1-(4-methoxy-6-methyl-2-pyrimidinyl)-3-methyl-5-methoxypyrazole (DA-398)の抗炎症機序を, compound 48/80 のヒスタミン遊離に対する抑制の面から検討した.ラットとモルモットの腸間膜片を, 種々の濃度の DA-398 を含有する37℃のtyrode液中でincubate した場合, 両種族とも1%以上の濃度では30-95%とヒスタミンを遊離した.ラットでは, 0.01%液でも19%のヒスタミン遊離がみられたが, モルモットの場合, 0.1%以下の濃度ではヒスタミン遊離はみられなかった.種々の濃度の DA-398 で前処置後10μg/ml の compound 48/80を作用させた場合, 腸間膜片からのヒスタミン遊離は, ラットとモルモットでは全く異なった態度を示した.ラットでは, 48/80のヒスタミン遊離は1.0-0.1%液の前処置により抑制されたが, 0.05%以下の濃度では抑制効果はみられなかった.しかし, モルモットの場合, DA-398 の 0.1%以上の濃度では48/80の遊離効果に相加的に作用したが, ヒスタミン遊離作用のない0.05-0.005%の濃度範囲では, 逆に48/80の効果を抑制した.これらの所見は, DA-398 がヒスタミン遊離に関し2面性を発揮することを示している.DA-398 の70mg/kgをラットの腹腔内に投与し, 30分後に48/80の2mg/kgを皮下注射した場合, 48/80のヒスタミン遊離に対し, DA-398は44.5%の抑制効果を示したが, 14mg/kg投与の場合には, 同量投与の48/80に対して30%の抑制を示した.
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