教育心理学年報
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55 巻
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巻頭言
I わが国の教育心理学の研究動向と展望
  • 木下 孝司
    55 巻 (2016) p. 1-17
    公開日: 2016/08/12
    ジャーナル フリー
     本稿は, 2014年7月から2015年6月までの1年間に発表された, 日本における乳幼児期と児童期を対象とした研究を概観したものである。主に取り上げた研究は, 『日本教育心理学会第57回総会論文集』『教育心理学研究』『発達心理学研究』『心理学研究』『Japanese Psychological Research』で発表されたものである。日本教育心理学会第57回総会において, 乳幼児・児童の社会的発達に関する研究発表が比較的多かった。また, 子どもを取り巻く社会的問題との関係で, 全体に社会的発達への関心が高いことから, 本稿では「社会的な関わり」に着目した。それぞれの研究を, 社会的な関わりそのものの発達, 社会的な関わりを通した自己形成, 社会的な関わりを介した認知と学習の3つのカテゴリーに分類してレビューを行い, それぞれにコメントをした。最後に, 子どもの発達を社会・歴史的文脈でとらえることの重要性を述べて, 子どもの貧困問題などの社会的現実と向き合うことで, 発達理論を再考する必要性を論じた。
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  • 上長 然
    55 巻 (2016) p. 18-37
    公開日: 2016/08/12
    ジャーナル フリー
     本稿は, 日本において2014年7月から2015年6月までに発表された青年期・成人期・老年期を対象とした発達研究について概観したものである。1年間に発表された青年期以降を対象とした発達研究の動向を「自己」, 「対人関係」, 「適応と精神的健康」, 「進路・キャリア発達」, 「その他」の5つに分類し, 論評を行った。自己に関する研究では, 青年期のアイデンティティ発達に関する研究, 自己概念・自己評価に関する研究, 世代性や子育てに伴う心理発達に関する研究がなされていた。対人関係では, 夫婦関係の継続理由や夫婦関係と家族機能の関連を扱った研究が見られた。適応と精神的健康では, 学校行事や接続教育, いじめ, 非行といった学校生活・学校適応に関する研究が多く報告されていた。進路・キャリア発達に関する研究では, キャリア教育や職業意識の形成, 社会参加に関する発達的意義について論じられていた。その他としては, 青年期から老年期にかけての認知機能やパーソナリティの発達について報告されていた。最後に, 青年期以降の発達研究における展望とともに, 今後の課題について論じた。
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  • 高橋 雄介
    55 巻 (2016) p. 38-56
    公開日: 2016/08/12
    ジャーナル フリー
     本稿の目的は, 2014年7月から2015年6月までの間に発表・報告された人格(パーソナリティ)特性をはじめとする個人差変数が取り扱われた研究について概観し, その動向と課題についてまとめたうえで, 今後の展望や展開を論じることである。ジェームズ・ヘックマンの研究以来, パーソナリティ特性(非認知能力)の発達及び教育的介入の可能性に関する研究に焦点が当たっている。本稿では, まずBig Fiveとそれに並ぶ個人差変数(知能や自尊感情など), そして自己制御とそれに類する心理学的構成概念(衝動性や満足の遅延など)に関する研究について, 次に, パーソナリティ特性や個人差変数と身体的・精神的・社会的健康との関連に関する研究について概観して, それらの成果をまとめた。最後に, 「あ・い・う・え・お」に準える形で(あ : Anchoring vignettes, い : Interactions, う : Unique relationships, え : Environmental Effects, お : Other reports), 5つの観点から今後のパーソナリティ特性研究の展望と展開を考察し, 3つの視座から課題と期待を論じた。
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  • 小川 一美
    55 巻 (2016) p. 57-67
    公開日: 2016/08/12
    ジャーナル フリー
     本稿では, 2014年7月から2015年6月の教育社会心理学研究の動向について概観した。最初に2015年8月に開催された日本教育心理学会第57回総会で発表された研究について整理したところ, 発表数が多かったカテゴリーは, 「対人関係」「教師」「適応」「社会的スキル・社会性」であった。この4カテゴリーは近年, 常に上位を維持しているものであった。そして, アクティブラーニングや社会人を対象とした教育など, 今後の動向を注目したい研究テーマも存在していた。次に, 関連学会誌を中心に掲載された「対人関係」「適応」「教師」カテゴリーに該当する教育社会心理学研究について概観した。特に, 教育現場への知見提供や, 研究方法およびデータ収集という視点を意識して, 各研究の特徴および今後の展望について議論した。そして, 個人や研究室単位ではなく学会組織レベルで取り組むべき課題についても私見を述べた。
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  • 瀬尾 美紀子
    55 巻 (2016) p. 68-82
    公開日: 2016/08/12
    ジャーナル フリー
     本稿では, 現在の教授・学習研究が「21世紀の学習・教育実践」に対しどのような役割を果たすことができるか明らかにすることを目的とした。「21世紀の学習・教育実践」に関する教育界の議論を踏まえ, この1年間の教授・学習研究を「学習の認知過程に関する研究」「主体的・自律的な学習に関する研究」「協同や相互作用を活かした学習に関する研究」の3つに分類して論評した。学習の認知過程に関しては, 思考・問題解決や言語表現に比べて, 知識獲得・記憶に関する研究が少ないことが明らかになった。一方, 言語表現に関する研究は, コミュニケーション能力の育成に具体的かつ実践的な示唆をもたらすものが多く見られた。主体的・自律的な学習に関しては, 特に, 不適応的な学習行動の適応的側面を見出す研究がリアリティのある実践提案に結びつく可能性が示唆された。協同や相互作用を活かした学習に関しては, 機能の解明から, 規定要因についての検討および協同を活かした教育実践研究へと研究関心が移ってきている可能性が述べられた。最後に, 21世紀の学習・教育実践に対して, どのような教授・学習研究が期待されるか今後の研究の方向性について展望した。
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  • 宇佐美 慧
    55 巻 (2016) p. 83-100
    公開日: 2016/08/12
    ジャーナル フリー
     本稿の目的は, 本邦の最近1年間の教育心理学に関わる測定・評価・研究法についての研究動向を, 『心理尺度』, 『試験・テスト』, 『量的研究法』, 『統計分析・統計理論』, 『心理統計教育』, および『その他の研究』, の計6つの観点に分けて整理し, 関連する諸問題について幅広く取り上げることである。また, 教育測定・心理統計の専門家(教育者・研究者)の人材不足と心理統計教育の問題は, 本邦の測定・評価・研究法に関する研究および実践上の諸問題の根幹であることを指摘し, 「専門家による専門家の育成」の重要性についても多面的に論じた。
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  • 佐々木 淳
    55 巻 (2016) p. 101-115
    公開日: 2016/08/12
    ジャーナル フリー
     本稿は, 本邦における臨床心理学の動向と課題, そして2014年7月から2015年6月末までの1年間での本邦の臨床心理学に関する研究の概観という2つの話題を扱っている。前半部では, 1997年以降の『教育心理学年報』の臨床部門の論文から, 臨床心理学のあるべき姿について確認した。そして, 臨床心理学の知見の意味理解の重要性を指摘し, エビデンス・リテラシーの教育と事例研究の必要性を論じた。また, 専門家を対象とした研究への期待を述べた。後半部では, 4つの学術雑誌から45の論文をレビューして紹介した。
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  • 橋本 創一
    55 巻 (2016) p. 116-132
    公開日: 2016/08/12
    ジャーナル フリー
     近年の学校フィールドを中心にした特別支援教育の実践研究における到達と課題について言及する。子ども理解において, アセスメントと障害特性の理解が重視されている。特に, 実行機能に関する研究が盛んである。また, 相談支援活動では, 発達障害に関わる独自なカウンセリングと不登校への教育相談, 学生相談, 自己理解へのアプローチの実践が注目されている。そして, 学校現場では保護者・教師へのコンサルテーションや連携が有効である。教育支援において, 学習支援と行動支援(ソーシャルスキルトレーニング, 認知行動療法), 学校適応を支援する取り組みの重要性が指摘されている。
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  • 中井 大介
    55 巻 (2016) p. 133-147
    公開日: 2016/08/12
    ジャーナル フリー
     本稿は, 2014年7月から2015年6月までに日本で発表された, 学校心理学分野の研究動向を概観し, その課題を検討したものである。学校心理学分野の研究はこれまで多くの知見を蓄積してきた。その一方で, その研究領域の範囲が広く他の領域と相互浸透的であるため, 従来から蓄積された研究の全体像が把握しにくいとの課題も指摘されてきた。このような課題を解消するためには, 異なる分析枠組みを設定し定期的に研究知見を整理する必要がある。そこで, 本稿では「環境のなかの子ども」を重視する学校心理学の視点を踏まえ生態学的システム理論によって従来とは異なる包括的な観点から研究成果の整理を試みた。マイクロシステム, メゾシステム, エクソシステム, マクロシステム, クロノシステムごとに研究知見を整理した結果, 今年度の研究はマイクロシステムの研究が多い一方, その他のシステムに関する研究が少なく「環境のなかの子ども」を捉える視点が弱い可能性が示唆された。学校心理学の知見を有機的に統合し機能させるためにも, このような研究の偏りを解消し, 学校教育が置かれた社会的文脈に合わせ, 各システムにおいて学校心理学に求められる研究が蓄積される必要性を論じた。
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II Measurement Issues in Large‐Scale Educational Assessment
  • KENTARO KATO
    55 巻 (2016) p. 148-164
    公開日: 2016/08/12
    ジャーナル フリー
        This article provides an overview of recent international trends in large-scale educational assessment and relevant issues in educational measurement.  The literature indicates that the design, administration, and functions of large-scale assessment are changing dramatically, due to the changes in measurement content and method that reflect evolving societal needs.  This in turn raises various measurement issues such as concerns with validity and efficient processing and psychometric modeling of complex data.  While the successful implementation of large-scale assessment in its most advanced form is still largely ideal with many issues to be addressed, research and practice in line with the overall trends are emerging.  Implications for assessment practice in Japan are also discussed.
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III 展望
  • 松尾 直博
    55 巻 (2016) p. 165-182
    公開日: 2016/08/12
    ジャーナル フリー
     日本の道徳教育は大きな転換点を迎えようとしている。小中学校において, 今まで領域とされていた道徳の授業が, 「特別の教科 道徳」として教科として位置付けられ小学校では平成30年度(2018年度), 中学校では平成31年度(2019年度)から実施されることとなった。道徳教育, 道徳科の授業の目標が明確化され, 効果的な授業についてもより開発の必要性が高まっている。近年日本で行われた道徳性や道徳教育に関わる研究を概観しつつ, その知見が道徳教育にどのように貢献できるかについて考察を行った。その結果, 道徳的判断, 子どもの道徳性の経年比較, 感情が道徳的認知に及ぼす影響, 共感, 海外の道徳教育, 道徳の授業実践に関する研究などが行われており, そのような研究の道徳教育への応用可能性について考察した。今後の展望として, さらなる基礎, 授業に関する実践研究などの必要性が述べられた。
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  • 坂西 友秀
    55 巻 (2016) p. 183-202
    公開日: 2016/08/12
    ジャーナル フリー
     本研究の目的は, 学校教育に関わる社会問題を取り上げ, その社会問題に関する社会心理学研究の現状を考察し, 今後を展望することである。まず, 社会問題(研究)を「教授学習研究」「人間関係・対人関係」「子どもの道徳性の発達」「学校・学級経営と教師のリーダーシップ」「家庭と福祉と学校教育」「災害と子どもの社会活動」の6カテゴリーに整理した。各カテゴリーの「社会問題」について社会的背景として簡単に説明した上で, それぞれのカテゴリー毎に関連する心理学研究を取り上げて紹介し, 研究の考察を行った。まとめとして, 初めに研究全体の「概況」を述べた。「教育・社会心理学の理論的基礎」「社会の中の教育・社会心理学研究」「学校外教育の研究」「質的研究の進展」「知見・成果の社会への応用」の6つから教育・社会心理学の今後を展望した。
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IV 教育心理学と実践活動
  • 小泉 令三
    55 巻 (2016) p. 203-217
    公開日: 2016/08/12
    ジャーナル フリー
     わが国でも,すべての子どもを対象とした予防教育として,社会性と情動の学習(SEL)に関する研究が進展しつつある。本研究では,そのための学習プログラム(SELプログラム)の学校での実施と持続に焦点を絞り,検討を行った。まず,(1) 社会性と情動の学習および関連する概念を説明した後,(2) SELの実施と持続に関する欧米の研究にみられる諸概念を概説した。そこでは,大きくエビデンス(科学的根拠)の立証と学校等での実施と持続に分けて説明した。その後,これらの動向をふまえて,(3) わが国における今後の取り組みとして,まず学習プログラムのエビデンスの立証について,わが国の教育事情をふまえた妥当性の検討とプロセス評価の必要性を述べた。最後に (4) アンカーポイント(構造化の基点)概念を適用して,わが国での実施と持続への取り組みのための手続きや着眼点の整理を行った。具体的には,教師―子どもシステム,単一の学校システム,中学校ブロックシステム,そして教育委員会レベルのシステムごとに,SELプログラムの実施と持続が促進されるようなアンカーポイントを示し,積極的に利用する方策(アンカーポイント植え込み法)を提案した。
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V 日本教育心理学会第57回総会
準備委員会企画招待連続講演
準備委員会企画シンポジウム
研究委員会企画シンポジウム
研究委員会企画チュートリアルセミナー
VI ハラスメント防止委員会企画講演
VII 日本教育心理学会公開シンポジウム
VIII 第50回(2014年度)城戸奨励賞
IX 第13回(2014年度)優秀論文賞
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