リンパ球において, 膜表面に免疫グロブリンを有するsubpopulation (surface immunoglobulin bearing cell: SIBC)が存在することは, すでに多くの報告がある.このSIBCを健康人, 全身性エリテマトーデス, 橋本氏病, 多発性筋炎, 重症筋無力症, 全身性強皮症, 再生不良性貧血, 急性および慢性リンパ球性白血病を対象に, Conray400-Ficoll法により分離採取した末梢血リンパ球で, 膜免疫蛍光法を用いてIgG, A, M, IgG, IgMに関して陽性率を求めた.この時SIBCを蛍光染色態度により周縁型, 帽子型, 淡染型に区別し, 周縁型, 帽子型を陽性とした.この結果, 健康人に比較して有意の変化を示したものは, SIBC(IgG, A, M)で健康人20.7%に対し, 多発性筋炎26.6%, 重症筋無力症14.2%, 全身性強皮症13.2%, 慢性リンパ球性白血病71.6%, 急性リンパ球性白血病3.4%, SIBC(IgG)で健康人18.8%に対し, 重症筋無力症13.0%, 慢性リンパ球性白血病58.4%, SIBC(IgM)はいずれの疾患においても有意の変化は認められなかった.重症筋無力症の胸腺摘出術前後の比較で, 術後SIBC(IgG, A, M, IgG)の有意の増加を認めた.
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