マウスの場合, H-2と異なり, I領域の支配を受ける同種膜抗原はIa抗原と呼ばれ, 免疫反応を司る遺伝子(Ir-gene)存在下にあり, 近年Fcレセプターとの同一性が示唆されるに至っている.ヒトでは, 抗HLA血清中に抗Ia活性の存在の可能性が考えられ, Fcロゼット形成阻止試験で検討してみると, 検討した12例の抗HLA血清では, 使用リンパ球のHLA型に関係なく, また抗血清の型特異性とも関係なく阻止がみられた.抗HLA血清を, 対処するHLA型のT-cellで吸収してもその阻止作用は残り, この阻止がHLAの型と無関係であることが判明した.またこの活性は, 還元アルキル化によっても失われず, 超遠心による結果からもimmune complexとは異なり, ヒトにおける抗Ia様物質の存在が示唆された.さらにHLA抗原の一部をなしているβ_2ミクログロブリンに対する抗体, 抗β_2ミクロによってもFcロゼット形成が特異的に阻止されたことから, Fcレセプターとβ_2ロミクとの関係の密なことが考えられ, Fcレセプターの構造の一部にβ_2ミクログロブリンが含まれている可能性も考えられた.
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