Porathらによる, 蛋白, peptidesのsepharoseへのcoupling法を用いて, ネフロトキシン(NT)有効抗原の精製を試みた.NTγ-グロブリン分画を, Porathらの方法で, sepharose 2Bにcoupleし, これに, 抗原物質(糸球体基底膜トリプシン消化超遠心上清)を加え, 24時間, 抗原抗体結合反応を行わせた.ついで, ガラスフィルター上で, 未結合の抗原成分を完全に洗い除去した後, sepharoseをカラムにつめ, 0.5M醋酸溶液(pH 2.4)で結合した抗原の再分離を試みた.その結果, もとの用いた抗原の量の約10%に当る精製NT有効抗原が得られ, 免疫血清学的検討では, この精製抗原は, もとの抗原のほゞ4倍に当る力価を有していた.また本精製抗原の化学組成は, 蛋白が主で, 2〜3%の糖質を含んでいる.われわれが, 従来, 主張しているNT有効抗原は, glycoproteinであるという考えをさらに裏づける成績といえよう.
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