本論の目的は, 教師のメンタルヘルスに関わる研究を教師のストレスに焦点をあてて概観し, 今後の課題について検討を行うことである。はじめに, 教師のストレスに影響を及ぼす要因を, その職業の特性から3つ (職業の特殊性, 個人特性, 環境の特異性) に分類し, 概観した。そして, 要因間に複雑な関連はあるものの, 教育現場へのより具体的な提言を可能にするために, ある特別で限定された側面に焦点をあてた研究が必要であることや, 教師のストレス反応を引き起こす過程を明らかにするような研究が必要であると論じた。次に, 教師や学校組織によるストレス軽減のための方法について検討している研究を, その取り組みの形式から2側面 (教師のスキル向上と学校組織の再構成) に分類して概観した。最後に, 組織・個人双方向からのアプローチの重要性を指摘するとともに, 地域や学校関連機関との連携に関する研究の必要性について論じた。
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