教育心理学年報
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巻頭言
I わが国の教育心理学の研究動向と展望
  • 杉村智子
    原稿種別: I わが国の教育心理学の研究動向と展望
    2018 年 57 巻 p. 1-14
    発行日: 2018/03/30
    公開日: 2018/09/14
    ジャーナル フリー

     本稿では,2016年7月から2017年6月末までに,『教育心理学研究』『発達心理学研究』『心理学研究』,Japanese Psychological Researchに掲載された論文及び,日本教育心理学会第59回総会の発表のうち,乳幼児期から児童期を対象とした発達研究について概観した。これらの研究は,認知,社会性,自己,養育者と保育者,その他,の5領域に分類された。そのうち,雑誌掲載論文について,認知発達,社会性と自己の発達,養育者・保育者,の3領域に分けて解説したうえでコメントを加え,最後に,最近の教育界における動向をふまえた発達研究への示唆を述べた。

  • 平石 賢二
    原稿種別: I わが国の教育心理学の研究動向と展望
    2018 年 57 巻 p. 15-39
    発行日: 2018/03/30
    公開日: 2018/09/14
    ジャーナル フリー

     本稿は,日本において2016年7月から2017年6月までの1年間に公刊された国内学会誌5誌と2017年10月に開催された日本教育心理学会第59回総会で発表された青年期から成人期,老年期までの発達研究を概観し,その現状と課題について論じることを目的とした。対象となった研究は日本教育心理学会第59回総会での研究発表と学会誌論文とに分けて研究の動向を分析した。また,分析の対象として選出した研究はそれぞれ青年期と成人期以降に分け,青年期に関する研究はさらに学校段階に応じて分類した。そして,それぞれの研究については,テーマ別に分類し,研究内容やテーマを要約して記載した。

     動向分析の結果,成人期以降の研究が少ないこと,青年期研究の中では高校生に関する研究が少ないことが判明した。また,大学生研究におけるサンプリングやサンプルサイズの問題と研究知見の再現性と頑健性に関する問題を指摘した。他方で,モデルとなる大規模研究の存在や縦断研究,実践研究の増加もわが国における発達研究の望ましい傾向として取りあげられた。

     また,今後の展望として,生物-心理-社会モデルや理論生成の重要性について論じた。

  • 篠ヶ谷 圭太
    原稿種別: I わが国の教育心理学の研究動向と展望
    2018 年 57 巻 p. 40-60
    発行日: 2018/03/30
    公開日: 2018/09/14
    ジャーナル フリー

     本稿では,2016年から2017年に『教育心理学研究』に掲載された論文および,2017年10月に名古屋国際会議場で開催された日本教育心理学会第59回総会の研究発表を中心に,近年の教授・学習領域における心理学研究を概観した。その際には,教授者や学習者の認知面,情意面,行動面を取り上げ,教授者の変数間の関連に着目した「教授者研究」,学習者の変数間の関連に着目した「学習者研究」,教授者変数と学習者変数の関連に着目した「教授-学習研究」に分類した上で,個々の知見を概観した。その上で,近年の研究の動向として,複数時点で測定された縦断データを関連づけた研究や,環境要因と学習者変数のような階層データを関連づけた研究が多く行われるようになっていることを指摘した。最後に,こうした縦断データや階層データの関連づけといった視点から着想を得ながら,今後の教授・学習研究の展開について,いくつかの方向性を述べた。

  • 山中 一英
    原稿種別: I わが国の教育心理学の研究動向と展望
    2018 年 57 巻 p. 61-78
    発行日: 2018/03/30
    公開日: 2018/09/14
    ジャーナル フリー

     本稿の目的は,2016年7月から2017年6月までの間に教育心理学の領域で行われた社会心理学的研究の動向を概観するとともに,学校教育のいくつかの論点に限定した展望を論じることであった。本稿の前半では,まず,日本教育心理学会第59回総会における社会心理学的な研究発表の動向を整理した。その結果,「授業(対話的な学び)」「教員等の指導・支援行動」「社会的スキル」などに関する研究発表が多くみられた。つぎに,『教育心理学研究』に掲載された論文のなかから社会心理学的な要素を含んだ研究を取り上げて概観した。つづく本稿の後半では,教室の「対話的な学び」と「教師教育」という2つのトピックに焦点をあて,社会心理学の視点からの考察を展開した。そこでの主な論点は,(a)教室の「対話的な学び」と集団の構造,(b)教室の「対話的な学び」と友人関係,(c)教師教育における「省察的実践」と「協同的実践」,であった。

  • 渡邊 芳之
    原稿種別: I わが国の教育心理学の研究動向と展望
    2018 年 57 巻 p. 79-97
    発行日: 2018/03/30
    公開日: 2018/09/14
    ジャーナル フリー

     2016年7月から2017年6月にかけての日本におけるパーソナリティ研究の現状と動向を分析するために,120件の学会誌論文と375件の学会発表をパーソナリティ関連研究として抽出して分類し,いくつかの量的な側面から調べた。日本におけるパーソナリティ関連研究は,この期間に主要な学会誌8誌に掲載された論文のうち48.0%を,2つの学会における発表のうち47.2%を占めている。1年間の研究協力者の総数は222,986名にのぼり,132個の新しい個人差測定尺度や項目が開発されている。こうした研究にはSEMに代表される統計的因果分析の技法が広く用いられている。研究テーマの動向や,パーソナリティ関連研究のこうした動向がパーソナリティ心理学や「個人差科学」に対して持つ含意についても検討した。

  • 伊藤 美奈子
    原稿種別: I わが国の教育心理学の研究動向と展望
    2018 年 57 巻 p. 98-111
    発行日: 2018/03/30
    公開日: 2018/09/14
    ジャーナル フリー

     本稿では,2016年7月から2017年6月までの1年間に発表された臨床心理学に関する研究の動向を展望した。最初に,「臨床心理学研究」についての定義を示したうえで,日本教育心理学会第59回総会の「臨床」部門で発表された研究報告を概観し,調査対象者により分類し,特徴的なキーワードを挙げた。さらに,総会で企画されたシンポジウムについても概観した。次に,4つの学会誌に掲載された臨床心理学に関する研究の概要を述べた。その結果,大学生を対象とした研究では,「抑うつ」や「人間関係」に関する研究に加え,「大人への自立」をテーマとした研究も大学生という時期の特徴を示していた。小・中・高校生を対象とした研究には,「ストレス」「いじめ」「援助要請」「心理教育」などのテーマが多くみられた。それ以外にも,教師や親,初任心理職者,施設職員など,支援する側を対象とした研究も見られた。最後に,臨床心理学研究の動向と今後に向けての展望が示された。

  • 長南 浩人
    原稿種別: I わが国の教育心理学の研究動向と展望
    2018 年 57 巻 p. 112-122
    発行日: 2018/03/30
    公開日: 2018/09/14
    ジャーナル フリー

     本稿は,2016年7月から2017年6月末までの1年間で発表された特別支援教育における教育心理学に関する研究の動向を概観したものである。発表論文について数的な分析を行った結果,近年の発表件数に減少傾向が見られた。また聴覚障害児教育に焦点を当て研究動向を分析した。その結果,音声言語の習得に関する指導法については,バイリンガルろう教育や人工内耳装用児の育ちの実態から,発達早期の段階から音声を利用して指導する方法やキュードスピーチが再び評価されていることが示唆された。また,認知発達や家族心理についても概観し,これらを踏まえて今後の展望を述べた。

  • 藤井 恭子
    原稿種別: I わが国の教育心理学の研究動向と展望
    2018 年 57 巻 p. 123-135
    発行日: 2018/03/30
    公開日: 2018/09/14
    ジャーナル フリー

     本稿は,2016年7月から2017年6月までの学校心理学に関する国内の研究動向を概観し,学校教育の動向とてらし合わせて,今後の課題を提示することを目的とするものである。学校心理学の研究について,まず日本教育心理学会第59回総会発表論文集(名古屋大学)を総覧し,学校心理学部門において発表された研究についてテーマの分類を行った。また,学校心理学に関する学会誌論文について,3段階の心理教育的援助サービスと調査対象者の学校段階によって分類した。こうして得られた学校心理学の研究動向について,近年の学校教育をめぐる政策的・臨床的動向にてらして考察した。以上を踏まえ,今後の学校心理学の課題として,援助者としての教師についての研究の必要性を述べた。

  • 鈴木 雅之
    原稿種別: I わが国の教育心理学の研究動向と展望
    2018 年 57 巻 p. 136-154
    発行日: 2018/03/30
    公開日: 2018/09/14
    ジャーナル フリー

     本稿では,「統計的分析手法」「教育評価」「試験・テスト」「心理尺度の作成」「その他の関連研究」の大きく5つの観点から,教育心理学研究における測定・評価・研究法に関する研究動向について概観した。近年の統計的分析手法の傾向として,確認的因子分析やマルチレベルモデルの利用が増加している一方で,実験刺激の変量効果の問題や欠測値の処理方法に関しては課題があることを指摘した。また,評価リテラシーを育成することの重要性について指摘するとともに,評価リテラシーの育成に関して展望を行った。

II 展望
  • 鹿毛 雅治
    原稿種別: II 展望
    2018 年 57 巻 p. 155-170
    発行日: 2018/03/30
    公開日: 2018/09/14
    ジャーナル フリー

     本論文では,学習動機づけをテーマとした日本における過去10年間の研究を概観するとともに,今後の研究の方向性について展望する。その際,理論的な枠組みとして,動機づけ規定因として四要因(認知,感情,欲求,環境),動機づけの安定性に関わる区分として三水準(特性レベル,領域レベル,状態レベル)を取り上げて,知見を整理した。学習とそれを支える動機づけの複雑なプロセスについて解明するためには,認知や感情に関わる多様な要因を同時に取り上げるとともに,特に状態レベルの動機づけに着目して実証的,理論的な研究を進めること,介入研究や開発研究など,教育実践の実際の場面で研究を計画,実施すること,質問紙調査に偏ることなく,実験法,観察法などによる研究を積極的に実施したり,複数の研究手法を組み合わせたマルチメソッドアプローチを推進したりすることなどが今後の研究に期待されている。また,知識,技能の習得を主たる目的とした旧来型の教育観を刷新し,学習動機づけに支えられた思考や表現が活性化するような授業を前提とする発想が研究の基盤として求められている。

  • 須藤 邦彦
    原稿種別: II 展望
    2018 年 57 巻 p. 171-178
    発行日: 2018/03/30
    公開日: 2018/09/14
    ジャーナル フリー

     本研究では,近年の自閉症スペクトラム障害(ASD)における応用行動分析学をベースにした実践研究の動向を明らかにした。2012年から2017年までの国内における応用行動分析に関連した学術雑誌を対象とした。まず,(a)ASDを対象とする,(b)何らかの介入を行った研究などの規準を満たす論文を抽出した。次に,(a)執筆者や支援実施者の特徴,(b)支援の場,(c)支援対象者の人数と年齢,(d)標的行動,(e)維持と般化,(f)研究デザイン,(g)支援の文脈適合性と社会的妥当性,という7つのカテゴリに分類した。その結果,執筆者や支援実施者に教員や保護者のような関係者が含まれている論文が多く,支援の場についても,全体の69%が教育機関,自宅,施設,あるいは地域であった。また,支援の文脈適合性と社会的妥当性による連携を関係者と行っている論文も多かった。標的行動については,対人コミュニケーションや問題行動がどの年代においても多く該当した。ASDの実践研究において,教員や保護者のような関係者と丁寧に連携している研究のエビデンスが蓄積されていく必要性が示唆された。

III 教育心理学と実践活動
  • 野田 航
    原稿種別: III 教育心理学と実践活動
    2018 年 57 巻 p. 179-191
    発行日: 2018/03/30
    公開日: 2018/09/14
    ジャーナル フリー

     現在,日本の教育現場において応用行動分析学に基づく実践や研究が盛んに行われるようになってきているが,教育の中心的なテーマである学習指導に関する実践や研究は少ない。本稿では,学習指導に対する応用行動分析学によるアプローチについて概説した。まず,具体的な行動としての学業スキルと環境との相互作用という観点から学習問題を捉えることを解説し,学業スキルのアセスメント方法と応用行動分析学が重視する観点を述べた。その後,最近10年間の日本における研究動向(刺激等価性に基づく読み書き指導等)と米国における研究動向(遂行欠如とスキル欠如,指導の階層性,短期実験的分析)を展望した。そして,応用行動分析学の知見を基礎としながらも他の研究領域と連携して発展してきた指導カリキュラム(直接教授法)や学習指導モデル(response to intervention)を紹介した。最後に,今後日本において応用行動分析学に基づく学習指導研究を展開する上での課題について述べた。

  • 藤川 麗
    原稿種別: III 教育心理学と実践活動
    2018 年 57 巻 p. 192-208
    発行日: 2018/03/30
    公開日: 2018/09/14
    ジャーナル フリー

     高等教育機関における心理実践活動である学生相談に対して,教育的機能を求める動きが高まっている。大学コミュニティのニーズに応じた実践活動の展開が期待される中にあって,コラボレーション(連携・協働)は,学生相談のあり方を示す重要なキーワードのひとつとなっている。本稿では,学生相談におけるコラボレーションに関する研究動向を概観し,今後の課題について論じた。まず,コラボレーションに関する研究が必要とされる背景にある,学生の多様化への対応,サービスギャップの問題という学生相談の課題について論じた。次に,近年の日本における研究を概観し,コラボレーションの実態を分類・記述する研究,コラボレーションによる発達障害学生への支援を扱った研究,コラボレーションによる大学コミュニティへの予防的支援を扱った研究,コラボレーションの方略や評価に関する研究,という4つの研究動向にまとめた。最後に,今後の実践および研究の課題と展望として,コラボレーションの評価方法の検討,学校心理学など他領域との交流,コラボレーションの教育・訓練方法の開発について論じた。

IV 討論
  • 大塚 雄作, 柴山 直, 植阪 友理, 遠藤 利彦, 野口 裕之
    原稿種別: IV 討論
    2018 年 57 巻 p. 209-229
    発行日: 2018/03/30
    公開日: 2018/09/14
    ジャーナル フリー

     現在進められている高大接続改革の進展の中で,「学力」をどう捉え,どう評価すべきかといった基本的な部分で,十分な理解が共有されているとは言い難いことをしばしば経験する。調査と選抜試験という評価・測定の目的の違いが安易に軽視されたり,形成的評価に適合する手法や,子どもに必要とされる非認知的要因などの評価が,短絡的に選抜における学力評価などに適用されようとしたりする。

     評価・測定は,目的や対象にふさわしい評価手法を状況に応じて選択するということが重要であり,それは高大接続改革のみならず,教育心理学研究においても基本とすべきことである。本討論では,以下の諸点に関して,教育心理学研究の領域における研究事例を紹介しつつ論じていくこととする。(a)大規模学力調査において,目的と設計仕様との整合性の担保,個人スコアと集団スコアの使い分け,データ収集デザイン等が重要という点について。(b)日常的な学校教育実践において,どのような形成的評価が有効に機能するのかについて。(c)子どもの発達に影響を及ぼすと思われる人生早期に培われる「非認知」的な心の性質に関わる研究動向と課題について。

V 日本教育心理学会第59回総会
準備委員会企画 基調講演
準備委員会企画 小講演
準備委員会企画シンポジウム
研究委員会企画シンポジウム
研究委員会企画チュートリアルセミナー
VI ハラスメント防止委員会企画講演
VII 日本教育心理学会 公開シンポジウム
VIII 第52回(2016年度)城戸奨励賞
IX 第15回(2016年度)優秀論文賞
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