気管支喘息剖検27例, 喘息から肺気腫移行4例について病理形態学的に検索した.気管支喘息の病理形態像は, 1)気管支痙縮像(気管支筋の肥大, 気管支粘膜の規則的ひだ状隆起, 気管支腔の狭窄).2)粘液産生亢進像(気管支腺の肥大, 気管支上皮の杯細胞様化, 粘液栓), 3)気管支壁の細胞反応(好酸球, 形質細胞, リンパ球浸潤, 組織マスト細胞の減数・崩壊), 4)気管支壁の浮腫, 肥厚, 5)気管支基底膜の肥厚, 6)末梢気腔の拡張(肺の過膨張)などである.喘息発作を現す形態像は1)と2)であり, 3主徴として1), 2), 3)があげられる.以上の所見は発作時の死亡, 特に窒息でよくそろい高度である.右心肥大は肺気腫続発例や移行例にみられる.副腎皮質の萎縮は重症になるほど, ステロイド剤使用量の多いものほど, また副腎皮機能の低下しているものほど著明であり, 重症慢性型(難治性喘息)で最も高度である.
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