従来アレルギー反応乃至アナフィラキシー反応の機序に関与する因子として, ヒスタミンやセロトニン, アセチルコリン等があげられて来たがこのようなChemical mediatorに拮抗する薬剤として, 又アレルギー反応の対称療法剤として, いわゆる抗アレルギー剤なるものが出現して来た.近年に至り生体活性ペプチドが炎症反応時或いは, 血圧下降作用の一因として, ひいてはアレルギー反応, アナフィラキシー反応に関与していると考えられ, 中でもBradykininは他のChemical mediatorと同様アレルギー反応時の一翼を担っているものであろうと考えられるに至ったのである.但し, このBradykininに対する拮抗薬は従来, せいぜいアスピリンや, フェニールブタゾンにとどまっておりこういった点で抗Bradykinin剤の研究はあまりされていなかったようである.そこで今回我々は近年米国Abbott社で創製されたいわゆる抗Bradykinin作用も併せもつとされる(SA-97, Homochlorcyclizine)を中心に現在迄の抗アレルギー剤10数種につき, 抗Bradykinin作用を主として, in vitro, in vivoに於けるアナフィラキシー反応に対するこれ等薬剤の態度, 又これ等薬剤の抗ヒスタミン作用, 抗アセチルコリン作用, 抗セロトニン作用について検討し, 下記の如き成績を得た.1)供試12種の抗アレルギー剤の中で抗Bradykinin作用があるものはSA-97, diphenylpyraline, Cyproheptadineであった.2)又上記三薬剤は抗Bradykinin作用の外に抗アセチリコン, 抗ヒスタミン, 抗セロトニン作用も併せてもつている.又in vitro, in vivoに於けるアナフィラキシー・ショックにもかなり奏効し, 特にSA-97は低濃度で効果を現わした.
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