教育心理学年報
Online ISSN : 2186-3091
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50 巻
選択された号の論文の36件中1~36を表示しています
巻頭言
I 日本教育心理学会第52回総会概要
準備委員会企画特別講演
準備委員会企画シンポジウム
研究委員会企画シンポジウム
II 日本教育心理学会公開シンポジウム
III わが国の最近1年間における教育心理学の研究動向と展望
IV Effect of Noncognitive Skills and Related Personality Traits to Productivity in Labor Market :A Review
  • A Review
    TAKAHIRO HOSHINO
    2011 年 50 巻 p. 164-175
    発行日: 2011/03/30
    公開日: 2011/11/25
    ジャーナル フリー
        In the last decade, researchers in labor economics and related areas have become more interested in personality traits as determinants of success in the labor market.  Recently, psychologists and economists in the US and other Western countries have been carrying out several collaborative works focusing on this topic.  This research may have a profound impact on labor economics, educational policies, and related areas.  We conclude from this research that (i) evaluation of educational reforms based on changes in scores of cognitive skills might be insufficient, and (ii) educational policies should consider programs that improve noncognitive skills for children who live in an environment that is not conducive to skill development.  The present article reviews recent research on the relationship between wage and “noncognitive skills,” a new concept put forward by a James J. Heckman a Nobel Prize laureate in Economics.  This review focuses on personality traits as noncognitive skills.  Although there are several indicators of success in the labor market, such as job satisfaction, in this article, we focus on wage as it is considered the most important indicator of worker productivity and an important outcome of education.  I also show some results by using data from a relatively large sample survey conducted in Japan, and provide some discussions on the future direction of research on this topic.
V 展望
  • 速水 敏彦
    2011 年 50 巻 p. 176-186
    発行日: 2011/03/30
    公開日: 2011/11/25
    ジャーナル フリー
    ここでは現代の若者の心性を表現する概念として我々が創出した「仮想的有能感」に関する約 10 年間の研究を概観した。まず, この概念に関わる重要な3つの問題について触れた。第1に仮想的有能感に自尊感情を組みあわせ, 4つの有能感タイプをつくることで, 本来の概念規定により近似した個人の選択を可能にした。第2に本来無意識的な仮想的有能感は他者軽視の傾向を測るACS-2 によっているが, その尺度に潜在的自尊感情が反映されていることを潜在連合テストを使った研究で実証した。第3に仮想的有能感が若者だけのものなのかについても横断的研究により明らかにしようとした。
     他に様々な領域で展開した研究をまとめた。仮想的有能感の高い人の特徴として, (1)日常的に負の感情を持ちやすいこと, (2)負の対人感情を形成しやすいこと, (3)受容的な養育を受けず, 勤勉性も発達していないこと, (4)競争的ではあるが, 努力志向でなく, 学習を嫌うこと, (5)問題行動を生じやすいこと, (6)就労への意欲が希薄なこと, (7)外国と比較すればアメリカや韓国では仮想的有能感も自尊感情も我が国より高いこと, などが示された。最後に問題点や今後の研究の必要性について討論された。
  • 小川 一美
    2011 年 50 巻 p. 187-198
    発行日: 2011/03/30
    公開日: 2011/11/25
    ジャーナル フリー
    本稿では, 対人コミュニケーションに関する最近の日本の実験的研究を中心に概観し, 取り組むべき課題について言及した。言語的コミュニケーションおよび非言語的コミュニケーションに関する研究をいくつか挙げ, 言語的コミュニケーションと非言語的コミュニケーションの融合も含めたマルチ・チャネル・アプローチによる研究の必要性についても研究例を挙げながら論じた。続いて, 3者間コミュニケーションや観察者という立場から捉えた対人コミュニケーション研究など, 2者間コミュニケーション以外の対人コミュニケーションの捉え方についても紹介した。また, 対人コミュニケーション研究にも社会的スキルという概念が近年多く組み込まれるようになってきたが, 構成概念も含めこの両者の関係性については十分な吟味が必要ではないかという問題提起を行った。最後に, 対人コミュニケーション研究の今後の課題として, 会話者の内的プロセスの解明, 文化的背景の考慮, 他分野の研究への関心, well-beingとの関係を検討する必要性などについて指摘した。
VI 教育心理学と実践活動
  • —教育ツールの活用による人間関係構築の試み—
    西浦 和樹
    2011 年 50 巻 p. 199-207
    発行日: 2011/03/30
    公開日: 2011/11/25
    ジャーナル フリー
     本稿では, まず初めに, 人類の持続可能なイノベーションの創出に必要不可欠である創造性研究の現状と課題を概観する。創造性研究は, 最近 40 年間で「創造性教育」あるいは「創造的問題解決」といった古くて新しい問題を持ち続けている。創造性教育は, 試行錯誤や洞察学習を積み重ねることで, 子どもたちが自己決定感や自己有能感を獲得していくことを示している。他方, 看護師教育, ビジネス分野での人材育成, 日本語教育における創造的問題解決に関して, 教育ツールは有効性を例証した。特に, カードゲーム方式ブレインストーミング法は, (1)ディベートやディスカッションにはない特色が見られること, さらに(2)問題解決スキル習得だけでなく, クラスメートとの人間関係構築に役立つことが示唆された。創造性に関する新しい教育ツール開発は, 人間関係を構築する新しい教育方法を提供し, 創造的リーダー育成のための人格形成プログラム開発に貢献することが期待される。
  • 数井 みゆき
    2011 年 50 巻 p. 208-217
    発行日: 2011/03/30
    公開日: 2011/11/25
    ジャーナル フリー
     被虐待児の特徴として, 情動調節がうまくいかないことや社会的な関係で不利益を受けやすいこと, また, 学力の低下や常習的な学校のさぼり, 暴力行為や犯罪などへの加担など, 学業や学校生活の問題だけではなく人生そのものが破壊されてしまうこともある。また, 早期に通告されて, 親からの分離という措置によって里親家庭や児童養護施設に移ることが, 学力の低下をもたらし, 学校適応を阻害することも報告されている。すでに北米では, 学校(や地域)で予防教育が 1970 年代から多数行われているが, 被虐待児の家庭背景は多くの場合, 片親家庭で貧困や人種問題, 地域の危険性など複雑である。そのため, 子どもや家庭, 学校を含む包括的な介入の実践が行われてきた。特に, 1991 年から準備が始まり, 現在も追跡が行われているカナダ, オンタリオ州政府の全面援助と協力による地域全体のつながりの構築を含むプロジェクトは不利な条件にいる子どもの発達に対して大きな効力を生み出している。子どものいる家族だけではなく, 様々な立場にある近隣住民を引き込みながら行った予防的介入プロジェクトから, 学ぶことは非常に大きい。対症療法では, 子どもは救われないのである。
VII 第45回(2009年度)城戸奨励賞選考経過および講評
VIII 城戸奨励賞を受賞して(2009年度)
IX 第8回(2009年度)優秀論文賞選考経過および講評
X 優秀論文賞を受賞して(2009年度)
XI 教育心理学関係博士論文要旨
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