アナフィラクトイド紫斑病(AP)患児の immune complex を安部らの方法により経時的に検索し, 症状との関連性を検討した.2才から8才までの男児7例, 女児9例の計16例について, 4% polyethylene glycol (PEG)を用いて可溶性 immune complex を沈降させ, その complex を形成している IgG, IgA および IgM などの成分を radial immunodiffusion 法で測定し, PEG precipitates index (PP index) を下式により算出した.PP index=(沈降 immunoglobulin 量)/(全血清 immunoglobulin 量)× 100 その結果, (1)3才から16才までの健康小児16例の PP index はそれぞれ IgG 11.11±2.65, IgA 3.22±0.73, IgM 39.64±7.47であつた.(2)AP 患児16例について, 正常例の平均値+2SD以上の上昇を示したものは IgA は10例, IgG は7例, IgM は3例だつた.(3)先行疾患として溶連菌感染の認められたものは, 認められないものに比して IgG, IgA および IgM の PP index は高値であつた.(4)血便を伴つた強い消化器症状を示した症例では IgG, IgA および IgM の PP index が上昇しており, 特に IgA の PP index が高値であつた.
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