除去食物療法によって, 数ヵ月にわたって軽快していた気管支喘息患者が, 4月になって, 重症の喘息発作を繰返すようになった.この時期は, スズメノテッポーの開花期に一致するため, スズメノテッポーが吸入性抗原として働いている可能性を推定し, 喘息発作との関係を調査し, 検索を行ったところ次の結果をえた.気管支喘息患者に対する皮内反応では103例中42例29%の陽性率をえた.一方, 正常小児に対する皮内反応では207例中4例2%の陽性率をえたのみであった.被動性移入試験では4例中2例が陽性であった.吸入誘発試験では, 15%以上のPEFRの変化率の低下, もしくは喘鳴などの臨床症状をもって陽性とした.スズメノテッポー花粉抽出液による吸入誘発試験を2例について行った.その結果, 2例ともに陽性であった.これらの結果から, スズメノテッポー花粉は, わが国における気管支喘息の重要な吸入性抗原の1つであろうと考えられる.
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