示