教育心理学年報
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51 巻
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巻頭言
I わが国の最近1年間における教育心理学の研究動向と展望
  • 河合 優年
    51 巻 (2012) p. 1-10
    公開日: 2013/01/16
    ジャーナル フリー
     本報告の目的は, 教育心理学における乳幼児研究の動向を調べることである。ここでは, 教育心理学研究, 日本教育心理学会第53回総会において発表された論文から, 乳幼児研究に関するものを選んだ。教育心理学領域における乳幼児研究の現在の関心は, 主として認知, 情動, そして運動に関するものであった。これ以外に, 親の養育行動, 保育者養成学校の生徒の養育行動に関するものが見いだされた。領域の俯瞰が重要であることについても議論されている。
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  • 清水 由紀
    51 巻 (2012) p. 11-21
    公開日: 2013/01/16
    ジャーナル フリー
     本稿は, 我が国の2010~2011年における, 児童・青年を対象とした発達の研究を概観したものである。自己, 対人認知, 対人関係, 適応と精神的健康, 非常事態への対応, の5つの領域に分けレビューを行った。自己に関する研究では, 自己と社会の接点における研究が多くなされており, 特に自己価値・自己肯定感や自己制御を, 学業や学校内の社会的文脈で捉えたものが多かった。対人認知については, 道徳性の発達に関する研究が中心であり, 特に共感性や罪悪感の発達を, いじめや攻撃性などの問題行動との関連から検討したものが多く見られた。対人関係に関する研究は, 児童期後期以降における排他性や攻撃性などのネガティブな側面を扱ったものが見られた。またソーシャルスキルトレーニングに関しては, 集団でのスキルの共有および介入効果の長期的維持に焦点が当てられていた。適応と精神的健康については, いじめやレジリエンスを扱った研究が目立った。非常事態への対応に関しては, 犯罪・災害場面に対する子どもの認知や反応, および防犯・防災教育に関する研究を概観した。最後に, 全体的な研究動向をまとめ, 児童・青年を対象とした発達研究に関する今後の課題について論じた。
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  • 菅沼 真樹
    51 巻 (2012) p. 22-32
    公開日: 2013/01/16
    ジャーナル フリー
     本稿では, 2010年7月から2011年6月までの1年間に本邦で公表された教育心理学研究の中で, 成人期および老年期を対象とする発達部門の研究動向を概観した。成人期(20歳以上65歳未満)については「親性」「夫婦関係」「職業」「身体的変化」, 老年期(65歳以上)については「適応」「祖父母性」「認知」「介護」の各項を設けた。概観を通して, いくつかの傾向が認められた。成人期研究と老年期研究に共通して, 複数の年齢群のデータを収集, 分析した研究が見られた。成人期研究においては, 親としての成人および職業人としての成人に研究関心の大半が注がれていた。老年期研究においては, 超高齢者の語りや老年期における人格発達を取り上げた研究が見られ, これらは生涯発達の成熟期としての老年期をより直接的に捉えようとした研究であると考えられた。また, 1995年1月に発生した阪神淡路大震災に関する研究成果も報告されており, 2011年3月に発生した東日本大震災にあっても, 短期的, 長期的な心理的要因の解明と支援が, 成人期, 老年期研究にも課せられているといえるであろう。
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  • 及川 恵
    51 巻 (2012) p. 33-41
    公開日: 2013/01/16
    ジャーナル フリー
     本稿の目的は, 対象期間(2010年7月~2011年6月)に発表された人格(パーソナリティ)特性に関する心理学領域の研究を概観し, その動向や研究成果について論じることであった。特性的要因については, 精神的健康や対人関係などの適応に関連する状態的変数の規定要因として扱われているものを中心に概観し, 研究手法については質問紙調査によるものを対象とした。本稿で概観した研究では, パーソナリティ全体ではなく, 適応に影響する個別の特性を取り上げており, 適応への影響やプロセスを検討する上で, 生物学的パーソナリティ理論に基づく気質, 特性の下位分類の把握や類似概念との比較などの観点が重視されているものが多く見られた。このような観点からの検討は, 特性的要因を考慮した介入の示唆を与えるとともに, 特性的要因と適応との関連が先行研究により一貫していない理由について貴重な示唆を提供する可能性があると考えられる。最後に, 概観した研究において提示された介入の観点について整理した。
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  • 伊藤 忠弘
    51 巻 (2012) p. 42-52
    公開日: 2013/01/16
    ジャーナル フリー
     本稿はまず日本教育心理学会第53回総会での研究発表570件のうち社会領域に関連する245件の動向を確認した。本年度は学校組織や教師, 教師集団についての研究が増加した。子どもの対人関係や学級適応といったテーマも相変わらず関心が高かった。次に最近1年間に発表された本邦における対人関係と関係性を扱った社会心理学的研究の動向を概観した。これらの研究のテーマは, (1) クラスの中での逸脱行動への同調および社会的比較, (2) 青年期の対人関係の親密性と排他性, および希薄化, (3) 親密な関係が個人にもたらす機能(関係効力性, 社会的動機づけ), (4) 対人関係の否定的側面(関係性攻撃, 引きこもり), (5) 対人関係を支える対処行動や感情(罪悪感, 感謝, 共感性), ソーシャル・スキル, を含んでいた。関係性を間主観的な概念として捉えようとする試みや相互作用過程を解明しようとする試みが行われていることが明らかになった。
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  • 伊藤 貴昭
    51 巻 (2012) p. 53-62
    公開日: 2013/01/16
    ジャーナル フリー
     本稿の目的は, 2010年7月~2011年6月の1年間における教授・学習研究の動向を概観し, 今後の展望を考察することである。教育実践に取り組む教師にとって有益な研究という観点から, この1年の研究を (1) 児童・生徒の実態, (2) 動機づけ, (3) 教育活動の方向性, (4) 指導方法・授業教材の開発, (5) 教師の実態および学習や成長の5つに分け概観した。今後の展望として, 以下の2点が指摘された。すなわち, 教育実践に貢献するためにも, 採用される理論や研究対象の統合が必要であること。また, 教育実践に根差した形あるいは教科に密着した形で研究を行う必要性があること, である。研究の概観と展望を通して, 教育心理学研究が教育実践へと貢献する1つの方向性を提示した。
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  • 内田 照久
    51 巻 (2012) p. 63-72
    公開日: 2013/01/16
    ジャーナル フリー
     教育心理学領域の測定・評価に係わる研究について, 2010~2011年の動向を概括した。従前から続く傾向として, 心理尺度の作成に係わる研究が数多く進められた。しかし本年は, 心理学的な構成概念や測定尺度の過度の氾濫や過剰供給に対する危機感から, 尺度の妥当性の検証の必要性を訴えると共に, 具体的な検証方法を提案するセミナーや発表が多くなされたのが特徴的であった。また近年, 心理測定や教育評価, テスト理論の研究領域は, その発展に伴って細分化が進んでいる。試験やテストに関連した教育評価の研究は, 教育心理学会からテスト学会などに発表の場が移動しつつあるように見受けられた。そこではテスト理論や統計手法の開発, IT技術の活用などのテスト技術に関する研究が精力的に進められる一方, 社会で実際に運用され, 受験者の処遇を左右するテストや試験の場面で発生している具体的な問題に向き合い, その解決を目的とした研究も行なわれている。これらの研究は, 教育心理学の従来からの課題でもある研究と教育実践の社会的な繋がりを考える上で, 大切な方向性の1つを示すものと考えられる。
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  • 堀田 香織
    51 巻 (2012) p. 73-84
    公開日: 2013/01/16
    ジャーナル フリー
     本稿では, 2010年7月からの1年間に発表された臨床心理学領域の論文を概観し, 今後の課題を探索した。まず, 2011年3月東日本大震災が人々の心身に甚大な傷を残したことを受けて, 被災体験, 喪失体験, 心的外傷に関する心理学的研究を概観した。今後, 被災者支援のために長期に渡る実践と研究が必要である。次に, 様々な精神症状・心理的不適応の心理治療・援助に関する論文を概観した。子どもに関しては, 不登校, いじめ, 攻撃行動に関する論文が数多く掲載された一方, 虐待は我が国の喫緊の課題であるにもかかわらず, 論文数が少なかった。今後の研究が期待される。また抑うつや社会不安・無気力の心理的症状が低年齢化し, 小中学生を対象にした研究も見られる。より早期の治療援助, 予防が必要だろう。青年期では人格障害・摂食障害など困難な事例の治療に関する研究が多かった。一般学生を対象にした質問紙調査では, 不安, 抑うつ, 攻撃, アパシー, ひきこもりなどが取り上げられた。また, 実践研究, 面接調査の質的分析による研究は, 臨床領域ではまだまだ数が少なく, 今後より一層の発展が期待される。
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  • 浜谷 直人
    51 巻 (2012) p. 85-94
    公開日: 2013/01/16
    ジャーナル フリー
     特別支援教育に関する最近の研究動向には, 二つのベクトルがあることを指摘した。一方は, 個への支援に力点を置き, 行動レベルで支援の成果を実証することを重視し, それに関わる手法・組織・制度などの整備拡充発展を志向する。発達障害児へのSST(ソーシャル・スキル・トレーニング)による支援と成果の研究などが代表的であり, 論文数が多い。もう一方は, 学級内における関係性, 子どもの自己・人格の発達などに注目し, 今日的状況における学校や授業のあり方や教員の同僚関係などを再構築することを志向する。教育心理学会での発表論文を通覧すると, 通常学級での発達障害児への教育をテーマとするものが多く, その視点からの重要な論文(支援対象児への個別対応と集団・学級の経営について, 通常学級への外部の専門家からの支援, コーディネーターに関する研究, 移行に関する研究, ニューカマーへの支援)を概観した。今後の展望として, 通常学級での特別支援教育の発展のためには, 教育実践の現場から学ぶというスタイルの研究が生まれること, また, 論文において, 著者が, 教育実践における価値をどう考えるかを, 明確に示すことへの期待を述べた。
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  • 田邊 昭雄
    51 巻 (2012) p. 95-104
    公開日: 2013/01/16
    ジャーナル フリー
     ユーザーとしての教員の視点で, 最近1年間の学校心理学に関する研究を, ピア・サポートに寄与するという点を軸に概観した。その結果, アセスメントに基づく実践という取り組みが少なく, プログラムの有効性の効果測定にかかわるものが多かった。また, 学校心理学の研究成果を, 学校現場で活用しようとする時の使い勝手を良くするために, それぞれの論文において研究と実践を結ぶための工夫が必要である。そして, そのような研究が多くの現職教員の実践を刺激し, その実践が新たな研究を生み出すという循環構造が育まれていくことが期待される。
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II Reviews of Psychological Studies and Educational Practices Focusing on Improving Student Learning Skills:
  • YURI UESAKA
    51 巻 (2012) p. 105-117
    公開日: 2013/01/16
    ジャーナル フリー
        Promoting student learning skills is one of the important goals of school education. However, case studies involving educational practices suggest that students do not develop such skills to a level that would make them autonomous in learning. In addition, studies about school practices in Japan have suggested that efforts at developing student learning skills in schools are not adequate. To address this problem and to contribute to the promotion of student learning skills development, this paper examines relevant research areas including educational practices. It firstly introduces variations in learning skills suggested in the learning strategies research area. Secondly, it summarizes the developmental processes and factors relating to the use of learning strategies. Thirdly, the paper provides an overview of research areas and educational practices that promote the development of learning skills. Finally, it proposes a future direction to address the problem.
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III 展望
  • 村山 航
    51 巻 (2012) p. 118-130
    公開日: 2013/01/16
    ジャーナル フリー
     妥当性とは曖昧な構成概念を扱う心理学にとって, もっとも重要な概念の1つである。妥当性というと「基準連関妥当性」「構成概念妥当性」「内容的妥当性」という3つのタイプがあると一般に説明されることが多い(妥当性の三位一体観)。しかし, 1980年代以降の妥当性研究では, こうした妥当性のタイプ分けは適切ではなく, 「構成概念妥当性」という考え方にすべての妥当性は収斂するという考え方が主流である(単一的な妥当性概念)。本稿の前半では, こうした妥当性概念の歴史的変遷について, 思想的な背景や近年の議論などを踏まえた解説を行った。本稿の後半では, 妥当性に関するより実践的なトピックを取り上げ, 心理測定学的な観点から議論を行った。具体的には, 1. 「内容の幅の広い項目群を用いた尺度作成」というアイディアと伝統的な心理測定学的モデルの矛盾, 2. 「個人間相関」と「個人内相関」を区別することの重要性とその関係, そして3. 心理学における「尺度の不定性」が結果の解釈などに与える影響などについて議論を行った。
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  • 岡本 真彦
    51 巻 (2012) p. 131-142
    公開日: 2013/01/16
    ジャーナル フリー
     メタ認知は, 曖昧な概念であり, 認知心理学の中でもアプローチが難しい概念であるとされてきた。一方で, 学校教育のみならず, 社会教育などの場面でもメタ認知の重要性が指摘され, 近年, 特にそのはたらきに注目が集まっている。メタ認知には, メタ認知知識とメタ認知モニタリングの2つの側面が含まれているとされる。本稿では, 最初に, 教科学習に関するメタ認知知識の発達変化についての研究を紹介し, 次に, 学校教育場面で行われる教科学習の中でも, 特に, 読解や問題解決の中に含まれる理解過程に焦点化して, それらの過程におけるメタ認知モニタリングのはたらきについての研究を展望する。最後に, これまでの研究のレビューに基づいて, 今後のメタ認知研究と教科教育研究の課題を示す。
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IV 教育心理学と実践活動
  • 寺尾 敦
    51 巻 (2012) p. 143-153
    公開日: 2013/01/16
    ジャーナル フリー
     本稿の目的は, 心理学統計の学習を支援するために, ICTをどのように利用できるかを示すことである。心理学を学ぶ学生の多くは統計学を理解することに苦心する。ICTはこうした学生が統計学を学ぶ大きな助けとなる。携帯端末を利用すると, インタラクティブな授業を実現することができる。スマートフォンは, PCモニタでデータ解析を行うときに, データ解析の手順を示した教材を表示するセカンドモニタとして機能する。動画共有サービスによって, 授業の配信が可能になった。教員が協力してテスト項目データベースを作成すれば, 適切な練習問題や試験問題を見つけるために有用なシステムとなる。Excelを利用したコンピュータシミュレーションは統計学の理解を深めることに役立つ。
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  • 鈴木 宏昭, 杉谷 祐美子
    51 巻 (2012) p. 154-166
    公開日: 2013/01/16
    ジャーナル フリー
     本論文では大学生のレポートライティングにおける問題設定に注目して, その援助の可能性を探究した。問題設定は気づき, 洗練, 定式化の3つのプロセスからなり, この各々のプロセスで支援の可能性が存在する。気づきについては文献の批判的読みと直感的判断が重要である。これらを援助することでよりよいレポートが作成される可能性が高まる。洗練の段階では図的にあるいは言語的に自らのアイディアを外化することでレポートの質が向上することを示した。問題の定式化の段階では, 明確化, 普遍化, 相対化の3つが必要となる。協調学習環境下の長期にわたるライティング実践の結果, 明確化と相対化は普遍化に比べて学習されやすいことが明らかになった。
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V 日本教育心理学会第53回総会
準備委員会企画招待講演
理事長企画シンポジウム
準備委員会企画シンポジウム
準備委員会特別企画
研究委員会企画シンポジウム
研究委員会企画チュートリアルセミナー
VI ハラスメント防止関連 理事会企画講演
VII 日本教育心理学会公開シンポジウム
VIII 第46回(2010年度)城戸奨励賞
IX 第9回(2010年度)優秀論文賞
X 教育心理学関係 博士論文要旨
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