結核感作動物より得られた, ツベルクリンアレルギーの受身伝達可能な細胞を用いて, 補体との関係を調べた.1. コブラ毒によりdecomplementされたモルモットの, 受身伝達されたツベルクリン反応の観察.結核感作モルモットにBCGでchallengeして, 脾細胞を集め, 無処置モルモットに静注するとともにツベルクリン反応を行ない, 受身伝達を確認した.この場合に, recipientをコブラ毒を注射してdecomplementした群と, しない群に分けて検討したが, 両群の間に伝達されたツベルクリン反応には差がなかった.2. 細胞性抗体と補体との関係について結核感作モルモット流パラを注射して, 腹腔滲出細胞を集め, その細胞に抗原と補体を加えてIAの観察を行ない, また, その細胞自身の附着する補体第1成分(C1)の測定および細胞破砕液のCH50, CIA50, C1, C4, C2, C3の測定を行なった.対照群には未感作動物から得た細胞を用いた.結果は, IAは受身伝達能力を持つ細胞はも, 対照の細胞にもみられない.Bound C1には両者の間に差がなく, また, ブイヨンを用いて集めた好中球を中心とする細胞との間にも差がない.また, 細胞破砕液の補体活性(CH50, CIA50, C1, C4, C3において)を検出できなかった.これらの結果から, 細胞性抗体は直接補体との関係がないものと推測された.以上第1報・第2報を通じて, 種々の実験を試みて, 遅延型アレルギーと補体との関係の解明を試みたが, 遅延型アレルギーに補体が直接関与するという証拠は得られず, 遅延型アレルギーにおける補体の役割は, 全くないか, あるいは, あるとしてもきわめて軽微なものと結論された.
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