前報においては, 西日本地区でアレルギー研究者の協力により実施された, 空中飛散花粉調査成績 (九州地方3ヵ年, 中国, 四国地方1ヵ年) をまとめて報告した.今回はこの3年間に立証された西日本地区の花粉症と花粉について述べ, なおアレルギー様疾患患者に行った花粉アレルゲン皮内反応成績を報告する.まず西日本地区で発見された花粉症としては, 因島を中心とした瀬戸内海沿岸島嶼における除虫菊花粉症, また長崎, 徳島地方に多いカラムシ (イラクサ) 花粉症があり, よくみられるものに福岡地方で広く行われるイチゴ栽培に関連して存在するイチゴ花粉症などがある.さらに珍しい花粉としては, 沖縄地方のトキワギョリウ花粉, 宇部地方のコスモス花粉, 別府のイチョウ花粉また阿蘇地方に多いクルミ花粉などあげられるが, その抗原性についてはいずれも今後の調査の必要があるものと思われる.さらにアレルギー様疾患患者の花粉アレルゲン陽性率調査のため九大病院中検における5年間の統計的観察, 北九州市小中学校児童の大気汚染下における喘息と花粉陽性率との関係, および鹿児島大学病院などの喘息患者と花粉陽性率との比較検討も行った.
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