24例の牛乳アレルギーの患者において, 乳糖不耐症について検討し, 両者の間に密接な関係のあることが判明した.牛乳および牛乳製品の除去と投与によって診断した牛乳アレルギーの患者24名に, 乳糖負荷試験を行い, 12例が血糖の上昇が20mg/dl以下であった.12例中10例は乳糖負荷試験に際し, 悪心嘔吐, 腹部膨満, 腹痛, 下痢などの症状を呈し, そのうち3例に乳糖尿がみられた.以上より, 牛乳アレルギーの患者の半数に乳糖不耐症が存在していた.この乳糖不耐症を呈した6例にlactose-free milkおよびlactose-free caseinで誘発試験を行い, そのことごとくに悪心嘔吐, 腹部膨満, 下痢, 頭痛, 鼻閉, 蕁麻疹, ストロフルス, 頻尿, 起立性蛋白尿などの症状が誘発され, 牛乳蛋白に対し過敏であることが確認できた.牛乳アレルギーの患者(主として小児)においては, 乳糖不耐症の頻度が高いこと, および乳糖不耐症の患者においては牛乳蛋白アレルギーの存在することを証明して, 乳糖不耐症の成因として牛乳蛋白アレルギーを推定した.
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